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【子どもの英語教育】インターナショナルスクールのパターン別コスト試算

多くの親が子供に早い段階で英語を身に付けさせたがっていることだろう。
しかし巷では
・幼児の英語は早くから始めるほどいい
・幼児期はむしろ日本語や非認知能力をしっかり育むほうが良い
・幼児期だけインターナショナルスクールに突っ込んでも無駄

などといろいろな論が飛び交っている。
これは、そんな中で我が子の英語教育の最適解を導き出すための個人的な備忘録である。

幼少期の教育費

何といってもまずはコストの整理だ。親にとって子供の教育はすなわちコストとの戦いである。

はじめに幼少期(小学校入学まで)の主な選択肢とそれぞれにかかる費用をまとめるが、日本においては0-2歳・3-5歳で補助金の仕組みが異なるためそれも考慮する必要がある。
さらに補助金は世帯収入(正確には住民税の金額)によって変わるが、ここでは我々夫婦のケースとして中央区で住民税は上限(補助金が最も少ないランク)の場合を考える。
※ちなみに会社員の年収でいうと世帯年収が1500万円程度を超えればこの上限に達する。
また、二人目の子供からは補助金の額も増えるがここでは一人目という前提で計算している。

小学校入学までの教育費概算

まず共働き夫婦からは基本的に「幼稚園」の選択肢は消える。
幼稚園の開園時間も閉園時間も勤務時間内であるし、そのほかにも幼稚園は親の関与度が高い。

この時点で子供の預け先は保育園(またはこども園)、インターナショナルスクール(それに類する認可外施設)の二択(あるいはそれらの組み合わせ)となる。

ちなみにインターナショナルスクールのような「認可外」の施設であっても補助金の対象になっている場合は認可施設(保育園)ほどではない補助金が出る。
ここではインターに入れる場合もこの補助金の対象施設であることを前提にしている。

また、インターナショナルスクールといってもその費用はピンキリである。
ここでは私が周辺のあらゆるインターナショナルスクールを調査しまくった結果、補助を踏まえた負担額のおおよそ中央値を20万円/月と仮定して計算している。

小学校卒業までの英語教育最適解

さて、スクールの費用が分かったところで、次は年代ごとにどこに入れるかを考える。
さらにここでは小学校も見据える必要があるため小学校と、インターナショナルスクールでない場合に補うためのオプション教育(英語教育)も含めて選択肢を整理する。
英語教育については方法が無数にあるが、ここでは一般的な英会話教室に週3~4回程度の費用を想定して3万円/月としている。

※「インターナショナルスクール」のほかに類似施設として「プリスクール」があり厳密には定義が違うが、ここでは英語を身に着けることに着目して「ずっと英語で教育を行う機関」という意味でひとくくりに「インター」としている。

小学校卒業までの教育費概算

ここで各選択肢について個人的に「ない」ものを消去していく。

・「バランス重視B(小学校からインター)」は日本語環境から急に英語環境にぶち込まれる子供の負担が大きい

・「0-2歳」という言語習得に適しているかちょっと懐疑的な時期に+約500万円のコストを投下するのは、コスパが悪い気がするので「バランス重視C(0-5歳までインター)」も優先度が下がる

・「英語重視」もさすがに経済的に厳しい、あとそもそも「ずっとインター」で育った人間が個人的にいけ好かないから嫌だ。

ということで消去法により
・「コスト重視(学校以外で頑張る)」(推定教育費554万円)
「バランス重視A(3-5歳だけインター)」(推定教育費1166万円)
が導き出される。

ここからは、他の選択肢に比べて「英語漬け」となる期間が短い上記の選択肢において十分な英語力は身に付くかを考察したい。

「学校以外の英語教育」で英語力は身に付くか

結論から言うとこれは間違いなく「身に付く」である。
なぜならインターに行かず、留学もせず英語ペラペラになった人間など実際にいくらでもいるからだ。

インターに入れない場合も、3-5歳の期間のみ入れる場合も、学校外での英語教育が重要となるのは言うまでもないだろうが、上記のように学校外の学習で英語力を身に付けた人たちの共通点は「英会話教室に通っていた」わけでも「ディズニー英語」をやっていたわけでもない。

