Italian Job
ローマでの滞在はヒップなカルチャーエリアPigneto(ピニェト)エリアのとあるアパート。バスでテルミニから約20分くらいのちょっと東京で言うと荒川区とかそんな感じ。
夜になるとドラッグにはまる若者達が近所のカフェで大騒ぎをするので、とってもうるさい。
深夜に外に出るのはやめておこう。その夜ベッドに横たわりながら確信した。
ドラッグ中毒集団の騒ぐ声でなかなか寝付けなかった私を、今度は翌朝ガリガリとタイルをはがす音で起こされた。
眠い目をこすりながらリビングに行くと、ホストのヨランダが朝食を作るよと言ってクッキーにジャムを塗ったものを出してくれた。(本当かどうかわからないけれど、イタリアの朝食といえば、乾燥パンやクッキーにジャムを塗ったものが一般的だそうな)
私は毎朝ヨランダと朝食を食べながら話をするのが大好きだった。
クッキーの上にのせるジャムは、ヨランダお手製のものだった。クランベリー、ブルーベリー、ママレード、、、どれもとーっても美味しかった。
スコットランド出身のヨランダは、大学卒業後、誰も何も知らないまま、遥か遠くスコットランドからヒッチハイクの末、ここローマへと移住してきたらしい。
ローマの語学学校で教師をしていたところ、プーリア出身の旦那さんと知り合い、結婚、イタリア滞在歴25年も経つというかなりヒッピーな過去をもつファンキーなマンマ。
そんなマンマが今朝はかなりご立腹なようだったので理由を聞いてみると
「もう半年前に水道屋さんに配水管工事を頼んだのに、何の前触れもなく今日来たのよ。今まで何度も催促の電話してたのに、その度に明日行きますとか、来週行きますとか。6ヶ月経って普通に玄関のベル鳴らしてきたのよ。しかもこの早朝に。(その頃朝8時半)本当に信じられない」と言うのだ
日本では考えられない事だけれど、「郷に入れば郷に従え」と言わんばかりに当の水道屋は全く悪びれる様子もなく、のんびりと仕事をこなしている。
プーリアからとってきたばかりのクルミを割りながら、ヨランダの怒りは頂点に達していた。今にもイタリア語で水道屋のおっさんを罵倒してしまいそうだったので
「クルミ割るの手伝うよ」と言ってヨランダの怒りを鎮めるべく私は話題を変えようと必死になった。
ところが、、鎮まるどころか、出てくる出てくるヨランダのイタリアの仕事に対する愚痴。
つい最近も同じようなガサツなイタリア人の仕事っぷりに呆れたそうな。
スコットランドへ帰省用の飛行機チケット買って、郵送で送られてくるはずが、待っても待ってもなかなか届かない。
搭乗日はどんどん近づき、さすがにしびれを切らして郵便局に電話したところ
「あなたの居住地区の配達担当者が風邪を引いてしまいまして、休んでいる期間2ヶ月ほどの郵便物が届けられずにおります」
と言われるだけ。
代わりの配達員いないんかい!とか。風邪引いてるっていうよりその配達員バックレだろ!とか。もうツッコミどころがありすぎて、自分の主張が正しかろうがなかろうが、呆れるしか無いのがイタリア。
今となっては笑い話になるだろう事だけども、この日のヨランダにとっては怒り再熱と言わんばかりに
「Rie, 何があってもこの国の郵便システムは絶対に信用しちゃだめよ。」
と、クルミを割りながら鼻息荒めに重々に念押しされたのだった
しかし、これを真剣に捉えてなかった私は、のちのち痛い目に合う事になるのだが。。。
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