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ムッシュ・デポについて

鍼の学校に入るために、毎日通っている学校のサイエンスの先生は、ムッシュ・デポという名前。
初日に私がオリエンテーションで渡された紙を持って、生徒たちが黙々と自習している教室に入り、先生らしき小柄で初老の黒人の男性に
「すみません、今日からサイエンスのクラスに入ることになってるんですが…」
と声をかけると、メガネの奥からギョロリと私を睨み(そう見えただけだが)、無言で私の紙をとって、何か書き込み、ニコリともせず
「この教科書買ってきて」とだけ言った。

なんか怖い。

他の生徒は学校のように、数学、地理、歴史、フランス語とか毎日時間割があって先生もクラスも変わるけど、私は毎日ひたすらサイエンスだけをやるので、この教室でこの先生と午前中の4時間ずっと一緒。う~ん、先行きが不安だわ。

次の日、早速分からないことがあったのでムッシュ・デポに質問をしに行くと、割と丁寧に教えてくれたのでホッとした。
「ありがとうございました。」と席に戻ろうとすると
「ああ、君」
「はい?」
「新しく入ったRicoくんだね?」
「…はい」

それって昨日言うことちゃうんかい?

ひそかにムッシュ・デポを観察していると、生徒や他の先生と雑談したりして笑ったりしているので、多分怖い人ではないらしい。でもコミュニケーションは苦手なのかも。サイエンスの先生やしな!(←完全偏見です)

2週間勉強してサイエンスが楽しくなってきたかも。
ただ今一冊目の本の半分も終わっていないのだけど、鍼の学校の申し込み締切の3月1日までに後3冊終わらせなければならない(現在は11月の半ば)。
大体みんなどれくらいで一冊を終わらせるのか、ムッシュ・デポに聞いてみる。

「平均一冊36時間ぐらいかな」

え?私は今、週20時間サイエンスだけをガリ勉しているので、36時間って、2週間弱ってことだよね。全然ぜんぜ~~~~ん追いついてないんですが…

「そんなスピードでは無理です」

「まぁ、みんな自分のペースでやればいいから。自分の一番早いペースでやりなさい。」

と優しいんだが、厳しいんだかよく分からない言葉をかけてもらって、混乱しながら自席に戻ってくる。
このままじゃヤバいんじゃ?でも早くやったって理解していなければテストで失敗するだけやしな。

ムッシュ・デポのさっきの言葉が蘇ってくる…ふむ、自分の一番早いペースでやるしかないのか。つまりはうさぎとカメのカメやね?(別にうさぎに勝たなくていいんですが)そういうことですね?ムッシュ・デポ?

読んでくださり、ありがとうございました。
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