謎解きイベントの制作難易度とは?【周遊型編】
こんばんは、はしもとです。
作り手の目線で「謎作り」をnoteにまとめていきます。元々謎クラからクリエイターになった、はしもとですが作り手になってみると大変なことってたくさんありました。それはプレイヤーとしては見えない部分でもありました・・・。
クリエイターたちがどんなことに気をつけて頑張っているのか裏側をお伝えしていきます。
今回は、「周遊型の謎解きイベント」です。
周遊型謎解きイベントとは?
謎解きイベントは「脱出ゲーム」と「周遊型イベント」に分けられます。脱出ゲームが、会場に閉じ込められ制限時間以内に脱出を目指すタイプに対して、周遊型はキットを購入すればいつでも参加できる、まち歩きタイプのイベントを指します。
それぞれに作る大変さは違いますが、個人的には周遊型の方が難しいと感じています(今自分が作っている8割近くが周遊型だからかもしれません)。
こんな人に読んでほしい。
謎クラで周遊型イベントが好きな方はもちろんですが、これから謎解きで独立したい方にも読んで欲しいと思います。
別のnoteでもまとめましたが、謎解きで食べていこうとすると「周遊型」の企画制作はマストになります。
ぜひ1人でも多くの方に楽しい謎解きを作るきっかけにもしてもらいたいです!あと、RiddleTimezの謎だから、参加する!って人も増やしたいです!!
「大胆さ」と「繊細さ」と「泥臭さ」がものすごく必要。
実は、見切り発車で書き始めましたが、今一番しっくりくる言葉が見つかりました。
周遊型って個人的にはものすごく制作難易度が高いと思っているのですが、なかなか言語化できないなぁと思っていました。
それが一番納得できたのがこの3つのワードです。
1 周遊型に求められる「大胆さ」とは?
これはプレイヤーの皆さんもイメージがつくと思います。要は「ラス謎」です・・・。
最近の「周遊型イベント」はラス謎のクオリティがとんでもないことになっています。
例えば、RiddleTimezが作る「無料のファミリー向けコンテンツ」でもラス謎は「折謎」ぐらいは絶対に入れるようにしています。
大人向けのコンテンツなら尚更です。
それは世の中の謎解きレベルが圧倒的に上がったためです。そして、何かを折ったり作ったりという工作(クラフト)を求める層が増えました(屋外や街歩きのイベントなのに・・・)。
そうすると、手元のアイテムでなんやかんやするのには限界があります。例えば、「手元の紙を鉛筆で塗りつぶす」「濡らして文字が透ける」「フラッシュ撮影して文字が浮かぶ」なんてことは、割と当たり前になってしまいました。
ゴツゴツした印字の用紙が現れたら「濡らすか」「フラッシュ撮影」は脳裏に浮かぶ世の中です・・・。
さらには、予想されない(メタられない)工夫も大事です。ラス謎のためのアイテムが最後の最後に出てきて使っても、それはただの持ち帰り謎のような立ち位置になってしまいます。
いかに途中で使い倒して、「このアイテムをこんな使い方するんか!?」と言わせる必要があります。最初の謎を解き始めてから、最後の謎を解くまでが一連の流れで途絶えさせてはいけないのです。
少し脱線しましたが、「周遊謎」が特に大好きなクラスタはたくさんいますし、年々経験値も期待値も上がっています。
そのために、当たり前に使っているアイテムをどう大きく使うか、というのはクリエイターたちの永遠の命題です。
さて、6PのZ型の冊子をどうしようか。これからラス謎を考えます・・・。
2 繊細さもものすごく必要。
ラス謎はとにかく「0→1」の発想でとんでもアイディアが必要です(はしもとが一番苦手なこと)。
ですが、それまでの過程はびっくりするほど繊細な作業が必要です。
もちろん面白いアイディアベースで小謎や中謎を作ることも大事です。
ですが、それをできる人は世の中結構いてしまってます。それよりも大事なのは、「参加者への配慮」です。
例えば、「導線をどうするのか」が一番わかりやすいです。どのルートで歩くのがストレスが低いのか、高低差や階段は、ほどよく飽きない程度にチェックポイントを組み込めるか、誘導の文言は考えずに実行できるか、などです。
これも謎制作には重要なファクターです。ですが、問題制作が好きなクリエイターはこの工程が苦手で嫌いな傾向にあります(別の営業やアシスタントにお願いしがち)。
脱出ゲームのように移動のストレスがなく、何かあっても運営スタッフがフォローできる状況とは異なり、監視下にない人たちが勝手に動く状況です。
「移動」は「楽しさ」でもありながら「ストレス」になることも多いのです。「観光」になるのか「ストレス」になるのか分かれるのが謎クリエイターの手腕だと思っています。
ダメな例を出しますね!(はしもとの例です!)
