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「もやしっ子を御柱に!」ちょっとオカルトな中部の旅(その4)~皆神山と松代大本営跡 前編~


【前回までのあらすじ】


頭も顔も良いが、肝心な時に体調を崩しがちな「もやしっ子」後輩を野性味あふれる聖地・諏訪の巨木御柱(おんばしら)まで育て上げようと旅に出た。
諏訪大社を参拝すると、誰もいない暗闇で、誰かにぶつかる怪事件が起きたり、旅館自慢の風呂に入ると水風呂だったりとダメージが大きい旅となる。

旅館「松風」を出ると飛騨山脈が朝焼けに照らされていた。

雄大な飛騨山脈を望む
・・・車がカチカチになっている・・・

車を見るとヒエエエェェェ
窓が凍りついていた・・・
これじゃ前が見えねェ

少なくともフロントガラスは綺麗にせねば、としばし作業。

旅館松風のある松本市から松代市へ移動

目指すは松代市の「松代大本営」跡である。
先の大戦で、東京から皇居・大本営を松代の地下基地に移動させようという計画があった。東宝特撮の冒頭みたいなぶっ飛んだ設定だが、実話である。

【姨捨サービスエリアのとろろご飯】

順調に飛ばして姨捨(おばすて)サービスエリアに到着し、朝食をとる。

姨捨(おばすて)サービスエリア
味噌汁 とろろご飯

味噌汁と 信濃名物「とろろご飯」でごきげんな朝食だ。
そういえば、昨日台湾ラーメンで食欲を失うような話をされたな、と思い出し、「筒井康隆の書いた、とろろご飯の話がさ」と話しかけると、嫌な予感がしたのか後輩が「いいです」とピシャリと止める。
(興味のある人は「四八(仮) とろろ」で検索してください)

お土産は結構豊富

「はんごろしキムチ漬」なる物騒な名前の漬物を目玉商品にしている。

ちょっとおもしろい

【姨捨(おばすて)は本当にあったのか考察】

このあたりは「姨捨山(おばすてやま)」伝説の伝承地らしい。

姨捨山の伝説

年寄り嫌いの殿様の命令で六十歳になった老人を捨てる地域があったが、老人の知恵の素晴らしさに気づき、その誤りを認めた、と説明されている。
もともと古くから知られていた「冠着山(かむりきやま)=姨捨山(おばすてやま)」だが、深沢七郎の「楢山節考」の影響で近年も有名なのだという。

だが、信憑性には疑問符がつく。そもそも、老人を捨てることが姨捨山の語源では無いらしい。
この山域には、第25代武烈天皇(小泊瀬稚鷦鷯尊《おはつせのすめらみこと》の関係氏族・小長谷部氏(おはせべうじ)が住んでいた。この「おはつせ」が訛って「おばすて」となったというのが有力である。
姨捨伝説は仏教説話に起源を持つものであり、「おばすて」という名前と伝説が混合されたのではないかと推測される。
大学で受講した民俗学の講義を思い出した。

天気が良いのに雪が解けない
千曲市、松代市を睥睨する

さて、松代市がだんだんと近づいてくる。

【部活の後輩から渡された「九龍妖魔學園紀」】

なんで松代市に行きたいのか、という話しだが、「松代大本営」に関心を持つ前から「皆神山」に行きたいと思っていた。

高校生の時に、部活の後輩から「なんかぶっ飛んだゲームを手に入れましたよ」と半笑いで渡されたのが「九龍妖魔學園紀」だった。

「真・女神転生」「ペルソナ」シリーズで有名なアトラスが作成した學園ジェブナイル伝奇アドベンチャーというぶっ飛んだジャンルの作品。トレジャーハンターの主人公が遺跡のある学園に生徒として潜入して調査を行っていく、ゲームだがそれだけ聞いてもわけがわからないと思う。ただ、このゲームは本当に面白い。伝説やオカルト好きはさらに楽しめる。

ヘラヘラしている後輩に「バカにしやがって」と思いつつ、面白かったから許すことにした。この部活の後輩とは今でも親交があり、結構出世しているので、腹が立つことがあったら、暴露本でも書いてやろうかと思う。

小学生の時に「天空の城ラピュタ」を見て私は、「古代には現代より優れた文明があったのではないか」と少し変な方向に進み、月刊「ムー」と単行本のムーブックスにハマってしまった。
「オカルトを研究する人間って胡散臭くないか・・」「そもそも根拠が薄弱じゃないか」等々、様々な変遷を経て、オカルトを楽しむ心の余裕を持てるようになり、いらなくなったムーブックスを高校の部室にネタとして置いておくことにしたのだった。
それを見た後輩は半笑いで「九龍妖魔學園紀」を渡してきたというわけだ。

【オカルトの聖地「皆神山」とは】

その「九龍妖魔學園紀」では「皆神山の謎を追え!!」というスペシャル映像がある。

オカルトパロディの内容なのだが、皆神山がオカルトマニア垂涎の地であることは真実だ。昔とった杵柄でムーのように解説してみよう。
もともと、修験道の拠点であり、昭和40年から昭和46年にかけて発生した松代群発地震の震源地となった。おまけにピラミッドの頂点がへしゃげたような特殊形状から、人工物で日本のピラミッドだという主張をする人間が現れたのだった。

高速道路から見る皆神山。確かに山頂が凹んでいる

世界最大のクフ王のピラミッドが146メートルだから、標高659メートルの皆神山が人工物だったらとんでもないサイズである。
明治・大正・昭和にわたって文筆活動をしたオカルティスト酒井勝軍(さかいかつとき)という人物が、日本各地には2万2千年前に造られた世界最古のピラミッドがあると主張したことから、綺麗な三角の自然山をピラミッドではないかと考える人が現れた。偽書「竹内文書」等を根拠としているが、もちろん史書等の根拠は無い。
ただ、恐ろしいことに影響力が結構あり、オウム真理教の麻原彰晃が著作に影響を受けたと語っており、ムーの創刊に関わった超常現象研究家・武田崇元が著作の復刊をやったりしている。

まぁこういうものは「そんなこともあるかもね」くらいで楽しむ心の余裕を持たねばならない。

そして皆神山は松代大本営と結構近いのだ。

松代象山地下壕(松代大本営)と皆神山の位置関係

【世紀末オカルト学院と皆神山】

もう一つ、10数年前のアニメに「世紀末オカルト学院」があった。
オカルトをテーマにした作品だが、騙されたと思って見てほしい。作品として結構完成度が高くて面白い。
舞台となる「私立ヴァルトシュタイン学院」が皆神山の山頂にある、というぶっ飛んだ設定なのだ。

皆神山の山頂にある学院
皆神山を望む松代の町並み

松代市内をめぐる話しがあるのだが、そこで「松代大本営」が出てくるのだ。アニメの聖地でもあるんだね。

松代大本営を見学するシーン

【いざ松代大本営へ】

そんなこんなでいよいよ「松代大本営」近くまでやってきた。
近くの駐車場に停車し、少し川沿いを歩いていく。

駐車場が無いことを告げる看板
この川沿いもアニメに出てきていた。
もやしっ子は体力ステータスが低いのでよく座る
壕入口に無造作に置かれたヘルメット

無料で見学できるが、ヘルメット着用が義務付けられている。

さぁいよいよ壕内へ

長くなってきたので、次の記事に続きます。

次は
「もやしっ子を御柱に!」ちょっとオカルトな中部の旅(その5)
~皆神山と松代大本営跡 後編~ 
に続きます

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