調判定できるようになりたい!【第3回・調の組み合わせ】
さて、調号を見てその曲の調が判別できるところまで来ました。今回は、転調しているものを見ていきましょう。
その前に!
♪♪やってみよう♪♪
自分の知っている曲を調ごとにまとめて、オリジナル調カタログを作ってみよう!
時々レッスンでは宿題に出すのですが、
実は自分でやったことがなかったので、今初めてやってみました(笑)
思いつくまま、書き込んでみます。
知ってる曲だとなおいいけれど、
調べたり、身近な楽譜を見てもOK。
全調揃っていなくても大丈夫です。
これをまとめたことで、
「この調はこういう感じがするな」
「こういう色のイメージ」
「ロマン派以降に多い調かな」
「私はこの調が好きだな!」
など、
何か発見があるはず!
教えていて、たまに移動ドだから長調は何でもC durに、短調はa mollに聞こえる、って方がいますが、
そんな人こそ、こうやってまとめて調の微妙な性格を知ったり、普段意識しなかったところに目を向けて見るのをオススメします!
※注
長い曲や、形式のある大規模な曲(例えばソナタや交響曲など)でタイトルに◯調と書いてあるようなものは、曲の最後の調とは限りません。第1楽章の調や、第1主題の調をその曲を代表する調として提示する場合が多いです。詳しくは違う機会に解説!
転調とは
曲の途中で他の調に移ることを転調と言います。
時々歌の人が、「この調は自分には低すぎるので転調しました。」
と言っていてビックリしますが、そういうのは移調と言うので間違えないように。
調を自分で動かすことではなく、元々の進行がそうなっているものが転調です。
さて、
なぜ曲の途中で転調するのでしょう。
転調するとどのような効果があるのでしょうか。
上の写真にある和音を見てみましょう。
①を聴くとなんだかお辞儀がしたくなる!
②は、深呼吸したくなるとか。
③は晴れて曇って、また晴れる。みたいな
刷り込みもありますが、
一般的に何となくこのような印象を持っている方が多いと思います。
このような和音の機能と同じように、
調の組み合わせ方で、曲全体の印象が変わります!
♪♪やってみよう♪♪
次の曲を部分に分け、調判定をしましょう。
また、どのような印象を持ちますか?
ブルグミュラー:タランテラ
(出典:ウィーン原典版 p.56,57)
楽譜見づらくてごめんなさい。
良かったら手持ちの楽譜で見てくださいね。
まずは大まかに部分分けしてみましょう。
AとかBとかを振っておくと便利です。
以下、
参考までに私が部分分けしたものです。
序奏とコーダもつけました。
序奏ーAーBーA'ーCーA'ーcoda
では、それぞれの部分の調を見ていきましょう。
まず、調号は♭シのみなので、
F durかd mollのはず
冒頭からレで始まり、何だかレを中心に動いている様子。
d mollだとすれば導音は♯ドなので、
ドを見てみると…
シャープばかり付いています!
どうやらd mollの曲で間違いなさそうです。
1箇所だけ、
Aの終わり4小節間(オレンジ色の部分)
ここのドは全て♯がついていません。
よって、この4小節間はF durになります。(平行調)
調号が共通しているので、ドを半音上げるか上げないか、だけで転調できるのでよく見られるパターンです。
Cの部分になると、
調号も変わります。♯がファとドについていて、Cの最後の部分はレ♯ファラ(D)、ラに♯も付かないし、ここはD durですね。
d mollがD durになりました。
このように、主音が同じ調(同主調)で転調することを転旋と呼びます。
転旋は、曲の色を変えることなく明暗を表現でき、これもよく使われる転調のパターンです。
(シューベルトによく見られます。彼は転旋の天才です!)
その後、また調号は♭1つに戻り、d mollのまま曲は終わります。
おおよそ掴めたら、表にまとめてみると分かりやすいです。
この曲は大体がd mollなので、
途中にあるD durの部分(Cの部分)がだいぶ雰囲気が変わりますね。
また、僅かにあるF durの部分をどう感じ、解釈するかも人それぞれだと思います。
このような変化をどう表現していくか、ぜひ計画を立てて弾いてみてください!
これを参考に、
ブルクミュラー25の練習曲の他の曲も部分分けとそれぞれの調判定をしてみましょう。
個人的にオススメは、
7.清い流れ
10.やさしい花
14.スティリアの女(シュタイヤーの踊り)
25.貴婦人の乗馬
です!
どんな転調をするとどういう感じがしてどういう印象を持つか、いろいろ比べてみましょう!チャレンジ!
次回は、「近親調、遠隔調」「ソナタ形式の調判定について」です。
質問、感想、ご意見、こんなこと取り上げてほしい!などのリクエストありましたらお気軽にコメントください。
なお、ある程度の知識がある方に向けて書いていますので、これじゃついていけない、という方は、ぜひ個別レッスンに!その人にあったレベルで解説します。(対面、オンラインどちらもあり)
レッスンご希望の方はrie3_e_mail@nethome.ne.jpまで。