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「北海道の生活史プロジェクト」へ参加するにあたって、突如、思い出した色々について。

 ある日、いつものようにTwitter(X)を見ていたら「北海道の生活史プロジェクト 聞き手募集」のタイトルが目に入った。

 ポストの主は、岸政彦さん。主に、ちくわちゃん(ワンちゃん)の成長記録と岸さんの溺愛ぶりを楽しみに見ていた。京大の先生で社会学者なのは存じていたが、どんな研究なのかは深く追求していなかった。
 
 ただこれもたまた半年ほど前に「#沖縄の生活史」(石原昌家・岸政彦監修/沖縄タイムズ社編)という本の紹介を見て、すぐに購入していた。
沖縄に暮らす、ごく普通のしかし様々な人々100 人の聞き書き集。分厚い本で、手に持つと長年の厨房仕事で慢性腱鞘炎の手首が痛くなるのだったが、これが滅法面白い。
 元々、沖縄には関心が強く、色々本を読んだり、映画を見たりしてきたけれど、そういう知識では補いきれない、想像力の外にある言葉が、頭の中の「沖縄」を変更してゆく。
でもやっぱり手首が痛くて、全部はまだ読みきれてないのだけれど。

 うーん、これはもの凄い本だなあ。
こんなに大変な仕事をまとめる先生なんだなあ。
と今更ながらに岸政彦さんへの関心を改めたところに。
「北海道の生活史プロジェクト」が立ち上がり、聞き手を募集するというのである!

 パソコンの前にいたわたしは、秒で、ろくに募集要項を読みもせずに応募した。自慢じゃないが、こういう応募に受かった試しはない。
しかし、今回は何故か確信があった。きっと受かると。

やがて主催の北海道新聞社からメールが来た。
想定以上に応募があり、厳正な審査と抽選の結果、100名から150名に増員された聞き手のメンバーに選ばれたと書いてあった。

やっぱなあ。受かったよな。わーい!
嬉しくてちょっと踊った。

(北海道新聞では、今を去ること32年前〜マンガのコラムを8年間書いていました)

そんなこんなで岸先生が札幌に来てくれて研修会、説明会を受けて、いざ出陣、というわけなのでしたが。

この一連の出来事の中で、思い出したことがある。
そういえば、わたしは(40年前)大学で社会学を専攻し、社会調査室という研究室で家族社会学を教える布施晶子先生のゼミを受けていた。
もちろん卒論も社会調査を下地にし論ずる内容だった。

あれ…あたし、やってたじゃん。社会調査、フィールドワーク…。

といったってまあろくに勉強しない真面目に調査もしたのでもない、適当に書いた卒論は、発表スピーチは一番受けたけど、評価はB判定だった。先生の目は、真っ当で厳しいのである。

そしてそれっきり、社会学科にいたことも社会調査をしたことも、忘れ去ってしまい…突如、62歳にして再会するとは、なんとも妙な感じがする。
ものすごく陳腐だけど、人生って不思議なもんだなーみたいな。

岸先生の研修会を受けていたら、著作に『街の人生』があった。これもまたすっかり忘れていたが、2014年の発売当時、本屋でたまたま手に取り、買って読んでいた。タイトルは覚えていたが、著者は覚えてなかった(ごめんなさい)。

えー、なんだちゃんと岸さんの本も読んでたんじゃん。

時は一直線に流れているようで、実は行ったり来たりするのか。
時に、交錯し、ブーメランのように戻ってきたりするのか。

文章をまともに書く仕事は、およそ20年ぶりになる。
いや文章は、ずっと書いているけれども。
一人で勝手気ままに書くことと、企画を立てられた中で、相手のある関係性で書くことは、全然違う。心構えも、文章の書き方も違う。

ドキドキしてわくわくする。
若い頃でなくて良かった。
22歳より、62歳の今の方が「わたし」は、ずっと自由だから。


   募集は終了しています。








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