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2018年「鳥かごからスタンドへ」ー彼氏にしたい選手権3連覇(今年は2位)ー中島卓也のプロの道を応援し続ける

 中島卓也が、福岡で逆転満塁弾を放った。5月12日対ホークス戦。本人が一番びっくりしたと言っていたが、ファイターズファンもびっくりした。打たれたバンデンと高谷のバッテリーも、ベンチの岡ひろみも大きく口を開けて驚いていた。

 ゲームは、両チーム決定打を欠きながら、必死の継投策でしのいだファイターズが勝利した。もちろんヒーローインタビューは中島卓也。福岡工業出身、地元っ子の彼は、いつものように、はにかみながらそっけない答えに終始していた。

 ホークスファンの皆さんも田中賢介の時のように「福岡の子やけん、しょんなかよー」と大目に見てくれているだろうか…何の気なしにたまたま閲覧したファンサイトにこんな言葉があった。

ー投手を疲弊させるために故意に邪飛打するような、プロの道に外れた選手は生涯認めないー

(負けて口惜しいのはわかるけど。いくらなんでもそれはないんじゃないの?わたしたちの卓也に何いってんだ!?)頭に来て、文句をつけそうになったけれど…。

カット打法の中島卓也は、相手チームから見れば「投手を疲弊させるために」カットしているんだと思われているんだ…ということに初めて気がつかされた。ああ。なるほど。そりゃそう見えて当然なのか。しかし、わたしはそんな風に、考えたことはなかった。

 そもそも中島卓也は、ヒットが打てなかった。外野にさえボールは飛ばなかった。ドラフトでは、守備で見出され下位指名。一軍デビューは早く、昇格すると1年間1軍にいたけれど、ほぼ代走と守備固めのみの起用だった。その”定位置”から脱するためには、どうすればいいのか?自分が生き残るにはどんな方法があるのか?ヒットは出なくとも塁に出る方法とは何か?

 中島卓也が、カット打法に活路を見出したのは「投手を疲弊させるために故意にファールを打つ」ためではない。「フォアボールでもいいから塁に出るため」にバットにボールを当てていた。その繰り返しが、やがてファールを続けられる技術に繋がったと思う。

 確かにファールで粘ることは、投手を疲弊させ球数を稼ぐことにもなり、結果として自チームに利することにもなる。そのスタイルは球界でも有名になった。そうして相手チームから見れば、うざいカット打法で故意にファールを打ち続け、投手と真っ向勝負しないと見なされ、プロの道に外れた行為だと断じられることにもなったというわけだ。

 ある意味、彼の存在がやっかいだと認められている証拠でもあるし、そういう野球の見方や論じ方をすることも自由だと思う。

でもならば、プロの道から外れていないとは、実際どういうことなのだろうか。非力な選手がプロ野球で生き残るために、独自のやり方を必死で見つけてきた。そしてさらに昨年からは「ファール打ちの中島」からも脱却しようと打撃スタイルを変え強く打てる方法を探し、不振に陥りながらもコツコツやってきたことを、わたしは、多くのファイターズファンは、知っている。
 
だからこそ、昨年のヤフオクドームでのホームランテラスへの初ホームランは生まれ、そしてこの日、本当の引っ張り打ちでスタンドに届く満塁弾は放たれた。

 それは、ルーキーの時から、バッティグ練習で鳥かごからボールが出ないと揶揄されてきたころから、外野にボールが転がっただけで「やったやった!」と拍手しながら彼を見てきた者からすれば、大変な努力と成長の証、輝く光の道筋だ…。

選手生活10年間でたった二本のホームラン。
故郷の福岡で打ったことに意味はないとは、わたしには思えない。

大切であるだろう故郷の野球ファンに外道とか言われるなんて悲しいけれど。きっと本人には、どうということでもないのだろう。プロ野球ってそういうこともあるんだし? そっけなく笑うだろう。

だって。
中島卓也は、自らの生きる道を探し、どうしたらチームの勝利に貢献できるのかを模索し続ける、真っ当なプロ野球選手なのだから。



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