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【あらふぉ~半生を振り返る】ひたすら本を読む

ジュニアパイロットというのをご存じだろうか?

これはANAが提供しているサービスで、子供が一人で飛行機に乗る際に、空港スタッフが付き添い、到着空港で待つ保護者などの元へ送り届けてくれるというものだ。

夏休みは子供が1ヶ月家にいる。
共働きの夫婦にとっては頭を悩ませる問題だ。
当然我が家は共働きで、しかも母はフルタイム。

そんな理由で毎年夏休みの1か月間、小学3年生まで私は父の実家の九州へ、一人飛行機で送られたのだった。

祖母から聞いた話だが、当時の私はとにかく本ばかり読んでいたそうだ。
しかも、一度読書に集中すると、周りの声が全く聞こえなくなるほど没頭していたらしい。

小学校の近くには古い図書館があった。
両親が仕事でいない間は、いつもそこで過ごしていた。
お正月に、その図書館の職員さんが私にお年玉をそっと渡してくれるほどには入り浸っていた。

読んだ本に関してはタイトルなど覚えていないが、多分今と同じように手あたり次第に読んでいたと思う。
中学生になった時に、大好きだった推理系の本が初めの数ページ読めばオチがわかるようになってしまい、とても悲しくなったのはよく覚えている。

高校生で初めて友人が出来た時、パタッと本を読まなくなった。

全てを忘れ、高校デビューを果たしたのだ。
文字通り、脳が「スベテワスレチャッタ」状態だったのだが。

仲の良いグループの中で遊ぶ時間は本当に楽しく、毎日が新しい体験の連続だった。
今考えると本を読まなくなったのは、単に興味の移り変わりではなく、
私にとって本を読むことと、人と会話することは同じ、
「他者の思考を体験すること」
だったからだと思う。

ここ何年かは、仕事に求められる知識を広げるための読書をしている。
子供の頃の本の読み方は「右脳」で、今は「左脳」で本を読んでいると感じる。
基本的に自己啓発系かビジネス書が中心で、著者と本のタイトルを覚えない人なので、
「読書は好きですか?」
と聞かれたら「いいえ」で返している。

本屋や図書館で本は発見するものではなく、向こうから声をかけてくる。
それは常に考え事をしている私に対して、神様からのヒントのようにも感じている。

誰とも本について語り合ったりしないけれど、
今も昔も読書は自分にとって、とても大切で、至福の時間と言える。


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