大好きなバンドのライブに行かなくなった話
LUNA SEAというバンドが 好きである
筆者は1983年産まれ。
同年代の方からしたら「ああ〜」と言った感じだろう。
いわゆる直撃世代である!
「MOTHER」「STYLE」を中学の時に先輩が貸してくれたのが出会いだ。
ただ当時は少なからず「皆んなが聴いていたし」って要素もあって聴いていた部分もあるのが正直なところ。
実際にしっかりと聴き込んだのは2000年以降。解散してからだと思う。
バンドを始めて、ライブハウスに入り浸るようになって驚いたのは「LUNA SEAに影響を受けて楽器を始めた」人の多い事だ。
体感だとHi-STANDARDよりも多かった。
少し上の世代の先輩のLUNA SEAの凄さを語る熱量に感化されて、もう一度ちゃんと聴いてみる事にした。
楽器や作曲を始めてから改めて聴くLUNA SEAは驚きの連続だった。
プレイヤースキルの高さもそうだが、アレンジの斬新さに驚かされた。
プロデューサーを使わなかったとはよく聞くが、定石を無視しまくっているのに何故か楽曲として成立するギリギリのバランス感に魅了された。
平気でぶつかってる音とかあちこちにあるのにそれすら構成要素になってる。
解散前に一度ライブに行った。「10万人ライブ」ってやつだ。
1番後ろのブロックだった僕は正直「この音量でやるの?」とガッカリした。
普通に隣の人と会話が出来た。
ライブが進めど上がったり良くなる気配のしない音響。風が吹くたび消えるギターの音。
全く見えないメンバー。
「早く帰りたい」と思ったのを強く覚えてる。
2度目のLUNA SEAのライブは2007年の復活ライブ 東京ドームだった。
自分の音楽知識が上がったのか、音響設備の進化なのか。とてつもなく満足した。
何より東京ドームで、演出に頼らずにバンドのアンサンブル。そしてメンバーのフィジカルであそこまで魅了出来るって事にいたく感動した。
「このバンドは、小さなライブハウスで観ても絶対カッコいいんだろうなあ」と思った。
バンドってスタイルの一つの理想系だとすら思ってる。
そこから何度かライブに行っている。
熱心なSLAVE程ではなく、年に一回とかそんなレベル。空く時は数年空くみたいな。
その度に満足したし、大会場でも「バンドの強さ」みたいな物を主軸に置いたライブのスタイルを堪能した。
コロナ禍の時だったか、SNSで「RYUICHIの声が出なくなってる」みたいなのを見た。
その時は「まあ、年齢も年齢だしそんなこともあるのだろう」くらいにしか思っていなかったが、その後に手術の為にしばらく活動休止という話を聞いて流石に心配になった。
その後復活ライブがビックリするほど早いタイミングで開催された。
その日は行けなかったが、SNSを見る限りすっかり良くなっているような感想が目に入った。
ああ、良かったなあと思って年末に行われた「黒服限定GIG」に行く事にした。
一曲目から愕然とした。声質が別物になっていた。
それと同時に、凄く辛そうに感じた。
伸びやかとは程遠い。振り絞ってなんとか音階に届かせてるって印象。
「回復したって言ってたじゃん!!」と思いながらも、手を合わせるようにしてライブを観た。
頑張れ…頑張れ…!
2時間のライブが終わる頃にはグッタリと疲れてしまった。
アンサンブルや演奏を楽しむって感じでもなかった。
1番の感想は「心配」って2文字。
楽しかったとか、感動したって想いも勿論ある。
でも、「お、この曲のキー出るか?? お!何とか出たー!!良かったー!」みたいな感情で観るライブって正解なのかな?とも思った。
SNSの感想を観ると、「声が出てない。無理しないで休んで欲しい」みたいな意見も結構あった。
それに対して「今もがきながらも必死にライブを届けようとしてるLUNA SEAに失礼だ。」みたいな事を言う人もいた。
コレで凄く考え込んでしまった。
僕も確かに「も少し良くなってからでもいいのでは?」と思った。
休めば良くなるって確証なんて勿論無い。
でも、僕はLUNA SEAのライブに「演奏で紡がれる感動や刺激」を貰いに行ってるのであって、予備知識ありきのドラマを観に行ってる訳ではない
僕だって憧れたバンドのライブを、公園で逆上がりにトライしている少年を見るような気持ちで見たくはないよ
SNSの感想を観ていると、「今困難に立たされているバンドに寄り添うのが真のファンだ」
みたいな意見も結構あった
「あ、僕はファンじゃ無いのかも…」って思ってしまった。
シンプルに「かっけー!!最高だー!!」って感想だけ持って帰りたいだけなんだけどな。
でも、たまたま今回が調子悪かったのかもしれないな?と思って、半年後くらいに行われたライブにも行く事にした。武蔵の森でやったライブ。
その時はボーカルに同期音源を箇所箇所で使っていた。
悪く言うと「口パク」ってやつだ。
コレはコレでアリだな?って思った。
調子を心配する事も無いので前回の黒服限定より雑念無くライブが観れていた。
隣の人なんかは「声が元通りになってる!」て喜んでたりもした。
と、思ったんだけど。
同期ではなく生歌で歌うときの声が、前回より苦しそうに感じてしまってからは、集中出来なくなった。
中盤からは「あっコレ同期。コレは生歌か。あっ今同期になった。」みたいにライブを観てしまっている自分に気が付いてしまった。
楽曲の世界観に没頭も出来ず、演奏にも集中出来ず、俺は何をやってんだろう?と悲しくなった。
アンコールを待たずに会場を後にした。
歩きながら少し考えた。
きっと僕はバンドをやってなかったらこんなにLUNA SEAにハマる事は無かったんだろうなあ。
でもバンドをやって知識が付いたからこそ、同期だ生歌だってのが気になっちゃって今会場を後にしてんだよなあ。
何であんな凄いボーカリストにこんな災難が降りかかるんたろう。神様は意地悪だなあ。
ここでしんどくなって最後まで見届けない僕はファンじゃ無いのかなあ。
胸張って大好きなバンドなんだけどなあ。
それ以来ライブに行ってない。
勿論行きたい。でも、楽しめなかった時のショックを想像すると怖い。
大好きで影響を受けたバンドだからこそ、あえて、今は。純粋に楽しめる日が来るまでは行きたい気持ちに蓋をしておこうかな。なんて思った。
熱心なファンからすると、中途半端なやつだと思うだろうけど、コレはコレで僕なりの愛であり敬意なんです。
でも、東京ドームは行きたいな。