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KAMIJO 「VIOLET DAWN」ミニアルバム作品感想


本作品ミニアルバム『VIOLETDAWN』は一言で感想を言うと、これがヴィジュアル系KAMIJOの「KAMIJOロック&メタル」と言わせてくれるそんな作品だ。KAMIJOソロで今までにないタイプのメロディーと構成でまったくのニュータイプの楽曲達がとても新鮮である。それでいて、彼の今までのLAREINE・Versailles・KAMIJOソロの基軸をしっかりと感じられるのだから底が知れなくて、やはりKAMIJOの楽曲達は面白い。

VIOLETDAWN
本ミニアルバムのリード曲の「VIOLET DAWN」は耽美とは真逆の荒々しさと重厚な古典的メタルサウンドから始まるが、いざ歌が始まると一変してKAMIJOの耽美な世界に包まれる。またこの曲は歌いだしからサビ・そして大サビに入るにつれてどんどん美しく変化していくところが大変すばらしい。
KAMIJO のいう『ヴァンパイアの歌声』がこの部分なのだ。曲の内容の青と赤が混ざりあって紫(バイオレット)になる、物事を色で捉えるKAMIJOならではの表現でとても甘美で引き込まれていく。そう、この曲はKAMIJOの「VIOLET DAWN」の世界へ溶けていく入口だ。

The Anthem
さて、次はMVにもなっている「The Anthem」である。“EPIC INTENSE”というコンセプトが一番強い曲だと私は思う。また、このミニアルバムの中で昨今のKAMIJOソロらしい部分が一番出ている曲ではないだろうか?近代的メロディーで途中、途中に入る電子音がゲームミュージックを彷彿させてくる。
お次に、本作品のMVに着目すると、衣装にハーネスやコルセットエナメル素材などを使用しており、衣装から攻撃性や破壊・破滅的な要素を受け取ることができる。対して背中部分はスパンコールの素材を使用しており、煌びやかでとても綺麗で破滅した世界の中の逆の要素、創造と希望のようにも思えてくる。
今年の4月にあった”Visual Rock identity The Anthen”のライヴは破壊され失われた理想世界から始まる。つまり、これは破壊からまた新たな世界の創造の始まりということ。そして、このツアータイトルを掲げての「The Anthem」の楽曲からのライヴの幕開け。これはKAMIJOの未来への決意の表明だったのだろうと今なら解る。
そう考え、話を楽曲の内容に戻し歌詞の内容とちりばめられたモチーフに触れると、『この世は一度きりの命がけのデスゲームだ』と人生のゲーム盤上に立たされるようで、とてもワクワクさせられる。” Visual Rock Identity The Anthen” ライヴから”Battle Rayal Tour”に繋がるのだから、やはりそういうメッセージとも捉えて良いのだろうと思う。私達は全員が自分の人生の主人公で自分の人生ゲームをプレイさせられているのだから。


Odyssey
ギリシャ神話のオデッセウスの10年間の冒険とKAMIJ0自身の10年間の活動を重ねたとても素敵なタイトルだ。
今年の6月8日にKAMIJO がフランスのサン=ドニ大聖堂で、ガラスの器に入れられたルイ17世の心臓と向き合って感じたままを書いた曲。それを思うと、この楽曲はKAMIJO のルイ17世と歩んだ10年間の旅の一つの終着点なのだろうとも思える。
ルイ17世の確定してしまった事実に対してのやり場のない感情を、ノスタルジーかつロックに表現されたこのアルバムのダークホース的な曲だ。はじまりのギターリフがシンプルであるがとても心揺さぶる突き刺さるようなサウンドで、ギタリストから創られるようなメロディーである。
しかし、ギターリフについてもKAMIJO から生成されたと聞いて全くもって驚かされた。繊細な内容からライヴでは静かに聴く曲と決めつけてしまっていたが、そうではなく勝手に腕が上がるし勝手に体が揺れる。ロックは自由だと気付かされる。『ロックは魂の叫び』それを自由に表現すること、この曲は正にそれだ。

INTENSE CARESS
THEライヴという曲、そしてライヴの空気を一気に変えることの出来るそんな曲だ。クワイヤからヘビーなサウンドへ、そして何よりドラムの力強さがとんでもなく格好良い。それから、始まりと同時に突如として悪魔城ドラキュラにつれてこられた気分にさせられる、正直にVersaillesで演奏されていそうな曲であるがKAMIJOソロ曲というトリッキーさがとても楽しい。
この曲は、はっきり言ってライヴに来て体感するべき楽曲だと思う。各楽器演奏陣、そしてVo.のその日の感情とライヴ会場の雰囲気で大きく聴こえ方も変わってくる。これはそうヘヴィ級モンスター曲だ。”Battle Rayal Tour”でのインスピレーションでこの曲のサビが生まれたなら、やはりはじめに書いた通りTHEライヴという曲だと思う。

Twilight
最後にこのミニアルバムの光の部分のこの楽曲について。弾むサウンド煌めくサウンドそして歌詞の表現がLAREINEの楽曲を思いださせてくれるのだ。今の時代に青年時代のKAMIJOの感性がそのままの状態でこの楽曲の中に居て、この曲の中で待っている。そして現在のKAMIJO が未来への願いを込めてこの楽曲をラストに差し込んでくるのはとても憎い。こんなの愛しいとしか思えないじゃないか。そう思って聴いてみてほしい、とても愛しくて温かい気持ちにさせられるから。
最後に、この円盤の最後に居る青年KAMIJO にメッセージを贈る。「初めまして、KAMIJO 。KAMIJOはそのまま進んだらいい、これからたくさんの美しい光景が待ってる。そして奇跡だって起こせるんだから。私はそれを見せてもらったよ。KAMIJOは世界一カッコよくて世界一凄いんだからこのまま進んで来て」









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