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バンドマンが90年代を懐かしんでエモくなった話
2021年の5/29はなんとなく記憶に残る日になりました。
LUNA SEA、L'Arc-en-Ciel、GLAYの三バンドが同日にライブを行った。
えっ。何それ。99年?今は99年なの?
このnoteを読んでいる人の世代がいまいち掴めていないからアレなんですけど、これは僕(83年産まれ)にとっては事件でした。
中にはこの三バンドへの印象が薄い方や「昔売れてたバンドでしょ?」って方もいると思いますが、改めて彼等が僕等世代に与えたとてつも無い影響と、その音楽的な凄さにフォーカスして記事を書きたいと思い、筆を取った次第であります。
まずどこに事件性を感じたかというところから説明しなければなりません。それには時計の針を98年頃に戻す必要があります。僕は15歳。中学生でした。
スマートフォンやSNSが産まれるより遥か昔。携帯電話の所有率はクラスの2割程度。しかもPHS。そんな時代の話です。
一クラスが40人。そのほぼ全てが先述した三バンドいずれかのファンだったといえば事の異常さが伝わるでしょうか?
クラスの殆どが「ロックバンドに夢中」そんな時代があったのです。
事の異常さが伝わるでしょうか?
SNSはおろか、インターネットすら普及していなかった当時は口伝での情報交換が全てだったので、学生達は音楽雑誌を休み時間に机に広げては「いついつに新譜が出るらしい」「この音楽番組に出るらしい」なんて騒いでいました。
X JAPANが解散し、時代はニューヒーローを求めていたのでしょう。
斬新で、ショッキングで、心躍らされるようなニューヒーローを。
確か最初に出逢ったのはLUNA SEAでした。
更に遡る事95年ごろ。たまたま見たなんかの音楽番組だったと思います。
「幽遊白書の敵チームみたいだ…」
色々とカルチャーショックでした。当時の僕は「歌手」と「バンド」の定義違いもあやふやだった頃ですので、歌ってる人以外をカメラがめっちゃ映すのもそうですし、何よりお客さんうるさ過ぎない?
威圧するようなルックスとギスギスした空気感。曲の良し悪しより先に「なんか怖い」って思ったのは覚えてます。
でも何か自分に刺さるものがあったのでしょう。後日学校でロックバンドに詳しいと噂の女子に「LUNA SEAカッコよかった」って言ったらその日から頼んでもいないのに昼休みの度に大量の音楽雑誌の切り抜きが机に届くようになり、情報収集には困らなくなりました。
彼女も同じ趣味を持つ仲間を探していたのでしょう。「Hくん!次はこのバンドが来るよ!」なんて日々教えてくれた彼女にはホントに感謝しています。
彼女を以下師匠と呼びます
同時期にL'Arc-en-Cielも観ました。
外人さんかー!
これは人気でそうだなー!
次の日学校に行ったら、
師匠がメスの顔になっていた。
「どうしよう…あたしラルクに浮気しちゃうかも…LUNA SEAに悪いよ…」
師匠。多分大丈夫だよ。
クラスの他の女子達が何人か師匠のところに集まって教えを乞うていた光景をはっきり覚えてる。
ラルクとは何か。あの顔の良すぎるボーカルは何者か。外人なのかと。
どちらかというとクラスでも地味だった師匠が沢山の人に囲まれているのを眺めながら、
「師匠すげえ」と思った。
それはそれとして、新たなムーブメントが始まったのだ。ロックバンドの波が、春日部市の小学校に訪れた。
もちろん当時既にB'zや Mr.Children WANDSなどのロックバンドを聴いている人はいたのだが、それとは明らかに違った。
メンバー一人一人の名前を把握し、お小遣いから音楽雑誌を買い集めて彼等が載っているページを切り抜いてクリアファイルに挟んで見せ合って「誰々のここがカッコいい」と議論しあっているそのムーブメントは、明らかに異質だった。
そして僕は96年。中学生に上がった。師匠も同じ中学校だった。
ロックバンドに対するムーブメントは加速する一方で、特にLUNA SEA.L'Arc-en-Ciel、GLAYの三つはクラスの共通言語と化していた。
※GLAYに関しての出逢いは前にnoteに書いたのでそちらを読んでください。
僕もCDを買って聴くようになった。サブスクもyoutubeも無い時代。電車に乗らなければレコード屋に行けない環境。同じCDを繰り返し何度も聴いた。
