在宅地域ケア-訪問フットケア-
宮城県内でご自宅や施設に訪問によるフットケア(足の爪切り・角質ケア・トリートメント・足浴)を始めたのが2018年。以前勤めていたドイツ式フットケアサロン。そこにはバリアフリーではない店舗にスタッフ数名で車椅子を持ち上げてエスカレーターの昇降をしご来店いただく方も数名いらっしゃいました。この光景を見て、1人で外出が難しい高齢者等に身近に足の爪切りなどのフットケアを受けられる環境を創りたいと思い、それまでの高齢者施設での介護福祉士等の経験も活かしながら自分がやるべきこと、やりたいことだと落とし込めたことが訪問フットケアを始めるキッカケになりました。
2019年より七ヶ宿町社会福祉協議会様のご依頼にて2ヶ月に1回。2023年からは1ヶ月に1回訪問している山形県と宮城県の県境の山間部にある七ヶ宿町にも片道2時間〜2時間半掛け定期訪問をしています。
冬は雪が多い時は会場前の雪はきから始まることも。お年寄りの送迎、連絡調整等の社協職員のバックサポートがあるからこそ、足の爪切りに困っている町の人が利用することができています。
町で唯一の診療所の医師や看護師は足の爪切りは専門外。(病状のない足の爪切りは病院では爪は切ってもらうことができません。)介護事業所でも巻爪や厚みのある爪は介護士さんや看護師さんは爪を切ってあげたくても切るのが難しい、切り方が分からないのも十分わかります。私もそうでしたから。
一番近い足の爪を切ってくれる所に行くにも片道1時間以上だったり、交通手段も限られています。高齢者1人での往復の移動だけでも大きな負担となり、足の爪切りを断念してしまう方も、もしかしたらいらっしゃるのかもしれません。
加齢や病に伴い
・視力の低下
・握力の低下
・感覚鈍麻
・神経障害
・関節可動域が狭くなる(身体を動かせる範囲が狭くなってくる)等の症状が出現し
自分で
・足裏、足先を見ること
・足の怪我に気付くこと
・足を洗うこと
・足の爪を切ること等ができなくなる方も多いのです。
これは介護保険サービスを利用していない方も上記のようなことに困っている方はいらっしゃいます。
足の爪が伸び過ぎて足先に力が入りにくくなったり、隣のゆびに伸びた爪が刺さり痛みから歩くことを控える、歩けなくなる。足の爪が原因となってフレイル→要介護・車椅子の生活、二度と歩行ができなくなってしまったという高齢者も実在します。
フットケアで介入したことで独り暮らしの高齢者の足部の異常に気付き、医師との連携が図れたというケースもあります。もしフットケアで介入する機会がなかったら…
足の爪を整えることだけでも足を使う動作の維持、改善。身体機能の悪化を防ぐことができるのだと思います。また誤嚥性肺炎の原因を掘り下げていくと足の爪が第一の根本的な原因になっている方もいるのではないかと私は思うのです。(歯も大事だけれども足も大事‼︎)
おそらく七ヶ宿町のような環境の地域は全国各地に存在しているのではないでしょうか?足の爪切りや足部の異常に早期に気付けるか、気付いてもらえるかといったことは地域のお年寄り等が抱えている潜在化されている課題(フレイル、介護度悪化等の要因)のひとつなのだと強く思います。ここで早期に介入できれば暮らしやすさ、楽しさも、気分も変わる人も多いのではないかと最近強く思うことです。
そして訪問先のお年寄りからフットケアは、笑顔や楽しい暮らしにも導くこともできるケアなのだということも表情やコミュニケーションを通して教わりました。
私が訪問は楽しいなーって思えるようになったのも、これもまた訪問フットケアを始めことで芽生えたことです。
今回おそらく色んな人に無理を言って「七ヶ宿町」での撮影をお願いしてしまいました。どうしてもここで撮影をお願いしたかった私なりの拘りがありました。2019年より2ヶ月に1回ほぼ欠かさずご利用いただいている90代の方に今回撮影モデルをお願いし、快く恥ずかしさ混じりの笑顔で応じていただくことができました。
七ヶ宿の皆さん今回も。
これまでも。
いつもありがとうございます。
撮影地 宮城県七ヶ宿町
撮影 株式会社フィルムズ 岡部俊雪氏