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紫の花のお告げ
シドニーの春は雨が多い季節だ。
あ、もうすぐ夏が来るんだなと思えば寒くてしとしとする日が続き、冬に逆戻りかなと思うと、いきなり30度を超す夏日だったりする。
そんな日が続いたあと、ふと気がつくと街中が紫の花でいっぱいになっている事に気がつく。ジャカランタの花。この花がそこら中で満開になる頃には、気温がだいぶ上がって毎日晴れの日が続くようになっている。
シドニーに来た最初の年は、春に薄紅色の木が一本も見れないなんてなんて風情に欠けるのだろう、と思ったものだが、今ではジャカランタの花が私にとっての桜の役割を果たしている。
いにしえに 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな
とは百人一首の伊勢大輔の歌で、奈良から宮中に届いた桜について歌ったものだが、このジャカランタも原産はブラジルで、もともとシドニーにはない植物なのだそうだ。
植民地時代に英国から持ち込まれた、とか、第二次世界大戦時にオーストラリア兵が持ち帰って来た、とか、諸説あるみたいだけれど。
今年はあと1ヶ月したら咲き始めるんだろう。街中でもビーチでも綺麗に映える満開の花を見るのが待ち遠しい。