母の人生
私の母は、現在83歳、来月84歳になります。
母は、私が小さいときから、働きながら家事、育児をこなす、頭と手際のいい女性でした。
そんな母も、3年前に、認知症になっていた父を亡くし、緊張の糸が切れてしまったのか、途端に、生きる気力をなくしてしまいました。
母は、どちらかというと、自分より人を優先する人だったので、子供のころから、親や姉妹を優先させて、自分のことは常に後回しだったそうです。
そのクセがあったからなのか、父の認知症の悩みも、周りにいうことはありませんでした。私が行くと、父はなぜか、とてもまともになっていたので、まさかそんなにひどいとは、思ってもいなかったです。
あとできいた話では、父は迷子になってしまうことがよくあって、週に3日は、パトカーのお世話になっていたそうです。
今のような猛暑の日に、お金も持たずに、ふらっと出て行ってしまい、夜になっても帰ってこないことも、何度かあったそうです。
『熱中症になって倒れているんじゃないか、』『事故にでもあったんじゃないか、、、』
母の心配は、想像を超えるものだったと思います。
それでも、後になって私に話すときは、笑い話のように話すのです。
そんな生活が3年くらい続いて、父は、ある朝、一番のお気に入りの服を
着て、眠るように亡くなりました。
朝、起きて、着替えている父を確認した母が、なかなかご飯を食べに来ない父を心配し、部屋に行ってみると、父は、床に倒れていたそうです。
なぜか、お気に入りの服を引っ張り出して、着ていたらしいのです。
母は、「お父さんは、自分の逝くときを決めて逝ったんだよ」と言っていました。
「もう十分だ、」と。
父が亡くなったことは悲しかったけれど、長いこと、親、姉妹、家族を優先してきた母が、これから、やっと自由に、楽に、自分だけのために生きられる、と思っていたのに、、、
母は、父が亡くなったあと、以前のように明るく元気に戻ることはなく、一日中ふさぎ込んで、ついには、軽い認知症になってしまったのです。
その後、母の症状は少しずつ進み、一人暮らしの不安もあって、いまは、高齢者専門の施設に入っています。
そこでは、友達もできて、デイサービスも半ば強制的に参加させられるので、いい刺激になっているようです。
私は、そんな母をみていたからなのか、いつも真逆のことをしているように思います。
やりたいことはすぐにやる、我慢はしない、自分の人生は自分で決める、楽しくするのも、つらくするのも自分次第!
でも、今思えば、真逆のような母は、私の起こす突拍子もないことを、一度も否定したことはなかったです。
母が私によく言っていたのは、「人前に出ても恥ずかしくない容姿でいなさい。」「とにかく本を読みなさい。」
私は、それらを高いハードルのように感じていたけれど、今思うと、そうすることで、自分に自信が持てるようになり、やりたいことを臆せず、やることができる、ということだったのかもしれないですね。
少し窮屈だった人生を選んだ母は、私には、自由に生きて欲しいと思っていたのかもしれないです。
コロナが収束したら、母娘3世代で、旅行に連れて行ってあげたいな~~😊
来月は、母の誕生日。
娘と一緒に、ガラスドア越しの面会に行ってこようと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。