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行方知れず

水溜まりを打つ雨が波紋をつくる。
一粒一粒がつくる波紋が、現れては消えていくのを眺めている。

その波紋たちは互いを受け入れながら、自身の正確な輪の形を咲かせ続ける。

日曜日の夕方、さっきまで雷が鳴っていたのに、急にオレンジ色の夕陽が顔を出して、波打つ水面が明るく染まる。

そうだった。私が捉えたかったのは、そういう世界の繊細な働きのことで、私が表したかったのは、その視点に宿る、一人っきりで密かに感じる甘美な思いのことだった。

本当は書きたかったのに、きっと、その言葉の行方を気にするのが怖かった。誰にも届かず、誰にも認められずに行方知れずになるのが。

でも、それがなんだっていうのだろう。
私が私を感じる以上に大事なことなんて、本当は何もなかったのに。

繊細に感じることをなぜか封じていた永い時間に、きっと寂しい思いをさせていた私自身を、慰めるための文章を書こう。

書きたいことを、書きたいように。ただ自分が好きなように。

2024.09.01 17:46

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