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狼にも言わせて

数年前、ロンドンの古書店で楽しい絵本を見つけました。日本でもよく知られている『三匹のこぶた』のお話を狼の視点で語り直したユニークな絵本 "The True Story of the 3  Little Pigs!" (Puffin Books 1989) です。

あらすじ

風邪をひいている狼のアレクサンダーはおばあちゃんの誕生日にケーキを作ってあげようとしますが、砂糖がないことに気づきます。そこで、砂糖を分けてもらおうと近所に住む子豚さんのところに行きます。ただ、狼はこの時かぜをひいていたので、くしゃみばかりしていました。


最初は藁でできた家に住む子豚さんを訪ねます。でも、あいにく狼は大きなくしゃみをして わらの家は吹き飛んでしまいます。子豚も死んでしまいますが、死んだ子ブタをそのままにするのはもったいないと思って狼は食べてしまいます。

次に訪ねたのは木の家に住む子豚。ここでも同じことが起きます。子豚も食べられます。

最後に訪ねたのはレンガの家に住む子豚。ここでもくしゃみが出ますが、レンガの家は頑丈で壊れません。でも、レンガの家に住む子豚がおばあちゃんを侮辱したので狼は怒って暴れます。そこに警察官がやって来て狼は逮捕されます。

それを新聞記者が面白い記事になるようにと仕立てたのが現在のお話なんだと狼は言います。おばあちゃん思いの優しい狼だったのに・・・

本の表紙
語り手の狼アレクサンダー

狼のアレクサンダーにも言い分があったようです。視点を変えるとこんな物語にもなるのかと思いながら楽しく読みました。「フードロス」の問題がさりげなく含まれているのもニクイです。

*かわいい子ブタのヘッダーはtohrudcさんの絵をお借りしました。

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