家庭で楽しむ国際交流2:外国人受け入れのヒント
前回に続いてホストファミリーとして外国人を受け入れるためのヒントをお伝えします。あくまでも体験を通し私が感じたことですが、何らかの参考になれば幸いです。
1 狭い家でも気にしない
わが家は決して大きな家ではありません。ごく普通の一軒家です。来客用の部屋が特別にあるわけでもありません。「それでもよければどうぞ」という気持ちで受け入れています。短期間の滞在なら子どもの部屋を使ってもらったり、リビングの隣の和室を襖を閉めて使ってもらうこともありました。声は筒抜けですがお互い気にしませんでした。高校生などは小学生の息子と一緒の部屋で寝てもらいました。高校生には息子のベッドを使ってもらい、息子は床の上に布団を敷いて寝ていましたが、そのうちにゲストも日本の布団が気に入ったらしく、息子と入れ替わって寝ていました。
シドニーから来た大学生は大きな家に住んでいるらしく、わが家のキッチンを見て「僕のクローゼットくらいの広さだよ」と言っていました。おそらくその通りだろうと思います。日本の住宅事情をありのままに見てもらうことが大事だと思います。
私自身も海外でホームステイをしたときにはいろいろな家庭を体験しました。大きな家ばかりではありません。子ども部屋を使わせてもらったり、リビングの一部を仕切ったところに寝泊まりしたこともあります。玄関わきの小部屋で寝泊まりした時は、人が訪ねてくるたびに私の横を通って家に入って行きました。私は入り口の門番のようでしたがそれはそれで楽しかったです。
2 食べられないものがあっても
宗教的な理由から食べられないものがあったり、体質的に受けつけない食べ物があったりする人はいます。ベジタリアンの人も少なくありません。そうしたことは事前に聞いておき、食べられないものは提供しないようにしました。
でも個別の好き嫌いなどすべてに対応するのは大変です。高校生を受け入れた時、日本のお弁当を体験してもらおうと思って息子と同じものを用意したのですが、あまり好まなかったようです。母国ではハンバーガーやフライドポテトなどを好んで食べている少年に肉じゃがや卵焼きなど口に合わないことだってあります。そんな時は「せっかく作ってあげたのに」などと思わず、コンビニで好きなものを買って食べてもらったり、サンドイッチなど自分で作ってもらってもよいと思います。何でもやってあげる必要はないと思います。
3 大量に用意したメモ用紙
台湾から来た二人のゲストは日本語はまったできませんでした。英語もほとんど通じません。一方、私たち家族は中国語が話せません。身振り手振りだけでのコミュニケーションにも限界があります。そこで思いついたのが筆談です。両国は漢字文化圏にありますから漢字を書けばなんとかなると思ったからです。発音は違っても文字を見れば何とか理解できます。
滞在中はメモ用紙をたくさん用意して家中に置きました。伝えたいことがあるとすぐに漢字で書いて二人に見せるとたいていのことは理解してくれました。大量のメモ用紙とペンを用いたコミュニケーションは聴覚に障害のある人にも有用だと思います。現在なら翻訳アプリを使えばよいのでしょうが、「メモ用紙作戦」にはそれなりの楽しさがあります。コミュニケーションの壁を乗り越える工夫をするのも楽しいものです。
4 無理して特別なことをしなくもいい
ホストファミリーを初めて体験した人の中には「疲れてくたくたになった」という人がいます。楽しんでもらおうとあれこれ気を遣って精一杯もてなしたために、ゲストが帰ったあと疲れが出てダウンしたという人もいます。
ゲストに満足してもらおうとあれこれ用意しようという気持ちはわかりますが無理をしないことが大切です。私自身最初の頃は満足してもらおうとがんばり、かえって本人を戸惑わせてしまったことがあります。カナダから来た高校生に「王様になった気分だった」と言われてしまいました。ゲストを王様にしてはいけないと思いました。
相手も特別なことを期待しているわけではありませんから(中にはいるかもしれませんが)無理をせず普段の生活をありのままに体験してもらうのがよいと思います。頑張りすぎると疲れまし、疲れると相手に対する不満も出てきてお互いによくありません。普段のやり方を変えずに接するのがよいと思います。
5 お面をかぶって記念撮影
わが家では日本のお面をつけて記念撮影をすることが恒例になっています。楽しいですし記念にもなります。
6 緊張を和らげるウエルカムメッセージ
初めて迎える時玄関にウエルカムボードを飾っておくと喜ばれます。ゲストも緊張しているでしょうから玄関を入ってこれが最初に目につくと歓迎されているという気持ちになってほっとするようです。紙に書いて貼っておくだけでも十分です。小さなことですが嬉しかったと言ってくれる人がたくさんいました。
7 交流は家庭の中だけでなく
私が海外でホームステイをしたとき、ファミリーが両親や兄弟姉妹、親族、友人など様々な人に紹介してくれることがよくありました。集まりがあると私も同行させてくれるのです。交流の輪が広がり私はとても嬉しかったです。
だから私も外国人を受け入れたときは家族だけでなく親戚や友人、近所の人などできるだけたくさんの人に紹介するようにしています。本人だけでなく紹介された人にとっても有意義で貴重な体験になります。
私の場合は高齢の母がすごく喜んでくれました。母は人生の中で外国人と接することがほとんどない人でした。そんな母のところに私はゲストをたびたび連れて行きました。最初は嫌がるかなと思いましたが逆でした。一人暮らしの母にはよい刺激だったと思います。すごく喜び、自然体で接していました。相手に通じなくても気にせず日本語で話しかけていました。オーストラリアの女子学生に「あんたべっぴんさんやねぇ」と言った時はすごいと思いました。女子学生は「べっぴんさん」という日本語を覚えたことをとても喜んでいました。
8 末永く交流を続ける
滞在が終わったらそこで関係がおしまいというのではもったいないです。せっかく知り合ったのですから帰国後も交流を続けることをお勧めします。メールや手紙でやり取りしてもいいですし、実際に相手を訪問してもよいと思います。ゲストが再訪してくれるのも嬉しいものです。
私自身も実際に何人ものゲストを訪問しました。ゲストが家族を連れて再訪することもありますし、家族や友人が新たに滞在することもあります。メールやカードのやり取りを含めて多くの人と今でも交流を続けています。
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