山の中で暮らす
近所の山道をどんどん登っていくと、自然に浸食された家がたくさんある。忘れ去られた家を見ていると、季節、年月、そして時代のサイクルを繰り返す自然に対して、人間の作った家なんてちっぽけなものだと思う。
昔から山に暮らす人々の研究本を読んでみると、山には集団生活を避けた人々が住んできたらしい。落ち武者、山伏、狩人など。海沿いは豊かで暮らし易い環境なのに比べて、山の生活は厳しく、道も険しい。平地がなければ畑も作れず、塩も海から運ぶ必要がある。それでも山に住むことは、苦境に耐える修行に近いのかもしれない。
特に日本の自然には、不思議な力がある。それは、歴史的に自然を畏怖を抱く出来事が多く、自然物に霊が宿ると信じてきた民族だからか。興味を持って神道の本を読んでみると、神社という建物も元々神道にはない発想で、神や霊的なものは人間が作れるものをはるかに超えるという。絶対的な掟もルールもなく、全ての行いや言葉に霊が宿る。唯一の教えは、清く正しい思想と行動で生活すること。人間の物欲を捨てて原始的な暮らしに戻る必要はない。環境保護が大きな課題になっている今の時代、大事なのは共存で、それは都会でも、身近な社会の中でも忘れてはいけないこと。
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