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調理室からおでんの出前
調理部の顧問をしているときのことです。クッキーやケーキといったお菓子ばかり作っている部員たちに「たまにはお惣菜を作ってみたら?」と提案しました。日常の食事作りにも役立つと思ったからです。生徒たちが作ろうと決めたのはなんと「おでん」でした。寒い冬の日でした。
いつもはバニラやシナモンのにおいが漂う調理室にその日はおでん屋のにおいが漂いました。通りかかった男性教師が「いいにおいだなあ」と言って覗き込んでいきます。鍋には山のようなおでんが出来上がり、生徒たちもおなかいっぱい食べました。
たくさん作ったので職員室に「出前」しました。明かりのともった夕暮れの職員室におでんのにおいが立ち込め、目をつぶるとおでん屋にいるような気になります。「一杯ほしくなったなぁ」という声も聞こてきました。