英語が好きだった
のだ。

英語の絵本やYouTubeにしても、英会話にしても、共通して徹底すべきは英語を学ぶ時間を作ることではない。
「英語で話すって楽しい!」を作ることである。
これが成功すればインターなど行かなくても勝手に英語を勉強して話すようになるだろうし、これが失敗すれば数年インターに入れたところで付け焼刃の英語力がすぐに忘れられるだけだろう。
幼児の記憶力は「覚えやすい」が「忘れやすい」のだ。

そしてこの「英語って楽しい」が何から生まれるか、私たちは知っている。
それは「外国人と英語で話す」という体験である。
私たち大人のほぼすべて例外なく、外国人とカタコトの英語で話す体験を通して「もっと英語でうまく話したい!」という情熱が生まれるのだ。

すなわち、親が子供に提供する最も優先度の高い英語教育は
「外国人と話す環境」を作ることである。
これ以外にない。

私に言わせれば、自分たち(親)が英語を話したいと思うきっかけとなったこのような体験を提供せずに、なぜ自分たち(親)が読んでなんとも思わなかった英語の本を無理やり読ませようとするのか、意味が分からない。

英語以外の能力・経験について

そしてなにより、英語が出来ても日本語や非認知能力、その他人間としての素養が備わらなければ「バイリンガルクズ人間」が生まれるだけである。
特に私が個人的に「英語教育に集中しすぎた」ことの弊害を埋めるために補助が必要だと考えているのは次の3つである。

・非認知能力や好奇心を高めるための「新しい体験」の創出
・「母国語(日本語)のコンテンツ」に触れる機会の提供
・世間知らずにならないための「様々な種類の人間との出会い」の創出

これらは親が提供するしかない。
英語が身に付く選択をした前提で、これらの教育は別途親として果たすべきだろう。

小学校以降インターナショナルスクールに通う危険性

さて、我が家の方針はなんとなく決まったものの、ここではさらに課金した場合の選択肢「小学校もインターにぶち込む」を選択した場合についての注意点を整理しておきたい。
正直、お金があったとしてもこの選択肢は要注意だと個人的には考えている。

中学校・高校から「戻る」ことが難しい

まず最大の問題がこれだ。
小学校の間インターに通うということは、中学から日本の中学校に戻るというのは難しくなる。

それは英語環境から日本語環境へ戻るのが難しいという点もあるし、文化的にも全く異なる公立(私立)中学へ移るというのは相当なストレスがかかるからだ。
周りの友達からは特異な目で見られることになるだろうし、仮に受験のある中学校や高校を選ぶ場合は受験勉強をしっかりとしてきた周りの子とは学力も劣っているように見えてしまう(そもそも合格も難しい)。
小学校でインターに行くことによりほぼ日本での進路が途絶えるのだ。

莫大な費用がかかる

小学校、中学校、高校の12年間をインターナショナルスクールに入れるとその学費は約2880万円となる。(20万円/月の場合)
小学校の学費(約1440万円)だけ見て「ギリ行ける!」と思っても、自動的に中学、高校と進むことでその2倍の費用が掛かる。
ちなみに高校無償化の東京、大阪においては公立であれば小学校から高校までの授業料はおよそ200万円以下である。

そして高校までインターに行った子供は高卒認定を別途取得しなければ国内の大学受験すら出来ない。
消去法で海外の大学に進学し・・・となると生活費を含めた想定コストは計測不能である。

つまり小学校でインターに入れるということは、
日本の中学、高校、大学に行くという選択肢を大きく失うことになる。
それは莫大な費用とプレッシャーを伴う決断である。
何より問題はその大きな決断を本人ではなく親がしてよいのか?ということである。

家族の事情として海外に移住する必要などがあれば別だが(そもそもインターナショナルスクールはそういった事情に対応するための機関である)
「英語を学ばせたい」というクソみたいな理由だけで足を踏み入れてはいけないのがインターナショナルスクールである。

結論:インターに入れるなら3-5歳の間、いずれにしても英語で話す環境作りが肝

ということで結論だが、
インターには入れても入れなくても家庭での英語教育、特に「外国人と英語で会話する」という環境づくりが出来なければ子供の英語力は育たないだろう。
そしてインターにどうしても入れたいなら小学校までの間(特に3-5歳)の「留学」的な使い方で活用すべきだと考える。

この方針が正しいかどうか、
10年後に答えあわせをしたい。

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