着物に込められた想いを伝える
ネットの見積サイトから、多くのご予約をいただく。
インターネットの世界は、どことなく冷たく心の通わないもののように思っていたが、そうではないことを痛感している。
大げさな言い方だが・・・あらゆる手段を使って、出逢うべくして出逢っている。
お客様との出逢いも、時に驚かされるほどのご縁を感じることがある。
O様からの依頼は、お嬢様の成人記念の撮影に関わるご相談。
二人の知人から「貸してあげる」と持ち込まれた振袖が2枚あるけれど、どっちが似合うか。 手持ちのものも含めて帯が数本あるが、どんな組み合わせが良いか。 帯揚げは?帯締めは? 古い振袖を今っぽく、お嬢様に似合うようにコーディネートしてほしい! という。
しかも、ご依頼いただいてから撮影日まで1週間。
早速、事前打合せにお宅にお邪魔させていただくと、リビングに着物と帯が並べられていた。 姿見を前にお嬢さんに着せていく。
2枚のうち1枚は、30数年ほど前のもの。白地に古典の柄がおとなしめに描かれたもの。 もう1枚は、可愛らしい赤。現代の新しい柄行のものだった。
お嬢さんのお好みは白地の振袖。 さて、どの帯を合わせるか。
お母様が持っていたものなど、若向きの華やかな帯も3,4本用意されていたが・・・「黒っぽいものも合いそうですね」と言うと、別室のタンスの中を捜索し、「こんなのがありました!」 お母様も初めて見たという。
頂いたものや譲り受けたもの、着物や帯などタンスに入ってしまえばどんなものがあるかなど、全くの非日常である。
出されたその帯は、落ち着いたオレンジ系に黒が入ったアンティークな帯。 数本ある中でピッタリはまり、お嬢様もご満足の表情。
なんとも!その帯は、現在80になるお祖母ちゃんの若き日の帯だそうで、60年も前のものらしかった。
ご家族も圧巻の「へぇ~そんなのが合っちゃうんだぁ」
そこから、あるもので帯揚げ帯締めを合わせていき、なんとなくお嬢様らしい振袖姿が出来た。 がしかし・・・決め手の襟元がいまひとつ納得いかず、ここは新しいものを投入し襟元のコーディネートをお任せいただいた。
帰り道、
お嬢さんがどこかにブルーが入れたいと言っていたので、ブルーの重ね襟をGet! 半襟は白のレース。少し凹凸感のある厚みを感じさせる素材で。 衿付けにはコツがあるので、長襦袢は預かりしてきて半襟の縫い付けもやらせていただく。
そして撮影当日ー
帯の持ち主であったお祖母ちゃんもいらっしゃる中でのお支度。 メイク、ヘア、着付け。
髪飾りは最後まで迷われて、結局、大好きな白のカスミソウを生花のまま使用することに。 それだけでは少し淋しい感があったが、、、
「〇〇さんに誕生日にいただいたドライフラワーがある!」というので、そちらを使わせていただき華やかさUP♪ ただ飾っておくより、この方が送ってくれた方も喜ばれるよねぇ(^_-)-☆ と。
お祖母ちゃんにも、孫の成人式に、自分の帯が使われるなんて!と、とても喜んでいただいた。
娘の成人は、ご両親にとっても一段落の節目の行事。
お気に召した振袖に身を包み、着付けにヘアメイクを施されるSpecialな時間を楽しみ、彩られた自身の振袖姿に歓喜する。 本人が喜ぶのはもちろん。
周りの家族も、その姿を愛でて一緒に祝う。
たくさんの人の想いが詰まった振袖姿である。
O様のご家族はとても仲が良く、穏やかなステキなご家族です。私は、その節目のお手伝いが出来たことを嬉しく思います。
帰り際、お母様に「良いお仕事をされてますね♡」とおっしゃっていただいた。
有難うございますm(__)m お客様のお陰です。
着物を通じて、幸せを感じてもらえたら幸いです。
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