ふるさとにて
1年ぶりに訪れたのに、畑にいた婆ちゃんは私を見るなり「ああ助かった、ちょっと手伝ってやー」と容赦ない。
6時間もの運転の疲れをとる間もなく私は畑へ入る。 離農したあとの一画とはいえ家庭菜園と呼ぶには広大だ。そして、ここの野菜は皆でかい。
カンカン照りで汗だくだく。ああ早く座ってお茶でも飲みたい。
婆ちゃんは猛然ときゅうり、なす、ピーマンと売れるほどの野菜を採っていく。私も負けまいと手を動かしながら、畑の中、大きな声で近況を伝え合う。せわしさと穏やかさが共存する時間。
日も陰った頃ようやく冷茶にありつく。そのまま婆ちゃんは大量の食事を作り上げ、その田舎料理を私は美味しい美味しいと夢中で食べた。
「ああ助かった、残ったのは持ってってね」と、野菜を段ボールに詰めながら破顔する婆ちゃんにつられて、私も満面の笑みを返す。