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共感! ものを失くしたときに読みたいエッセイ

ついこの間まで部屋にあったはずのものがない、またはいつの間にかなくなっていて記憶がない……という経験は誰しもあるはず。特に何時間も見つからないと不安が募るのはわかりますが、まずは一旦深呼吸。心を落ち着かせたいときに読むべき二冊をご紹介します。

失くしたものが見つからないのは「うっかりが8割」説

『あのころ』(1996年)は、漫画『ちびまる子ちゃん』1〜5巻のこぼれ話を集めた、著者・さくらももこの子供時代にまつわるエッセイです。

この巻に収録されているのが「物をなくす」。お母さんが大事にしていたオパールの指輪をなくした話……と聞けば、ピンとくる人もいるかもしれません。

このオパールはさくらももこの母が若い頃に3万円ほどで購入したものですが、数年後に鑑定したところ、100万円ほどの値打ちになっていたのだそう。

そんな指輪を友達と遊んでいるときになくしてしまったのだから、さあ大変。神に祈りながら探し回りますが結局発見できず、母の逆鱗に触れてしまいます。

私が夕食を食べている間も母は指輪を探していた。私が祈りながら探しても見つからなかった物が、そう簡単に見つかるはずはない。そう思っていたら、母はあっという間に見つけて戻ってきた。

発見場所は、すでに見たはずの鏡台の下。母からは「あんたは注意力が足りないから見つかるもんも見つからないんだ」と一蹴されますが、まる子は「きっと神への祈りが今になって通じたに違いない」と結論づけるのでした。

誰のしわざ? 消えたドーナツの行方

続いては少し傾向が異なるお話。『たいのおかしら』(1993年)に収録されている「消えたドーナツ」です。

『たいのおかしら』はさくらももこの大人気エッセイ『もものかんづめ』『さるのこしかけ』に続くシリーズ第3弾。『もものかんづめ』の頃はやや粗さも見えますが、続く2作ではわずか数年でぐっと文章力が上がり、格段に読みやすくなっているのがさすがといったところ。

そのなかでも、なぜだかわからないけど強烈に印象に残っているのがこの「消えたドーナツ」でした。4個買ったはずのドーナツが翌朝になると2個になっていた……というそれだっけちゃそれだけの話ですが、こういった不思議な体験は身近でたくさん起こりますね。

泥棒が入ったとしたら、ミスタードーナツのオールドファッションとグラタンドーナツだけで満足するとは思えない。空飛ぶ円盤がドーナツミューティレーションなるものをしでかし、うちのドーナツを二個取って研究に使ったのであろうか。それとも私か主人のどっちかが夢遊病で夜中に起きて食べたのに記憶がないのであろうか。

容疑者はさくらももこ本人、(当時の)夫、午前中に手伝いに来た母の3名ですが、全員が「絶対に食べていない」と主張。真相は闇の中ですが、空飛ぶ円盤など、発想の飛ばし方がユニークです。

失くしたものは意外と身近な場所に

失くしものに気づいたとき、「まさか泥棒!?」「間違えてゴミ箱に捨てたのかも」「この間遊びに来た友人が、もしかして……」など、さまざまな憶測が駆け巡るものですが、大抵はよかれと思って別の場所に置いていたり、「あとで片付けよう」と思ってそのまま忘れてしまったり、物と物の隙間に挟まっていたり……と、本人の「うっかり」による場合が多いもの。

人は焦ると冷静な判断力を失います。好きな本でも読みながらリラックスしていると、意外な場所から見つかるかもしれません。

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