エルベシャプリエを断捨離
2019の春、エルベシャプリエのバッグを一つ手放しました。
およそ3年前に購入してから、どんな服でもどんな靴でも合うこのバッグを主に通勤で毎日使っていました。
持ち手や中が少し汚れてきたけれど、まだまだキレイ。しかしその頃から都内のスタイリストスクールに通うようになり、持ち物も財布、ポーチ、テキスト、筆記用具、飲み物…さすがにこのサイズではパンパンになってしまい、手提げタイプで移動や乗り換えの時も持ちづらく。
一回り大きい708GPというモデルなら持ち手が長く肩掛け可。これは、と思い新たに購入しました。色も同じ黒にしたので、用途と色が同じバッグはいるまい…と、704GPとはさよならすることを決意。
さっそくフリマサイトに出すと、なんとものの数分で買い手がつきました。めでたしめでたし…と思うところでしたが、今まさに手放さんとしているこのバッグにふと目をやった瞬間、私は生まれて初めて「モノを手放すことが寂しい」と感じたのです。
704GPを両手でそっと持ち上げると、月並みな表現ですが、ともに過ごした日々が走馬灯のように蘇ってきました。
たった3か月で辞めてしまった会計事務所の面接のときも、そこへの通勤のときも毎日一緒でした。
そのあと派遣で単発事務の仕事をしていた時も。大手の会社で社員さんはみんなエリートに見えて、自分は派遣。でもなんとなく、このバッグが自分に自信を持たせてくれているような気がしてました。
ホテルフロントのアルバイト時代は、立ちっぱなしで毎日ヘトヘト。でもこのバッグを持っていくことが何となくうれしくて、毎朝家を出るたびに、よし、今日も行ってこよう!とスイッチが入るようでした。会社までの道のりも、これを携えて少しだけ胸を張っていられました。
思えばこのバッグで通勤していた頃は、長年勤めた会社を辞めた後で、わたしは何をしたいんだろう?何ができるんだろう?とずっと模索していた時期でした。
結婚もしていない、正社員でもない。責任の重くない非正規という立場で、自分を探しながら、目の前のことをひたすらこなしつつ自分を探す毎日。
自分のスペックに自信がない分、このバッグがそれを補ってくれていたような、頑張れ!大丈夫だよ!って応援してもらっていたような気がします。
でも、新しい飼い主…じゃなくて持ち主が見つかった。もう手放すと決めてしまった。早く送らなくちゃ。
仕事で辛かった日々を支えてくれた相棒のような存在でした…と綴ったメモを添え、緩衝剤をぎゅっと詰めて、丁寧に梱包し、発送しました。
こうして、このバッグとの付き合いが終わったのでした。
数日後、受け取った旨を知らせる取引メッセージが届きました。
「楽しいお話をありがとうございました!大切に使わせていただきます。」
?うん?楽しいハナシをしたつもりではなかったのですが…笑
でもこのかたの元で、きっとまた頑張ってくれる。いい持ち主にまた出会えたんだね。よかった。今までありがとう!
楽しさ、辛さ、歯痒さが詰まったこのバッグのこと、私はずっと忘れないと思います。
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