【国民民主党】愛知11区

今日の両院議員総会で、愛知11区へ丹野みどり氏の擁立が決定されました。

丹野氏は参院選で岐阜選挙区から立候補したフリーアナウンサー。長年CBCでテレビ・ラジオで夕方のキャスターを務め、愛知選出の参議院議員・伊藤孝恵氏からは「東海で知らない人はいない」(伊藤たかえちゃんねるより)と評されています。参院選でも落選したものの、共産候補がたち、彼女の本来の地盤でない地域からの出馬であったこと、また前回の参院選の野党統一候補に比べ出馬表明からの期間が圧倒的に短かったことを見ても、善戦と言えます。また、比例票の掘り起こしにつなげました。
選挙後、早々に政治活動の継続を表明、SNSのライブ配信で「次がラストチャンス」で「絶対に勝たなきゃいけない」と決意を述べていた丹野氏。全国屈指の激戦区、岐阜からの出馬は「(党に口説かれたんじゃなくて)自ら手を挙げた」(伊藤たかえちゃんねるより)といいます。
玉木代表曰く、東海、とりわけ愛知・岐阜は「党の地政学的に極めて重要」。先の参院選で再選を果たした伊藤氏と、その愛知で再挑戦を決めた丹野氏。最強タッグで当選なるか。選挙結果から振り返ります。

前回の衆院選。トヨタの牙城である11区では、自動車総連組織内議員、古本伸一郎衆議院議員が当然出馬し、勝利を収めるとの見方が大勢を占めていました。が、解散の夜、トヨタ自動車労組委員長と共に会見に臨んだ古本氏は不出馬を表明。お隣三重で既に選挙へ動いていた岡田克也元民進党代表も血相を変えて情報収集に追われたといいます。
当然ながら自民は、古本氏が出馬する前提で準備を進めていました。現職・八木氏は小選挙区当選をしたことすらなく本来は引退する意向でした。ただ、そんな選挙区で後任として出馬する適任候補が見つかるはずもなく、八木氏は再出馬せざるをえないかたちになりました。しかし一転、古本氏が出馬断念を表明したことで、自共の一騎打ちに。八木氏圧勝で戦いは幕を閉じました。
古本氏の不出馬=自動車総連・トヨタ労組の「不擁立」、になります。なぜトヨタ労組は擁立しないことを決めたのか。その理由は単純で、小選挙区の戦いは基本的に、自公と野党の全面対決になります(一人区でありどちらも当選することは物理的に不可能なため)。自動車業界が100年に一度と言われる変革の波に立ち向かおうとする今、現在日本の政治を動かしている与党と、下手に対決することは、現実的に自らの政策実現のために得策ではない、という考え方です。対して、先の参院選では組織内候補を出した比例は選挙の構造上、与野党対決にはならないため、今後も擁立を続ける考えを示していました。

国民民主党は先の衆院選で、2区の現職である古川元久氏しか擁立できませんでした。そのこともあり県内の比例票は19万票に沈みました。今夏の参院選では、愛知選挙区で現職の伊藤氏が立候補。全県が選挙区になるため、県全域に党の旗が立った結果34万票を叩き出しました。「選挙区に立てれば比例はついてくる」という原則が示されたといえます。参院選の比例の結果から候補者さえ立てれば、次期衆院選の東海ブロックでは二議席獲得が濃厚です。その意味で11区での擁立が示されたことは極めて重要な方針と言えます。また、トヨタ出身の浜口誠参議院議員は、11区内に含まれる豊田市内での駅頭を積極的に行なっており、党内でのサポート体制は盤石です。
丹野氏が勝ち抜けるか否か、その大きな要因になるのが「トヨタ労組の支援がつくかどうか」です。前回の衆院選で長年擁立してきた牙城というべき場所で、現職を立てない決断をしたことは、極めて重いものがあります。よって、「すぐに」「総力を上げての」丹野氏支援は少し考えにくい部分が。ただ、国民民主党として労組になんの相談もしていないことも、これまた考えづらく、何らかのゴーサインが出ている可能性もあります。

また、参院選で愛知県出身・愛知県在住でありながら、岐阜選挙区から出馬したことに対し、(その内容が事実がどうかはわかりませんが)批判的なスポーツ紙の記事もありました。丹野氏のホームページではトップ画面の上部に「岐阜とのつながり」と表示されていて、かなり力を入れてアピールし選挙戦を戦ったことになりますが、今度は愛知に戻ることになります。相手陣営からマスコミからの批判があるか、懸念点の一つと言えるかもしれません。

トヨタの支援の程度によって、情勢は大きく変わってきます。自動車産業出身ではない丹野氏が今後自動車総連の組織内候補になる可能性は低いといえます。また、自らが支援する政党が公認候補を立てる中で何も動かないということも可能性として低いです。その中で、どこまでの支援が可能なのか、また比例選挙のように投票確認の徹底など組織的に動くのか。圧倒的なトヨタの地盤といえど、自民は小選挙区を手にしてしまいました。八木氏が次回も出馬するかも含めて、まだ不確定要素が多いこともあり今後の情報に期待です。

【ポイント】
○古本氏の不出馬=トヨタ労組の「不擁立」(≠古本氏の個人の判断)

【注目点】
○一度「不擁立」を決めたトヨタが丹野氏を支援するのか・できるのか
○トヨタが支援する場合、自動車業界出身でない丹野氏への支援の程度はどうなるのか
○現職の八木氏が次回も出馬するのか

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