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私の「しくじり先生」体験

「しくじり先生」という番組がありますが、私にも教員時代にたくさんの「しくじり体験」がありました。今は懐かしい思い出です。


【修学旅行で】

😮寝た子を起こしてしまった

かつての修学旅行は和風旅館の大部屋でたくさんの生徒が寝泊まりするのが一般的でした。布団を並べて枕投げや幽霊話、布団の中でのひそひそ話をするのが楽しみでした。就寝時刻になっても寝る生徒はほとんどいません。教師もそれを承知で見回りをします。

就寝時刻を少し過ぎた頃、部屋の見回りをしました。部屋の中からは小声で話す声が聞こえます。障子を開けて「早く寝なさい」と声をかけました。1時間ほどしてまた行くとまだ起きている生徒がいるようです。ひそひそ声が聞こえます。障子には一部ガラスが入っているのでそこから覗くと布団がごそごそ動きました。今度は廊下で軽く咳ばらいをして通り過ぎました。さらに1時間後。部屋はシーンとしています。さすがにみんな寝たようです。

一応部屋の中を確認しようとそっと障子を開けて中を覗こうとしたその時です。「ガシャーン!」 大きな音がしました。私が障子を蹴ってしまったのです。「何の音!」「だれ?」 寝ていた生徒もみんな起きてしまいました。


😮電車といっしょに車庫に

京都市内の班別自主行動の日でした。教員は手分けしてチェックポイントに行き、やって来る生徒たちを待ちます。5月でしたがその日はとても暑い日でした。朝から夕方までずっと同じ場所で待機するのも疲れます。

すべての班が無事に通過したことを確認してホテルに戻ろうと地下鉄に乗ったのですが、腰を下ろした私はついウトウトしてしまいました。気がついたら電車内が薄暗くなっています。乗客はほかにだれもいません。電車は動いていますが何が起きているのか私にはわかりません。血の気がさーっと引く伊野がわかりました。どうやら電車は引き込み線を走っているようです。このまま車庫に入ってしまうのかと私はあわてました。

どうしようかと思っているとやがて電車は方向転換をして本線に戻り始めました。どうやら一時的な作業だったようです。ほっとしましたが、眠気は一気に覚めました。車掌さんは私が居ることに気がつかなかったのでしょうか。


😮雑念を見抜かれた!

生徒と一緒に教師も座禅をしました。時間は30分間です。ほとんどの生徒が座禅は初めてらしくみんな緊張した様子です。日ごろ問題行動の多い生徒も神妙にしています。

本堂でお坊さんの法話を聞いた後、座禅が始まりました。目を閉じ、背筋を伸ばし、両手を合わせて座ります。お坊さんが歩いているのが気配でわかります。「バシッ!」と音がしました。だれかが警策で打たれたようです。

うっすらと目を開けて見てみました。何と部活の鬼顧問として生徒に恐れられている体育科の教師でした。普段「喝を入れて」いる彼が喝を入れられています。続いて「ワル」の生徒が打たれました。「お坊さん、さすがによく見抜いているなあ」と思ったそのときです。肩に「バシッ!」と衝撃を感じました。雑念を見抜かれたようです。


【教室で】

😮教室が違う!

同僚と話しながら授業の教室に向かいました。教室は3階です。教室のドアをガラッと開けた私はびっくりしました。いたのは違う生徒たちだったからです。そこは2階の教室でした。おしゃべりに気を取られ階を間違えていたのです。

😮時間が違う!

授業の時間を間違えたこともあります。教室に行くと生徒は誰もいません。体育の授業でグランドにいました。私が授業の時間を間違えていました。

😮生徒が違う!

教室にいる生徒が違うことがありました。教室のドアを開けると中にいたのは別のクラスの生徒です。教室を間違えたかと思いましたが、表示を見ても間違ってはいません。「先生どうしたの?」「教室間違えたの?」「寝ぼけてるの?」生徒たちは口々に言います「変だな~」と思っていると隣の教室から「やったー!」という歓声が聞こえました。入り口には男性教師が立っています。

2つのクラスで生徒がそっくり入れ替わっていたのです。男性教師も私もまんまと騙されました。生徒たちのいたずらだったのですが、完全に彼らの勝ちです。それにしても何という団結力。エイプリルフールの出来事でした。

【体育祭で】

😮「気持ちだけで十分だよ」

行事やイベントでのテント張りは野球部員の仕事です。いつもやっているので生徒たちは手慣れたものです。体育祭が終わった後いつものように片づけを始めました。大変そうだったので私も手伝おうと思い作業に加わりました。でも普段やっていないので要領がわかりません。生徒がやるのを見ながらパイプなどを外していると、生徒の一人が「だれだよ、こんなところ外したヤツは!」と大声で言いました。

外したのは私です。余計なことをしてしまったようです。「ゴメン! 私だけど何か間違ってた?」と言うと彼はやさしく言いました。「先生は休んでていいよ。気持ちだけで十分だから」と。生徒に任せるのがよいこともたくさんあります。

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