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アーユルヴェーダドクターの診察の実際


こんにちは。
あーゆるNurseのRieです。
今日はアーユルヴェーダドクターの診察の実際について書いていこうと思います。

この記事は私の #Podcast 番組、『Soothing  Radio』と連携しています。
#Standfm でもお聴きいただけます。

こちらに滞在して3週間になりました。
病院に滞在しながら、トリートメントを受けながら、勉強しながら、トリートメントの練習をする、という濃い3週間を過ごしました。
この病院は入院病室もいくつかあって、治療やパンチャカルマのために滞在できます。患者さんと一緒に過ごすこともあれば、先生の診察風景を近くで感じることもできます。
私自身もトリートメントを受けながら過ごしていたので、患者さんの気持ちになることもありました。
今回の一番大きな処置、カシャーヤヴァスティは大変でした!
このことは、治療編のお話で改めてしていこうと思いますが、ビッグな処置だからこそ、その後の消化力の上がり方や排便の性状の変化には驚きます。

さて、今日はそばで感じるアーユルヴェーダドクターの診察風景や治療の実際についてお話ししていきます。


この3週間、授業をしてくれているのはAshya先生。
とても穏やかな雰囲気の女医さんです。

実際の患者さんの症例などからアーユルヴェーダドクターの治療風景、アセスメント、アプローチなどをお話ししていきます。

患者さん
・30〜40代の女性の患者さん
・腰部〜左足にかけての痛みの主訴(多分長く患っていて西洋医学の病院でも色々していた様子、よくならない)
・高血圧、高脂血症、消化器系のお薬を内服中(既往歴がある様子)
・ドクターとの会話中に涙を流す様子あり
・舌は縁が白くなっている(舌の周囲が浮腫んでいる感じ)
・ストレスも抱えている様子

ドクターの処方
・内服(スロータスを綺麗にする、アーマをデトックスするなど)
・軽いエクササイズ(細かい内容聞き取れず、多分ストレッチ程度)
・スパイシーフードを減らすよう指導

ドクターのアセスメント
・涙は感情的に流れていたもの
・ストレスを抱えておりセンシティブな状態
・何度か受診に来ていて、少しずつ信頼関係が築けてきている。診察の時は会話をしたりタッチングをしたり、できることから少しずつアドバイスをする。
・痛みの原因は腰の神経などではなくて、精神的な部分、神経的な部分が大きい。(メンタル、ヴァータの乱れ)
・足のトリートメントは本人が今は望んでいないので、今はやらない。

そしてトリートメント部位は痛みの部分ではなくて頭部へのアプローチが適切。脳は全身の司令塔であること、ヴァータの乱れの鎮静にも頭部のオイル処置(シロダーラやピチュ)などがとても有効出あること。この患者さん今抱えている問題を大きくカバーできるのは頭部、であると先生は考えている。

しかし、足が痛いのに、頭部のトリートメントを提案することは患者さんの理解や信頼関係がとても重要。そのため、今は定期受診の時間でコミュニケーションをとって、症状の変化、生活の変化などを観察しながら今できる処方箋をおこなっているそう。
少しずつストレスが緩和されたり、心状態が安定してくると、痛みは軽減していくだろうと話していました。

心と体は繋がっている。今回のこの患者さんもまさにそうで、足の痛みだと足や腰に原因がありそうですが、この長引く不調は心の様子とも大きく関わっているんですね。体だけでなく、心へのアプローチも同じく、重要視して捉えます。

Dr「一昔前、私も若い頃なら痛みに対して、痛みをとるアプローチをしていたと思う。でも今は経験や勉強を重ねることによって、患者さんの様子を見てまずはどこからアプローチすればよいかわかるようになってきた」「アーユルヴェーダはとても深いから、学校に通っても、医者になってもずっと終わりのない勉強です。患者さんもみんな違って新しいからこそ、ずっと勉強する」と話していました。

何年もドクターをしていても、こうやって患者さんやアーユルヴェーダに真摯に取り組まれる姿は本当に尊敬でした。

※余談ですが、アーユルヴェーダはたくさんの知恵を持っていますが、インドの植民地時代に大切な書物などが多く燃やされてしまい、喪失された物がとてもたくさんあったそうです。
南インドは残ったものも多かったため、アーユルヴェーダが途絶えずに受け継がれ続けていた、しかし、現代までに大切なことが多く失われたり、忘れられてたりしたそうです。
今もインドでは西洋医学もメインの医療となっています。アーユルヴェーダはセカンドオピニオンで来られる方も多いそう。(どこに行っても良くならない、など)

アーユルヴェーダの大きな古典のひとつ、スシュルタサンヒターをまとめたシュシュルタは外科の父とも呼ばれています。マルマもシュシュルタに記されていて、解剖生理学的な急所であり、守るべき、避けるべき、そして傷ついたときにどう対処するかを記したポイントになります。

現代の西洋医学にもそれは生かされていて(アーユルヴェーダ、シュシュルタが現代医学の外科の源流になっている)、神経の走行、絶対に切ってはいけない部分、避けて開腹したり、侵襲処置の時に避けたり(身近なもので言うと採血など)する部位は今では、神経の走行、血管の走行から具体的に記されていて、現代では当たり前に捉えていますが、昔からマルマポイントとして記されている部分とあっているんですね。

多くのものを既に確立していたアーユルヴェーダ、やっぱりすごいです。


最後に余談になりますが、ドクターに聞いてみた睡眠の工夫についてご紹介します。

忙しいアーシャ先生の睡眠時間は大体5時間程度。子育てをしながら医師の仕事をこなしています。大体質のいい睡眠が取れるそうですが、工夫するとすれば足の裏の簡単なマッサージ、寝る前にホットミルクを少しだけ飲む、などを取り入れているそうです。(ヴァータやピッタの鎮静)

不眠に関しては、人それぞれ原因があります。病気に起因して不眠の場合はまずは病気の治療が優先になりますが、そうでない場合はアーシャ先生の不眠のアドバイスを試してみてください。
ちなみにアーユルヴェーダ薬局で販売されている睡眠用のオイルは主にクーリング系でした。南インドがいつも暑いからと言うのもあると思いますが、頭は熱のこもる場所になるので寝る前にクールダウンすることはとてもいいとお思います。
日本の冬などで眠れない場合は、セサミオイルで足の裏のマッサージや、耳にオイルを垂らすなどをすれば、ヴァータのケアになって安眠につながると思います。

前回の配信にメッセージをいただいて、みゆうさんとの対談で寝る前にオイル塗る話をしていましたが、実際に実施されてとてもよく眠れましたという感想をいただきました!アーユルヴェーダの知恵がこうやって実施されて、いい効果があるって嬉しいですね♪
お便りありがとうございました。


最後まで読んでいただきありがとうございました。Rieでした。




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