悪人のわたし、善人のわたし、君の中。
「わたし」という人間が、だれかと出会ったとき、その瞬間「第二のわたし」がうまれる。
いつから私は君の中で、悪人になってしまったのか考えてみたけど、やっぱりうまく理由は分からなくて。そういえばあの子のせいかも。
誰かから聞いたはなし。世の中には悪人と善人のわたしがいて、どうやら、他人の中で生きているみたい。だってほら、あんなにも私と仲が良かったあの子だって、君の中の「悪人のわたし」のせいでいつの間にかいなくなったよ。
悪口ってそういうものだよね。
君の中にいる悪人のわたしと、あの子の中にいる善人のわたしと、今ここにいるわたし
みんな、ここに、わたしはいるのに、脳内のわたしに掻き回されている。いろいろ。
わたしは、ここにいるのに。
「わたし」ってどこに正解がいるのでしょう。
ここで何かを言っているわたしも、君の中に入り込んだ瞬間から君にジャッジをされて、わたしじゃないわたしが生まれる。そういうこと。
それってとても難しいじゃない。きみの善人になること。
勝手にきみがわたしを決めるから、いつだってからまわりだね。
わたしも、きみを、決めつけている。善人と。
いくら話したって、きみの中の、きめられた悪人のわたしが邪魔をする。
目の前にいるわたしは、だれでしょう、
今日もね、誰かの中のわたしが、夜を歩いて、知らない誰かと出会って、誰かの中でわたしは生まれる。きもちわるいね。
ちょっとさ、きみの中の悪人のわたしに会いたいんだけど、対峙する勇気もないし、きみの中のわたし手強そうだし。そんなことを考えて今日も会えないまま。わたしは、わたしの中の悪人でも善人でもなくて、ただ目の前にいるきみに会いたいのだけれども。なるべく君の中にいるわたしを、「わたし」に寄せていきたいんだけど、だってやっぱり気持ち悪いし、嫌だよ。知らないわたしがいること。特に君の中。