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わが家にホームステイした外国人1

ホストファミリーとしてこれまで多くの外国人を受け入れてきました。延べ50人近くになります。みんな個性豊かで魅力的な人たちばかりです。うちは特に大きな家ではありませんが、ありのままを体験してもらっています。そしていっしょに生活する中で私たち家族も様々な体験をし、多くのことを学んでいます。国際交流は外国に行かなくたって日本にいてもできます。

素敵なゲストを紹介します。ゲストの名前は仮名です。

最初のゲストはスウェーデンから来た美術の先生

最初のゲストはスウェーデンから来た美術の先生でした。インド系の移民でディパクという名前です。日本の美術教育について知りたいと私が勤務する学校を訪れた際に私が案内を任されたのです。その彼が一日の滞在を終えて夕方学校を出ようとしたとき「どこかホテルありませんか」と聞いてきました。宿泊場所は当然決まっていると思っていた私はびっくりしました。時間は6時を過ぎていました。これからホテルを探すのは大変です。私は「うちでよかったらどうぞ」と言ってわが家に泊まることを提案しました。彼にとって日本の家庭を体験するのも悪くないと思ったからです。彼は私の申し出を喜んで受け入れました。その時のことは以下の記事に書きました。

たった一晩の滞在でしたが、彼との交流はそれ以来30年以上続いています。日本が大好きな彼はその後も家族を連れて何度も訪れていますし、私もスウェーデンの彼らを訪ねて行き、ステイさせてもらいました。

ディパクの家はストックホルムにあります
ディパクの家の中


ロシアの学生たちは今どうしているだろう

県内の大学に留学しているモスクワ大学の学生を何人か受け入れたことがあります。ホームビジットとして週末にやって来て滞在しました。みんな日本語が堪能で優秀な学生でした。

最初はニコライという男子学生でした。地元の国際交流協会のパーティーで出会って家に招待しました。私が声をかけたのがきっかけです。ロシア皇帝と同じ名前の彼は顔立ちが精悍で、特にニコライ1世に似ていました。でも皇帝のイメージとはまったく異なり、小学生の息子の電車ゲームに熱中していました。ロシアに帰国してからも通訳として日本に来ることがあり、その際は時間を見つけて尋ねてくれました。ちょっとした会話から始まった交流です。

翌年受け入れた女子学生のベナは冬に信州の限界集落を案内しました。私たち家族が集落内に所有していた山小屋(と言っても古い土蔵を自分たちで改装して造ったものです)に行く時に一緒に行かないかと誘ったらぜひ行きたいと言いました。留学生の彼女にとってはそのような機会はあまりない様子でした。2泊3日の旅でしたが、山深い自然の中で過ごした時間はとても印象的だったようです。集落に住む人との交流や土蔵での質素な生活は彼女にとって貴重な体験になったようです。後日届いた手紙には、日本にもこんなところがあるとは思わなかったと書いてありました。集落の人にごちそうになった自然の香りいっぱいの食事とその家で入らせてもらった五右衛門風呂がすごくよかったと書いてありました。

ベナと訪れた信州の小さな集落

タマラも日本が大好きな女子学生でした。いっしょに神社を訪れたとき、参道で売られていた日本のお面をすごく気に入っていましたが、中でもオカメが大好きだと言います。自分に似ているからだそうです。そう言われると確かに似ているような気がしないでもありません。

3人とは今は連絡を取っていませんが、ロシアの状況を考えるとどうしているかと気になります。


ドイツから来たマルティリンガルファミリー

ドイツに住む若い夫婦がわが家に滞在したことがあります。妻は先述のスウェーデンファミリーの娘です。夫はドイツ人で、4歳の娘と2歳の息子がいました。

夫はスウェーデン語を話せず、妻はドイツ語が話せないので夫婦は英語で会話をしていました。子どもたちとは夫はドイツ語、妻はスウェーデン語で話していました。時に英語で話すこともありました。つまり家庭内では3か国語が使われていたのです。彼らはそのことに何の違和感も持たず、子どもたちも自然に言葉を使い分けていました。家族の間で多言語が飛び交う風景はとても興味深かったです。

さらに妻の父親はインドの出身です。だから彼らはインドに行くとヒンズー語を使うこともあると言っていました。子どもたちは日本のアニメにとても興味を持ち、テレビを食い入るように見ていました。彼らの言語に遠からず日本語も加わりそうです。

子どもたちの言語には日本語も加わりそう


動物園を案内したんじゃないけれど

オーストラリアから来た女子高生のローラを私が勤務する中学校に案内しました。彼女にとっても生徒たちにとってもよい異文化交流になると思ったからです。

朝、教室に向かって二人で廊下を歩いているときです。あちこちの教室から生徒が顔を覗かせて騒いでいました。珍しいので大騒ぎです。「キャー、かわいい!」「先生、その子だれ?」「サインして~!」 ブロンドで青い目のローラはまるでアイドルのようです。「オーッ!」「ギャオーッ!」「すげー、美人!」男子も興奮して叫んでいます。ローラは驚いた様子です。

帰ってからローラに感想を聞くと、「動物園みたいだった」とのことでした。

たった一晩で帰国したオーストリアの女性

日本の企業でインターンシップを行うため来日したオーストリアのプリスカ。1カ月の滞在予定で来日し、私の家から都内の会社にことになっていました。日本語を勉強しているので日本語はある程度できます。

駅に迎えに行った時はヨーロッパからの長旅でとても疲れているようでした。さっそく家に案内し、休んでもらいました。夕食を食べてひと息着いたところで彼女が自宅にメールを送りたいと言ってパソコンに向かいました。お父さんが病気なので様子を確かめたいと言います。彼女は両親が高齢で授かった子で、父親はすでにかなり高齢でした。

しばらくパソコンに向かっていた彼女が突然泣きそうな顔で言いました。「明日オーストリアに帰ります」と。びっくりしました。日本に着いたばかりです。でも、父親の容体がよくないからすぐにでも帰りたいと言います。

彼女は翌日帰国しました。空港まで見送った私は、足早に出国検査場に向かう彼女の後姿を見ながら父親の無事を祈りました。

彼女にとってわずか24時間の日本滞在でした。
 
                       続く

   


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