GW at 兵庫
ゴールデンウィークは久々に妻の実家へ行った。
実家と言っても、今は住む人の無い空き家である。妻は年に数回、片付けに行っているのだが、僕は猫と留守番の係で、もう5年近く行っていない。
本当は自分の実家のある富山へツーリングに出るつもりだったのだが、
「お父さん、白内障の手術だから帰って来なくて良いよ。」
と母親に言われてしまった。
全然理屈は通っていないが、つまり「今は楽しく会える気分じゃないよ。」ということだろう。
ポッカリと時間ができてしまった。
「どうしようかな」
よく晴れた外を見ながら、ボンヤリしていた。そんな僕を見て、妻が一言。
「じゃあ、西脇に行ってきてよ。」
うーん。まぁいいけど、先月から愛媛に2回行って、その後また神戸に行ったばかり。先週は明石に滞在していた。
また行くのかぁ…。
少し迷ったが、行くことにした。片付けを進めないと、あの家はずーっと片付かない。
片付けが主たる目的なので、車で家を出る。道中は思ったよりも空いていた。平日は混雑する湾岸線も、東名の町田や綾瀬の辺りも、目立った混雑はなかった。
愛車のキャラバンはタービンの音を運転席まで響かせる。ガラガラとしたディーゼルの音とキーンというタービンの音が混ざってジャンボジェットのよう。
ズンズンと順調に走り、約600キロ、7時間で到着。
着いたらすぐに、そそくさと片付けに勤しむ。言われた物を車に積み、ゴミをまとめ、点検すべき点をチェックする。
駐車場の枕木にシロアリがいると聞いていたので確認する。確かにいるけど、多くは無い。
聞いた話ではもっとウジャウジャいる様子だったけどな…。そう思いながら、家の周りを一周する。よく観察すると、物置小屋に立て掛けた木に蟻道がある。蟻道はシロアリの通路で、土でできたトンネルのようなもの。
(まさか?)と思いながら何枚か重なった木を少しだけ離してみる。すると木と木の間に沢山のシロアリが見えた。
「なるほどね。」
独り言を良いながら、持ってきた餌を仕掛ける。シロアリの駆除は焦らないことが肝心。
焦って彼らの棲みかを壊してしまうと駆除できたか否かの確認ができなくなる。ヤマトシロアリであれば、彼らの食害のペースは決して早くないので、余程じゃない限り、家が傾くほど食べられることはない。
観察しながら餌を仕掛ける。シロアリとの知恵比べだ。
家の周りの余分な木材は、物置にあった義父の丸鋸で細かく切ってビニールへ。その木材が結構沢山あった。
「まったく木が好きな家だなぁー。」
と、文句ともボヤキとも言えない気分になる。
そうしていたら、すぐに夜になった。
この家のエコキュートは妻によって休眠させられているので、近くの銭湯を探す。
10キロも離れていない所に滝野温泉「ぽかぽ」という施設があるみたい。他に良い選択肢もないようなので行ってみる。
「ぽかぽ」は思ったよりも綺麗で良かった。少し狭い印象だったけど、ゴールデンウィークでなければ空いているのかも。入り口で見かけた若い女の子の2人連れが可愛かった。
若さが羨ましい。
ローソンで夕飯を調達し、家に帰る。
何を食べても自由なのにコンビニで済ます自分に(色気がないなー)と思う。
他人の空き家で独りぼっちは少し怖い。夜はラジオを聴きながら、よく寝た。
空き家。
最近はいろんな所で問題になっている。僕の自宅の周辺でも、ちらほら見かける。皆、処分に困っているのかな。
今回久しぶりに行ってみて、自分に関して言えば、時々こうして1泊の宿として使うのは悪くないと思った。良いお風呂もある。
義母が存命の間は処分することもできないし、西日本の旅の拠点として時々訪れて掃除してシロアリの観察をする。それが良いのかな。
そんなことを思ったゴールデンウィークの1日だった。