見出し画像

学び続ける人材マネジメント Vol.4

こんにちは。りえ@キャリアコンサルタントです。今日は2022年3月1日(火)、100日チャレンジ58日目です。

報酬

今回も、坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」からの学びをアウトプットしていきます。前回、報酬には「外的報酬」と「内的報酬」があり、「外的報酬」の最も重要なものは「賃金」で、「賃金」は「満足ではなく納得」を目指すべきものであるという学びをシェアしました。納得感を得てもらうためには、正しく等級設計をして、公平感のある評価結果と照らし合わせ、そのプロセスを透明性高く公開し、丁寧に説明することが大事であると学びました(賃金の納得感を作る4要素)。

前回は「外的報酬」を取り上げましたが、今回は「内的報酬」についてまとめていきたいと思います。個人的には、大好物のテーマ・・。本書の中でも、特にお気に入りのChapterです。では、いってみましょう!

内的報酬

Chapter3.賃金・退職金 (外的報酬)
Chapter4.働きがい   (内的報酬)

坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」より

今回のテーマ、内的報酬。Chapter4.の主タイトルは、「働きがい」となっています。「働きがい」とは、どういうものなのでしょうか?「世界中の企業の働きがいを調査しているGPTW社」(90頁)は、このように定義しているそうです。

「働きがい」とは「仕事のやりがい」と「働きやすさ」が揃っている状態

坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」90頁より抜粋

そうなんですね。「仕事のやりがい」だけではないんですね。「働きやすさ」も揃ってないといけないんですね。では、「仕事のやりがい」って?「働きやすさ」って?

仕事のやりがいとは
・困難に手応えを感じながら前に進むこと
・仕事自体から生まれる報酬「内的報酬」とも関係が深い
・研究者ハーズバーグの言う「動機づけ(モチベーション)要因」とも関係が深い

働きやすさとは
・快適に働き続けるための、就労環境や労働条件があること
・外部から与えられる報酬「外的報酬」とも関係が深い
・研究者ハーズバーグの言う「衛生(予防)要因」とも関係が深い

坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」90頁より抜粋

なるほど。ざっくりと、「仕事のやりがい」は、働く人自身が内面で感じるもの、「働きやすさ」は、企業側の努力により外から与えられるもの、と理解することができそうです。もちろんそこは白黒ハッキリしているわけではなく、「仕事のやりがい」にも企業側が関わっていることもあるでしょうし、「働きやすさ」にも働く個人の働きかけが影響することもあるでしょう。「内的報酬」というと、「内面的なもの」「個人が感じるもの」だと思っていましたが、「外的報酬」と切り離して考えるものではなく、内的報酬の中にも外的報酬の要素が含まれているというのは非常に勉強になりました。

余談ですが、このテーマについて考えていると思い出すのは、「やりがい搾取」という言葉。仕事のやりがいだけ与えて、働く環境や条件面では我慢を強いるという状況です。「逃げ恥」(「逃げるは恥だが役に立つ」 /  TBS系・2016)のみくりちゃん(新垣結衣さん)も「やりがい搾取、断固反対!」と言っていましたね。

一方で、「働き方改革」として現代の企業が取り組んでいる施策は、主に「働きやすさ」に関するものなのだそうです。「働きやすさ」に関しては、「施策の成果が目に見えやすく、着手しやすい」(90頁)と解説されています。その反面、「仕事のやりがい」は、「目に見えにくく、すぐには成果が見えないため、本質的な取り組みは難しい」(90頁)とあります。

やりがい

「生きがい」「働きがい」「仕事のやりがい」等、「がい」の付く言葉が色々ありますけど、この「がい」って何でしょうか?「がい」の解説と、「がい」のつく言葉の代表、「やりがい」についての本書での解説が私はとても好きなので、ご紹介します。

・「甲斐(がい・かい)」とは、ボートを漕ぐときに手に持つオールのこと
・前に進むときに抵抗を感じてこそ、やりがい
・前に進まなくては、やりがいは感じられない
・楽々と進んでしまっても、やりがいにはならない
・困難に手応えを感じながら進むことが「やりがい」

坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」90頁より抜粋

私はこちらの解説の中に出てくる「抵抗」「困難」という言葉に注目しました。こういった「一見嬉しくないもの」があってこその「やりがい」なんですね。そういえば、入社2年目の頃、24歳の時に、「人事担当者」としてとある冊子に一言コメントを掲載していただいたことがありました。(ドヤ顔の写真付き。)そのとき自分で考えたコメントが、「困難は自分を成長させるチャンス!」というものでした。困難にぶち当たったときに、「喜んで!」と思うこと。これが入社2年目の自分なりに、新入社員の方に伝えたかったメッセージだったようです。この言葉は、当時からずっと自分の指針となっているので、そう考えると、やりがいを感じることの多い職業人生を送ってきていると言えるかもしれません。

ただし、「前に進まなくては、やりがいは感じられない」ともあります。そうなんですよね。「困難」や「抵抗」だけあっても、嫌になってしまうものです。目標に向かって「進んでいる」という「手応え」がほしいんですよね。うーん、ダイエットや試験勉強にも通じるところがあるかも。目に見える成果、誰かからの褒め言葉、何でもいいから「私、ちゃんと良い方向に進んでいるよね・・?!」という手応えがほしいんですよね。

「仕事のやりがい」はどうすれば得られる?

