糸のこと
『始まりの始まり』
糸紡ぎを知ったのは2人目の子どもが2歳の時のシュタイナー教室にて。
スピンドルで糸を紡ぐという手仕事を教えてもらった。
羊毛というものができる様に感動したし
自分がどれだけ無知であったかに驚いた。
糸ができる瞬間は0→1 無→有
そこに私が携わり、なんなら生み出せることの悦びたるや。
手芸店でカラフルな羊毛を買う
↓※何で染めている?
洗い済みの無染色羊毛を買う(カラード羊の存在に驚く)
↓※何でどう洗っている?
六甲山牧場で原毛を買い家で洗う(大阪市内の自宅)
↓※羊の生態が気になる。
結局羊を飼うことになる(和歌山県の自宅)
工程の中で疑問が生まれ自分で確認したくなり、
知っていくといくつかの違和感を感じるようになった。
『始まり』
・羊を飼い、手紡ぎをしてモノづくりをする
・wsをする
という活動だけでは人繋がりや羊毛の未来、波及効果、金銭的に広がりの限界を感じた
自己満と趣味で終わるような感覚がした
ただの自己顕示欲かもしれないし稼ぎたいという欲求だったかもしれないが、もっと広めたい、多くの人と分かち合いたいと思った。
そこで、以前から知っていた破棄羊毛について調べ始める。
参照:JWP(Japan wool project)について
知っている方に聞いたり、声をかけたりしていくうちに、お金がかかる!ってなった。
『闇雲にやってみる』
もっとたくさんの糸を作りたい
破棄羊毛を活用できないか?
↑
既製品に近づける?
(ここはとても葛藤があった。手紡ぎの良さを知っていたので
手紡ぎのプロセスにこそ価値を感じているのに、速く、多くの既製品、工場、産業に手を出すことは矛盾ではないかと、、、)
↑
紡績工場に出す
(国内で紡績に出している個人の方が数名いるのは知っていた。破棄羊毛を活用している個人は今のところ知りません。)
↑
工場に連絡して受け入れてくださるか聞く
OKをもらう
↑
資金を作るためにクラファンをする
『循環可能な糸づくりを目指す』
羊から糸という工程の中の違和感を無くしていく
・環境的意義
自然に負荷をかけ過ぎては循環可能とはいえない
どの工程においても自然への配慮を欠かしてはいけない
沢山のお湯を使うこと・ラノリンを排出してしまうこと
は逃れられないけれど、
界面活性剤を使わない・破棄されている羊毛を使うこと
で、環境的な配慮を満たしていく
・社会的意義
国内で無駄になっている素材を活用すること
既存の工場と共同すること
洗毛作業という誰にでもできる仕事を作ること
条件が整えば、国内にいくつでも作業場を作ることができる。
羊の暮らしや国内での繊維業の現状などを通して、地産地消の難しさや大切さを伝えることができる
・個人的意義
田舎に暮らしながら、家事育児をしながら、好きなことを仕事にしたい、というモデルを作る。
私だから、ここだから、あるものをあると思えるから
できることがある。
『実情』
長野県、愛知県、高知県(北海道からもお話がきてます)から
使用するあてのない原毛を宅急便で送ってもらいます。
それを自宅の庭にある大きな洗毛用シンク(クラファンより)で洗います。
水は井戸水をポンプアップして太陽光温水器(クラファンより)に繋げ、そのお湯で洗います。
晴れていれば1日羊1頭分くらい洗います。
それを天日で干しながらごみを取り除きます。
紡績工場への最低ロットを干し終えるのに、3か月ほどかかります
人手が私ひとりなのと、お天気の具合と、さすがに毎日は作業できないという理由です。
それを布団圧縮袋に詰め込み工場へ送ります。
工場の閑散期を狙わなければいけません、こんな小さなロットで(個人としては大量とは思うものの)機械にかけてくださるのは空いてるときだからという条件です!
糸になって、コーン巻きで帰ってきます、
かせにして再びお湯洗いします。
工場油と落ち切らず再び湧いてきた?羊脂を落とすためです。
ようやく出荷です。
この工程からどうしても既製品に寄せられなく
ご理解いただきたい点は
◎有害廃液を出さないために、お湯のみで洗っているため、
匂いや脂分が残っている。
⇔海外のものなどは化炭処理といって、ごみや脂を薬品
で溶かしている場合もあり、風合いがかすかすです。
程よいラノリン(うるおい成分がありますし、
羊毛の特性↓を失わないためにも必要)
の残留は「生きた素材」であるといえます
羊毛の特性↓
・保温性が高い
・弾力性に優れている
・疎水性と抱水力を兼ね備えている
・湿潤熱(水分を吸収する際に放出する熱)
の発生熱量が他の素材より高い
◎繋がりのある方から羊をわけていただき、
すべて混ぜ混ぜで糸にしていきます。品種や個体種、
地域の違いが、糸にどうでるかは予測不可能なため、
ロットごとに色や質感に違いがあります
⇔これをコントロールしようと思うと循環可能から
外れます。
その先にあるのは、品種改良(命のコントロール)の
歴史のスタートに立つことになります。
ここに関連して、羊毛は基本的にチクチクします。解決するためには品種改良と化学処理です。なるべく自然な状態で身に着けるためにも、敏感なところに当たらないように工夫したり、フェルト化したり、適したものを作るなど、うまく付き合っていく必要があります。
『この糸の未来』
この糸を通じて、日本の産業はすごい!と思いました。
工場製品は職人さんのものづくりであると思ったし、
個人の想いを受け入れてくださる工場があるんだ!と。
このひな形は国内のみならず、海外でもぜひ活用できると思います。
人がどうしても進む道(速く多く同じようにしたくなる習性)が、医療、教育、衣食住などいろいろな方面で破綻をきたし始めている。原点に戻って、環境にも人にも不自然なことをやめていく時だと思います。
糸というとても愛おしい、すべての原点のようなもの、
そこから始まるストーリーをぜひご一緒に~♡