クシタニのジャケットで冬を越えてみて
昨年の秋、新しいジャケットを買おうとソワソワしていた。
僕の場合、バイクに乗る上で一番つらく感じるのは寒さなので、ちゃんとしたジャケットが欲しいと思っていた。
タイチ、ヒョウドウ、クシタニ。15年くらい前にサーキット遊びをしていた頃はヒョウドウユーザーだった。はじめHYODという表記をなんとなく韓国風に感じて日本のメーカーではないと思っていたのだが、なんと当時の自分の住む街、浜松のメーカーだった。タイチは小僧っぽく、クシタニはベテラン風。ヒョウドウはまだ特定のイメージがなく、シンプルで良かった。同等グレードのツナギの価格はヒョウドウが一番安かったように記憶している。
品質が良く丈夫で快適だったので、今回もヒョウドウにしようと思ったのだが、デザインがスポーツ感丸出しのものがほとんど。しかも100m先からでもhyod!とわかりそうな感じ。さらに知らぬ間に随分ハイブランドになったようでお高いジャケットばかり。
うーむ。
僕の方は店を始めて以降サーキット遊びはやめてしまったし、今は指を怪我した後遺症でスポーティーな走りをしない。今後も峠などに行く予定はない。
もっと普通でいいんだけどな…。
そう思って探したら、有りました。
クシタニ、アーカナ・リブ・ブルゾン。
サイトの写真で見ると黒の方がカッコいい。
このグレーはさすがベテラン風のクシタニだけあって(ちょっとお爺ちゃんっぽいんじゃ…)と感じていたんだけど、最寄りのクシタニに行ったら既にグレーしか無かった。
店主曰く、クシタニの販売網は多少込み入った事情があるらしく、売り切れた商品を取り寄せる気はないとのこと。
試着してみると心配したほど爺々臭い感じではないし、どちらかと言えばまあまあ似合っていた(自分が老けた?)ので購入。インナーのダウンとセットなので高い。5万円以上の買い物になった。
実際に着て、冬を越えた感想は「十分」。本格的な寒さの中を長距離走るとなれば、少し寒いかもしれないけれど、冬の午前中に100~150キロくらい走るには十分だった。着心地も良いし、縫製もしっかりしている。
気になる点は、僕の体型のせいかジャケット内のウィンドストッパー(腹巻きみたいになっている)のボタンを留めた状態でしゃがむと中の服がずり上がってしまうところ。走り出す前にシートに置いたグローブがコロコロっと地面に落ちることがある。そういう時にしゃがむのが少し嫌。
それ以外は不満を感じない。
インナーのダウン(ダウン風であって羽毛ではない)の保温性がよく、アウターの防風性が高い。防寒性能だけであれば、おそらく3万円くらいから満足できるレベルのものがあると思うが、重量や嵩張り具合等のバランスで、トータルでみるとクシタニのジャケットは良くできている。
まあ、5万円もするからなあ。それで寒かったら洒落にならん。
ともあれ、少々高くてもスポーティーではなく落ち着いたデザインのジャケットが欲しい、という場合には最良の選択肢であると思う。
高い高いと書いたけどインナーだけで普段着として使えるクオリティーがあるので、2種類の上着を買ったと思えば、妥当な価格じゃないだろうか。