何度も聴いている内に「何でコレをカッコいいと思うのか」って理由を解析するようになった。
この部分でこの音が鳴っているから興奮する。とか、ここでリズムがこうなるからテンション上がる。とかそんな原始的な感想から「楽器を触ってみたい」という思考に行きつくのは自然過ぎるくらい自然だ。
幽遊白書の敵チームの武器にしか見えてなかったアレが多彩な音を鳴らす「エレキギター」と言う楽器ということを認識したのだ。
自分の話になってしまった。
師匠はというと、自分がずっと愛し続けてきたものがクラスの皆の共通言語にまで波及するに至った事実に喜ぶでもないそぶりだった。
ある時ふっとこんな話をされた
「皆んな外見ばっかりで本当の良さを解ってないんだよ」
いや、師匠あんたも最初は…と思ったけど。
何となく師匠の気持ちが解った。
自分と数人の仲間だけの宝物だったものが皆に認知されてしまう事にどこか寂しさを覚えていたのだと思う。
「自分は他の人みたいに外見だけで好きになった訳じゃ無い。世界観やパーソナリティまで知った上でファンなんだ」思春期特有の複雑な熱情が渦巻いていたのだろう。
師匠はインディーズ時代のLUNA SEAの写真を大事にいつも持っていた。
師匠はより無名でよりマニアックなバンドに趣味が移っていった。クラスの女子の前ではあまり話していなかったようだが、僕にはたまに「このバンドがいいよ」なんて教えてくれた。
僕はというとギターを始めた事により音楽を聴く基準が「ギターがカッコいいかどうか」に移っていった。ハードロックやメタル、パンクといったギターの音がデカい音楽に傾倒していき、師匠ともあまり話さなくなった。
99年。後世にその名を残すトピックがあった。
LUNA SEA.L'Arc-en-Ciel.GLAYの三バンドが同じ年に大規模な野外でのワンマンライブを企画したのだ。
LUNA SEAは10万人
ラルクは12万人を二日間
GLAYは20万人
20万人て当時の春日部市の人口だわ
ロックインジャパンが確か一日六万人とかだから、どれくらい頭おかしい規模感でやってたのか解るだろう。
メディアは三バンドをライバル関係のように煽り立てて、その偉業を連日称えた。
メディアに感化されたのかクラスでも「こっちのバンドのが良い」とか「あっちはダサい」「こっちのが人気だ」とか言った不毛なファン同士の小競り合いみたいのが見受けられた。(僕は強いて言えばLUNA SEA派だった)
少し寂しくなった。
夢中になれる物を見つけてそれを周りと共有して少しずつ広がっていくあの感じはもう無かった。
誰が優れてるとか凄いとか数字として語るのはいいとして、それが音楽としてバンドとしての優劣と関係あるのかな?と思っていた。
数字が正解なら三バンドともB'zより下って事でいいの?マイケルジャクソンより下?そういう話じゃなくない?て。質の話でいったらもうそれは好みの問題じゃん。
なんでわざわざ優劣をつけるんだ。そんな事よりお前らもMetallicaとかも聴いてくれよ。
2000年。僕が17歳の時にLUNA SEAが解散した。
僕自身はそれと同時にGLAYも、ラルクもあまり聴かなくなった。僕も師匠とはまた違った理由で、離れていってしまった。
改めて調べたけど、そのニバンドも2000年以降からセールスが半分以下に落ちていた。いや、それまでが異常過ぎたのもあるけど。
これ自体はバンドがどうっていう理由では無くて、時代の流れであるのは明白だけど。
あれから20年超。
あの三バンドが
田舎のクラスの共通言語までになった3バンドが未だに活動している事。
それに対しての感覚はうまく言葉で表せない。
「ありがてえ」ってのも違うし「凄い」ってのもなんか陳腐だし。
でも確実に音楽とかロックバンドって物が産む興奮や楽しさや寂しさを教わったのは確かだし、
シンプルに「嬉しい」ってのが正解かも。
ファンも大人になって「どっちが上か下か」みたいな話ししなくなったしね。
師匠も喜んでるかな
もしかしたら今まさに彼等と出逢って、学校で友達に「凄い昔からやってるバンドなんだけど…凄い良いバンドがいてさ!」って言ってる子がいるかもしれないと思うと、なんだかワクワクします。
バンドを続けてくれて嬉しいです。
皆さん血でも吸ってる?
時間経ってるの俺だけ?
次は各バンドの音楽的な凄さとか素晴らしいと思う点なんかを書けたらと思います〜
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