不審な警察官
外出しようと玄関を出たら家の前に男性が立っていました。写真を撮っています。道路を撮影しているようにも見えますし、わが家を撮っているようにも見えます。近々下水道工事が行われるようだと聞いていたので市役所の職員かとも思いましたが、服装からはそのように見えません。名札も下げていません。身なりはこぎれいですが、住宅街で見かける人物としてはどこか不自然な感じがします。
男性はそのあとも近隣の写真を何枚か撮っていました。近所の家の玄関先も撮影していました。私はますます不審に思い道路に出てしばらく様子を見ていました。私が不審に思っていると感じたのでしょう、彼の方から声をかけてきました。「怪しい者ではありません。警察の者です」と。彼はさらに警察手帳を差し出し「○○警察の△△と言います。きのうこの近辺で当て逃げがあったので調べているのです」と言いました。
その言葉を聞いても私の不審は消えません。と言うよりさらに不審な思いが募りました。制服は着ていませんし、警察手帳だって偽物かもしれません。当て逃げというのも何となく疑問に感じます。「あなたの動きが不自然だったので気になった」と私が言うと、彼は「心配されるのはごもっともです。何ならここで警察に電話して△△という者がいるかどうか確かめてくださってもいいですよ」言います。私は電話しませんでした。警察手帳の名前だって実在の警察官の名前に改ざんすることだってできます。何よりも彼とそれ以上関わりたくなかったので「いいです。こんなご時世だからちょっと心配になっただけなので」と言ってその場を離れました。
けれど私の不審は翌日になっても消えません。そこで警察に電話することにしました。一応確認しておいた方がよいと思ったからです。一報するのも無駄ではないと思います。電話には女性職員が出ました。彼女に事情を話すと「△△なら確かに署に在籍しております。本人が現在おりますのでお呼びします」と言い、やがて男性が電話に出ました。彼は昨日の状況を正確に話しました。本人に間違いないと思いました。
不審者でないことがわかりほっとしましたが、警察官をも疑わねばならない世の中になったことをとても残念に思いながら、同時に警察官を名乗る不審者にはどう対するのが適切なのか考えてしまいました。