数年前まで、次のチェックポイントへ誘導するために「来た方向にさらに進んで次の交差点で止まれ」という言い回しをしていました。
これって、「来た道を戻ること」と解釈する人がいるということに気づくのにも時間がかかりました。
(クライアントから言われるまで考えなかった自分が恥ずかしい)
要は「当たり前の感覚」で「わかるだろう」で作りやすいコンテンツなのです。
だって、誘導とか細かいところは「謎制作じゃない」ので時間をかけられないことが多いです。。。
これをちゃんとやるかやらないか、ってすごく大事なポイントですがやっぱり「
謎クリエイターがワンストップでやる」べきと思うんです。
結果的に、言い方一つで迷い、間違えたりしたら、参加者は意図していない無駄な謎解きに挑戦することになります。
これは難易度ではありません。だからこそ、デバッグの重要性やクリエイターの意識ってものすごく問われます。
3 本当に泥臭い。
これは本当にえぐいです。大きくは、ロケハンとキット制作だと思っています。
ロケハンとは、制作前に現地を実際に回って使用できそうなスポットを回ったり、歩いて導線を考える工程です。
夏ばのロケハンってRiddleTimezには日常茶飯事です。この8月も毎週のように出張ばかりでした。
汗だくになりながら各スポットを回ります。想定しているルートに謎に使えるものがなければ?
あっちの小道には何かないかな?ここにはパネルが貼れそうかな?何もない2kmの道をなんとか飽きさせずに移動させられないか?
頭をフル回転させながら何度も往復して写真と動画を撮りまくります。ものすごいポカリを飲みますが、それでも熱中症に近い状態になりながら謎を考えてます。
1時間で終わらせる想定でも平気で2時間以上かかって、そのあとは仕事にならないこともまぁまぁでした・・・。
キット制作もそうです。
デザインを作ってミスなく入稿するところから始まります。そして、
皆さんが持ち歩いている謎解きキット。これはもちろん人力で封入しています。それもミスは許されません。
数百や数千をミスなく封入し続けたり、裁断し続けたり・・・。この瞬間だけは自分が何屋さんか分からなくなる瞬間です。
朝6時までアルバイトと2人で、数百本のボールペンの中に問題用紙を詰め込んでいたことは大事な思い出です。笑
謎制作とは、問題を作りだけではありません。華やかそうで楽しそうな雰囲気はありながら、裏側はとんでもなく汗をかいているのです・・・。
独学で「周遊イベント」を作るのはたいへん。
別のnoteでまとめましたが「ある程度」は可能です。ですが、謎クラから2000円とる周遊イベントを作ろうとするとものすごい能力が必要になります。
能力というより「経験値」ですかね。それは独学でなんとかなるものでもないと思っています。
会社に属して上司にダメ出しをされたり、外注元より却下されたり。
実は、この感覚を持てる人は本当に少ない。
日本に謎だけで食べられている謎クリエイターって何人いるんでしょうか。その中でも、この感覚をきちんと持っている人は本当に少ないと思います。
実際、周遊で売上を成り立たせているRiddleTimezも毎回新しい気づきがあり、もっとこうしないとお客さんが損するよね、って会話が毎度のことです。。。
これって、「謎が好き」「謎が解ける」よりも違ったベクトルの能力だと思います。
逆に言えば、謎は解けなくても制作できるということです。
これについても別のnoteでまとめてみましょう!お待ちください!!
もちろんやりがいもとんでもないコンテンツ。
いろんなリスクやコストがかかるコンテンツですが、それ以上にやりがいもすごいです。
例えば、よく来てくださる謎クラさんや同業者に「あの謎は、あそこでしか解けないいい謎だったね」みたいな現地ならではの素材を活かせた評価をもらえると泣きそうになります。おかげで美味しいビールが飲めます。
現地ならでは、の謎として、はしもとが気に入っているのは今年は「ナゾときっぷ阪神編」「甲子園謎」「京成ナゾ」当たりでは出せているかなぁと思っています。
これから周遊謎を作りたい方はご相談ください。
はしもとのnoteは、別に謎を作っていることを自慢したいわけではありません。
むしろ、これだけとんでもないクリエイターが活躍する業界で、一緒にいられるだけで感謝しかないぐらいです。
周りからはよく変わっていると言われるのですが、「いいコンテンツが生まれるなら」別に自分はいなくてもいいと思っているぐらいです。
もしかしたら、自分がいる理由は「謎が解けない」「謎解き会社に属したことがない」けど、「謎を作れている」ことを体現することかもしれません。
もっとクリエイターが増えて、楽しい謎解きが増えてくれたら嬉しいな〜と本気で思っています。
お手伝いした企画が実現したら招待してくださいね!
あとは最近はしもとが企画する謎解きが「オーソドックス」すぎるなぁとスランプになっているのもあるかもです。。。
なので、もしこれから謎を作ってみたいとか、一緒に何かしたいと思う方はお気軽にご相談ください!!いつでもお力になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
RiddleTimezは、こんな雰囲気でゆるく頑張ってます。これからもよろしくお願いします!!