僕らの歌を歌おうーファイターズの旅は続く。ネクストバッターズサークルに立っている君たちへ。
北海道日本ハムファイターズ 2018年のシーズンが終了した。
最後の試合は、シーズン2位、ソフトバンクホークスとのクライマックスシリーズ ファーストステージ、敵地ヤフードームでの第3戦。
初戦、今年エース看板を背負おうとした上沢直之に託すも、初回、デスパイネにまさかの満塁ホームランを放たれ、撃沈。
第二戦は、ニック・マルチネスがメジャーリーガーの誇りを見せて粘りの投球、7回を2失点に抑え、8回表、2アウトから西川遥輝、大田泰示、近藤健介の3連続ツーベースで逆転。8回裏、宮西尚生がノーアウト2塁から絶妙の投球術と勝負根性で抑える。9回裏、22歳の石川直也が、三振三振レフトフライで完璧なクローザーぶりを発揮した。
ファイターズがホークスに勝つには、これしかないという勝ち方だった。
しびれる試合を取った翌日。
シーズンを中心的に投げてきた先発投手陣に不具合が出ていたファイターズは、今季3試合しか投げていない杉浦稔大を先発に立てる。
どっちの目が出るのか。もう一か八かの賭けだった。
結果的には、3投手が、ソロホームラン5発を打たれての圧倒的な力負け。攻撃陣はチャンスで打てない今季のファイターズのまま、なす術もなかった。
なんで打てないんだ。中田翔・・・😢
なんでここで鶴岡にバントさせるんだ、栗山英樹・・。
なんで粘って粘って、ラストボール、芯食って打ったのにヒットにならんのだ、中島卓也。
甲斐拓也に刺されまくって、どうしても何が何でも盗塁したる!って頭ん中それしかなかっただろう、西川遥輝。
6回裏、やっとの思いでコンスケがタイムリーを打ち1点差に迫った場面で出てきた。トンキン。
ファイターズファンの誰もが、もしかしたらベンチのみんなも、大丈夫なのか?トンキン?大丈夫なのかあああ??と疑心暗鬼の気持ちを隠してみようとする間も無く、デスパイネに留めの一撃を打たれたトンキン・・。
色んな事情があって、トンキンで行くしかなかったんだよ。
これならゆうちゃん下げないでゆうちゃん出したほうがファンサービスになったかもって、ゆうちゃんは、来年どうなるんだろ?
トンキン投入大失敗。もちろん使った監督が悪いんです。トンキン悪くない。鶴岡のサインをことごとく裏切るコントロールが悪かっただけ。
ソフトバンクホークスは、ついに最後まで、後半の連勝を戦ったメンバーをぴくりとも動かさなかった。たとえギータ(柳田)が打てなくても周りの誰かが打った。投手は最小限の失点で抑えていた。
わかっていたことだけど、力の差が歴然としているのだから、負けるのは自然の成り行きなのだ。
でもさ、わかってたってさ。何かの間違いで勝つかもしれない。もしかしたら勝てるかもしれない。何が起こるかわからないのが野球なんだから。一縷の望みにかけてみよう、夢を見るのがファンというものではないですか。
夢は現実に打ち砕かれる。
わたしたちは、夢から覚め、ああ明日から一体どう過ごせばいいんだろう? と途方にくれるのだけれど。
今さっき終わってしまった試合の、最後のネクストバッターズサークルに立っていたのは、誰だった?
そうだよね。そうだったよね。
打つ気満々で、堂々たる態度で、ネクストに立っていた。
清宮幸太郎。
目の前の打席で、大先輩の田中賢介が、ついにタイムリーの1本も打てずに終わった。
ファイターズは負けた。
その現実を真後ろで見つめていた、19歳の少年。
君は何を思っただろうか。
もう一人の19歳のことを思い浮かべてみる。
大谷翔平。ルーキーの年、前年優勝のファイターズは最下位に沈んでいた。彼は、そのとき何を思っていたか知る由もないけれど。きっと大谷翔平は、明日からもっと強くなること、もっと野球がうまくなることしか考えていなかったに違いない。
そうなのだった。わたしたちのファイターズは、まだ若く、まだ自分たちの持てる力を十分に発揮する術を身につけていない。
でも、その分、自由に動ける身体を持ち、柔軟な頭を持っている(はずだ)そして、だからわたしたちの想像を超えるような野球ができる可能性だってある(はずだ)
あの最後のネクストバッターズサークルに、清宮幸太郎が立っていた。
わたしは勝手に意味を見つけ出す。
地面に叩きつけられて、苦い泥水をかけられるように負けた。
その地面から、見上げる向こう側に。
また新しい夢を見る時間は、はじまる。