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算数の勉強⑥

 算数を先生に師事して学んでいる。
 このところ、いや、これまでも、数学や理科の比や割合に関する問題で、解き方の説明はするのだが、子どもがいまいち腑に落ちていない顔のまま終わることがあって、自分でももっと理解を進めたいなあと思っていた。次回の教室で、算数からやり直している中学生を担当する可能性があったので、この回は「割合」の内容にしていただきたいと先生にお願いしたら、対応してくださった。
 算数の授業は小学4年生の教科書に沿って進めているのだが、いちおう、私が直近で感じたわからない点にも対応していただくことになっている。

4年生の割合

 割合という言葉は、小学4年生で習う。4年生のこの単元での目標は「ある数をもとにして、その何倍になっているかを考える」こと。

 「何倍になっているか、という表現なんですね。ここの単元で扱うのは、2倍、3倍などの整数倍ですね」
 「1.5倍や0.2倍なんかで躓く子が結構いる気がします、なんとなく」
 「もとにした長さを何倍かした長さから、もとにした長さに戻すときに割り算を使うことも一緒に習うんですね」
 私は学習支援の教室で、毎回小学生の算数や中学生の数学を担当するわけではないので、そう経験があるわけではないのだが、2倍や3倍はすぐに分かっても、1.25倍に増量!や0.8倍になり節約!が難なく分かるには、段差の乗り越えがあると思う。

 整数倍を扱うので、例題に「フライドポテトLサイズの重さはSサイズの3倍」とあり、それならSサイズを3つ買えばいいのでは?Sサイズ3つより、Lサイズ1つの方が安いんだろうか、という、どうでもいいコメントをすることになった。(ちなみに、いま授業の復習で教科書を見ていたら、この例題の続きに、Lサイズの値段はSサイズの2倍とあった)

いらすとやからフライドポテト

2年生のかけ算

 〇倍という表現は、かけ算を習う小学2年生で出てくるらしい。
 初回の授業で、詳細を書くのは控えるが印象に残るかけ算のエピソードがあり、それは、意味のない計算はしない、計算をするのは、何か必要があるから計算するのだ、という話だった。
 以前、先生がかけ算を教えた小学生に「どんな時にかけ算を使ったか教えて」と問いかけたら、30分経っても話が出てこなかった、という話をおっしゃった。え、それはどんな30分ですか…と気になったものの、私も問われたので、「まあ休憩時間に子どもたちにお菓子を配る時ですか、あと、1カ月に使うゴミ袋の数とか、消耗品のストック購入時に考えますかね」と部屋のゴミ箱を見ながら答えた。大人なので。
 一度落ち着いて考えれば難ないけれど、いきなり問われたら「は?日常でするかけ算???」となるので、その子がなかなか答えられなかったのもわかる気がする。なんにせよ「答えるまで待つ」は難しい。

 かけ算の話題になったので、先生が小学2年生の教科書を見せてくださった。折りたたんであるページを広げると、そこには遊園地らしいイラストが描かれていた。
 「このイラストから、かけ算の問題を作るなんて、本末転倒ですよ」と、先生はおっしゃって、聞いた時は何となくわかったようなわからないような気で流したが、今となってはどういう意味だがやっぱりわからない。
 そのイラストを見ながら小学生と長い時間二人で話したという。安易な「二人乗りのゴーカートが3台だから6人ですね」みたいな話をしたわけではないことは把握した。例えば…とその時の話題をいくつか教えてくださったが、数学を学んだ先生は、そのイラストや小学生の言葉から、本当にたくさんの数学の世界を感じ取っているのだと思う。
 そういえば、初回の時に子どもとこんな話をした、ということを私が先生に言ったら、肯定的でも否定的でもない調子で「そういう教え方は私には出来ないです」と言われたことを思い出した。そう言われたときは「それは当然そうなのでは?」くらいに思ったのだけど、ふと思い出せるくらいにはその言葉が頭に残っていたらしい。
 その小学生と先生が、教科書のイラストを見ながら、長い時間お話ししているところを想像し、よかったなと思う。その子は、遊園地に連れて行ってもらった楽しい経験があったんだろうな。

いらすとやから遊園地

 学校のテストのような算数は苦手だけど実感を伴った数の捉え方が的確に出来る子とのエピソードも教えていただいた。とても賢い、学校の成績やテストの得点は良くはないですけど、と先生はおっしゃっていた。
 学校の教室よりスケールの大きな賢さがあって、もし、その子が教室が狭いことにも気づかずにいるなら、その狭さを伝えないといけない。でもそれはきっといつか自分で気づけるとも思うし、今、教室の中の「わからない」を、僅かでも「わかったかも」と感じて欲しいとも思う。子どもが「わかったかも」と感じるにあたり、隣に居る私がそれをわかっているかどうかはあんまり関係ないな、とも。

 という訳で、なんだか取っ散らかったことをつらつら考えた授業だった。結果からいうと、私の「割合」の理解は進んでいない。算数は順序がマジ大事(私意訳)とのことなので、次回はまた教科書に戻ってやります。