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「ご迷惑」と「ご心配」(中学生の声)

*中学生のボクは架空の少年です。

またどこかの社長が謝罪していた。社員だった男が顧客の女性に睡眠作用のある薬物を飲ませて現金約1800万円を奪い、住宅に火をつける事件を起こしたからだ。「このたび当社の元社員が逮捕・起訴される事案で被害者の皆さま、多くの関係者のみなさまに多大なるご迷惑とご心配をおかけし、深くおわび申し上げます」って言ってたけど「ご迷惑とご心配をおかけし」って変じゃない? だって、社員が起こしたのは人の命がかかった重大犯罪事件だ。一歩間違えば被害者は亡くなっていた可能性がある。強盗殺人未遂と放火の罪だよ。「迷惑」とか「心配」なんていうことばで済まされるものではないと思う。

ボクもよく言われるよ。「人に迷惑をかけてはいけない」とか「親に心配をかけるな」って。ボクがもし友達に薬を飲ませてお金を奪ったり、友達の家に放火したりしたらそれは重大な犯罪だ。「迷惑をかけてすみません」とか「心配をかけてごめんなさい」と謝って済むことではなことくらいボクにだってわかる。

被害に遭った女性は社長の謝罪を聞いてどう思っただろう。事件が起きた時は「不安」と「恐怖」でいっぱいだったと思う。それは一生消えないと思う。「不安や恐怖を与えて申し訳ありません」と言われたって納得できないだろう。

何か事件が起きるたびにみんな決まり文句のように「ご迷惑」と「ご心配」ということばを発するけど、そんな心のこもらない言葉で済ますのはもうやめてほしい。

*ヘッダーの写真は朝日新聞デジタルより借用しました。

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