ここまでで2000字以上も語ってしまいました。実は、Chapter3.のツボ031~040のうち、まだ033の「Q 働きがいとは何か?」(90~91頁)についてしか触れていません。033だけでご飯が美味しく食べられますよ、という証明になりました(笑)では、働きがいとは何かが分かったところで、目には見えにくい「仕事のやりがい」について、どうやったら得られるのか?ということを考えてみたいと思います。

中核五次元

みなさんは、どのような時に「仕事のやりがい」を感じられますか?Chapter3.のツボ037には、コンサルタントとして多くの企業を見てきた坪谷さんが「業界・企業規模・職種にかかわらず共通している」(98頁)と感じておられる「中核五次元」が紹介されています。「中核五次元」は、坪谷さんの座右の書、大沢武志「心理学的経営」の中で書かれており、同書の中に仕事を設計する原則としてハックマンとオルダムの「職務設計の中核五次元」があげられているそうです。

中核五次元
・スキルの多様性
・タスクアイデンティティ
・仕事の有意義性
・自律性
・フィードバック

坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」98頁より抜粋

「この5つを満たす仕事は『やりがい』が高まる可能性が高い」(98頁)という大きなヒントをいただきました。(それぞれの詳細はぜひ本書で!)これ、一つでも当てはまれば「仕事のやりがい」は高まりそうですよね。5つ全て当てはまったら、「生きがい」に昇華するんじゃないかなと感じます。

ただし当人の能力と技能が著しく低い場合、成長への意欲が弱い場合、賃金や作業条件など環境条件に不満を持っている場合には、やりがいは高まりません。

坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」98頁より

上記の通り但し書きもありますが、これも非常に納得です。「こうすれば確実に上手くいく」という唯一解ではないのですよね。唯一解はそもそもなく、「共通して有効と思われる方法」を先人たちが示してくれているので、それらを実践→検証しながら、その企業や働く人の個性に合わせた調整が必要になります。

「若者を仕事に駆り立てる」心理的条件

坪谷さんの座右の書、大沢武志「心理学的経営」は、「なぜリクルート社の社員はそんなに元気なのか?」という世の中の問いに答えて書かれた実践書。(ちなみに大沢武志氏は、リクルート社の人事役員として組織文化を作ってきた方。)そこには、「中核五次元」の他に、「若者を仕事に駆り立てる」秘訣が示されているそうです。(「若者を」となっていますが、若者にしか当てはまらない、という趣旨で書かれているわけでははないと思われます。)

「若者を仕事に駆り立てる」心理的条件
・自己有能性
・自己決定性
・社会的承認性

坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」98頁より

(良いことが書かれていますので、それぞれの詳細はぜひ本書で!)「若者を仕事に駆り立てる」心理的条件、これらを満たす働きかけの一つとして、働く人に対するキャリアコンサルティングが有用だと感じました。キャリアコンサルティングは、カウンセリング技法をベースとしたコンサルティングなので、ご本人が内面と向き合うお手伝いもします。「仕事のやりがい」が、「困難に手応えを感じながら前に進むこと」であるならば、困難にぶつかった時には心理的支援を行い、前に進もうとする時には伴走支援を行うことができます。こういったことは、私自身が企業に勤めていたときにはなかったですし、あったらいいなあと思っていたことでした。導入している企業も増えてきていると思いますが、特に日本では、まだまだ心理的支援そのものが一般的ではないように感じます。重視する流れにはなっていると思いますけどね。

まとめ

他にも触れたいツボはたくさんあるのですが、このへんでまとめに入りたいと思います。今回は、報酬の中でも「内的報酬」をテーマに取り上げました。内的報酬とは、「働きがい」と言い換えることができると理解し、働きがいとは、「仕事のやりがい」と「働きやすさ」が揃っている状態であると学びました。目に見えない「仕事のやりがい」を高めるって難しい、けど、本書ではその共通原則が示されているので、社員の働きがい向上を考えている方にはとても参考になる書だと思います。

もう一度言いますが、他にも触れたいツボがChapter3.の中だけでもたくさんあるのですよ。

ツボ032「内的報酬と外的報酬のバランスをどう取るべきか?」
ツボ035「世界で最も仕事のやりがいがある国・ない国は?」
ツボ036「日本において仕事のやりがいはなぜ低いのか?」
ツボ039「仕事にやりがいを持たなければダメなのか?」

坪谷邦生「図解 人材マネジメント入門」より

特にツボ032は、大変興味深い内容になっていますし、ツボ035は、家族でクイズ形式にして、楽しみながら学ばせていただきました!

著者 坪谷邦生さん

さて、勝手にまとめさせていただいている「学び続ける人材マネジメント」シリーズですが、毎回、インプット元の「図解 人材マネジメント入門」の著者ご本人である坪谷さんにもご覧いただいているようです。

坪谷さん、いつも本当にありがとうございます・・!

坪谷さんの新刊

そして、待ちに待った坪谷さんの新刊が先日手元に届きました。

さらに、「図解」に出てくる人型のイラストを我が家では「棒人間くん」と呼んでいたのですが(子供たちが棒人間好きなんですが、こういう人型のこともなぜか棒人間と呼んでいます。)、なんと坪谷さんからお墨付きをいただいてしまいました。嬉しいです・・!さらに、図表の下で指差しポーズをとっている人型は、坪谷さんご本人を表しているのだそうです!そういえば、プロフィールのお写真も、指差しポーズ!こんな豆知識もいただけて、坪谷さん、楽しいやりとりをありがとうございました!!

「人材マネジメント」と並行して新刊「組織開発」も読んでいます。早速お気に入りの箇所も見つけてしまいました。それは100のツボ003にあります。「組織開発」からも、アウトプットできる日を楽しみにしております。気長に、待っていてください(笑)ちなみに、「人材マネジメント」の記事を書いていたら、仕事でもリンクする出来事がありました。早速活用させていただけたので、感謝の気持ちで一杯です。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集