勝負師とクレドポー
私がとても大切に思っている方主催の忘年会に出席した時のこと。私達は最後の1名が来るのを待っていた。
只者ではないオーラを漂わせた美しい女性が入口から入ってきた。主催者が「こっちこっち」と手招きしている。主催者の前の空いてる席に呼んでいるようだ。ということは、私の隣?!?!
くるなくるなくるなくるな、は、心の声。美しい人が大好きなのに、美しすぎる人は一歩引いてしまう。もう緊張でドキドキドキドキ。
その女性は、優雅だった。たっぷりした毛量、手入れされたつやつやの栗色の髪、ふっくらした頬に、整った顔立ち。肌は透き通るように白い。まるで10段飾りの一番上を飾るお雛様のよう。
それからひと月ぐらいして、同じメンバーで会った帰り、なぜか2人だけでお茶をすることになった。
その人は、つやつやの外見とは裏腹に、中身は男性のようだった。勝負師のような。
1時間ぐらいお茶をした後、「これからクレドポーのカウンターでメイクのレッスンを受けるから、一緒に行きましょう。」と誘ってくれた。丁寧にお断りする。こんな美女と並んで、しかもクレドポーとかない。ないない。
でも勝負師は譲らない。「たぶん、あなたの為になるから。」
勝負師は、クレドポーで有名なようで、BAさん達が各々立って挨拶に来た。私はそこで、プロからちょこっとメイクを習い、リップグロスのファイアールビーを購入した。他に勧められたアイシャドーや、チークは欠品していたから、クレドポー恐るべしである。
勝負師の言ったことは当たった。それ以来、私はリップは必ず塗るようになったし、メイクにも興味がわくようになった。結果的に自分をケアすることに繋がった。
あの日、勝負師は、「女性だから綺麗にしていた方がいいよ。それに、つやつやな方が幸運が舞い込むから。」と、あらかじめ予約していた自分の時間を、殆ど初対面の私に譲ってくれた。
彼女は今、風水の先生として大成功を収めている。そうなるのは当然だよなと思う。たぶん大勢の人が勝負師とのストーリーを持っているはずだ。私が美に対して目を向けるチャンスを勝負師からもらったように。
そしてみんな思うんだろう。あの人のようになりたい。
たまーに、そういう人に会う。第一印象が光り輝きすぎて、うっ。と目がくらんじゃう人。そういう人って後々のキーパーソンだったりする。
最後までお読み頂きありがとうございます。 いとうれしです。