大分県は山だらけ。となりの市は山の向こうというのは当たり前のようにあり、確かトンネルの数が日本一だったような。
それはともかく、山に灯りがつきだした。
大分県に越してきて驚いたのが、山桜が多いことだった。この季節、山のあちこちに白い提灯が灯るようになる。あちこちの里山が一面そのようになるが、山腹に浮かぶいくつもの山桜は、河川敷に並ぶソメイヨシノよりも近寄りがたい。どうにかして近くで見たいと訪れれば、遠くからの眺めならば風情があったのに、近づくと美しさの実体が霧のようにうっすらと広く散らばって、何だかはっきりしないということがある。
煙に巻かれたような気持ちになり、山を降りて振り返り見れば、山の中にあり山全体で眺めるのが山桜だった、と思い至る。
あなたたち、花の咲くころにしか私を見ようとしませんね。まぁいいでしょう。花が散れば静かになるから。
花が散れば静かになるから。
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