和歌山県知事選挙2022
岸本周平・秋の陣、和歌山県知事選
参院選を目前に控えた2022年5月23日。
国民民主党所属の衆議院議員、岸本周平氏の姿は、和歌山市内のホテルにあった。
「知事選に出馬することを表明させていただきたい。」
会見の中で、岸本氏は「国政だとマクロの視点になる。和歌山県を直接よくしたいと言う思いが強くなった」と強調、約半年前の衆院選の当選後、すぐのタイミングでも県政転身となったことへの釈明に時間の多くを費やした。検討を始めたのは3月ごろ、県内の経営者を中心に200名の要請を受け、最終的に決定したのはゴールデンウィーク明けだったと語った。
そもそも、岸本氏の県知事選への出馬の話が持ち上がったのは、今回が初めてではない。30代の官僚時代、今から約30年前に既に出馬要請の話があったという。結局は断念するものの、前回の県知事選でも出馬を模索していたことが報じられている。
この会見の前、和歌山県連の会合、そして自身の後援会の会合で、県知事選出馬についての議論が行われた。怒号が飛び交ったとの報道もあるが、真偽の程は不明。ただ後援会の最終結論は、「岸本氏に一任」。決して満場一致での「出馬賛成」ではなかったことも確かである。
が、選挙期間中には、党和歌山県連の所属議員は、岸本氏の当選へ奔走。議員の全員が岸本氏の地盤である和歌山市選出の議員であるため、活動の基盤もあり、全面的な支援の様子が各議員のブログなどからも見えた。
「無所属でないと話にならない。県民党での出馬になる。」
保守王国和歌山で知事選で有利に戦いを進めるためには自民の協力が不可欠。紆余曲折を経て3年間所属した政党の離党を明言した。
ただ、「党の存亡をかけた戦い」(榛葉幹事長)である参院選を前に、ここでは岸本氏と所属政党である国民民主党側との若干の認識のズレを感じた。会見の前後、定例会見に臨んだ榛葉氏は、知事選出馬について岸本氏からの事前報告を否定、離党届提出についても否定、岸本氏について「大人の言動、対応をされると思う」と述べたのだ。
榛葉氏の「(岸本氏は)玉木代表を支えて、参院選の重要さについては常々言っている」との発言からは明らかに、「まずは参院選だろう」との意図が感じられた。
参院選に向け、党全体が走り出す中で、岸本氏の自身の認識に関する発言・表明は早すぎるタイミングだったのかもしれない。結局、離党が持ち回りの両院議員総会で承認されたのは、参院選後、7月末のことだった。
また、岸本氏の出馬会見は、これまで自身が応援してきた現職の仁坂知事が、対応を表明する前だった。仁坂氏は最終的に出馬を断念するものの、会見の段階では、連合和歌山など一部から困惑の声も漏れた。
衆議院議員として、全国的に見ても自民が強い和歌山において、小選挙区で議席を守り続けてきた岸本氏は1956年の和歌山県和歌山市生まれ。大蔵省・トヨタでの勤務を経て、2005年、いわゆる郵政解散に伴い行われた総選挙に当時の民主党公認で和歌山1区立候補。しかし、この初挑戦の選挙では自民の現職を前に、比例復活もならず敗北した。
そこから岸本氏は、徹底的なドブ板戦略で選挙区内をかけずりまわる。駅前や交差点での活動を継続的に実施。政策を訴える「演説」ではなく、手を振り声を出す岸本氏の「挨拶活動」は1区内では日常的な光景だという。与野党を超えて、「岸本周平」個人を支持する、岸本氏の同級生を中心とした地盤は、しばしば「岸本党」と言われる。
2009年の衆院選では、民主党への追い風が吹いていたと言うこともあり、圧勝した。国民民主党代表・玉木雄一郎と当選同期である。
3年3ヶ月の民主党による政権運営に批判が強まり、2012年の衆院選は、結果的に自民党が与党の座を奪還する、岸本氏にとっては大逆風の選挙だった。特に和歌山という土地柄、厳しい選挙を強いられたが、わずか300票差で小選挙区の議席を守り抜いた。09年初当選の民主党議員が、小選挙区当選のまま2期生になれたのは、前述の玉木氏と岸本氏のたった二人であった。
その後民進党→希望の党→旧国民民主党、と、結果として複数の政党を渡り歩くことになる。旧国民時代からは、「鉄の結束」とも称された玉木氏の側近として、選対委員長の要職を務め上げ、新国民民主党にも参加。財政観などで時に批判も浴びたが、衆参の補選や、都議選、衆議院総選挙など、難しい調整も一手に引き受け、勝利に導いた。選対委員長退任後も、幹事長代理でありながら執行部に残留。党首脳として、玉木代表を支え続けた。また、地元活動中は、必ず国民民主党の党名が書かれた黄色のジャンパーを着て、こくみんうさぎがあしらわれた旗を掲げていた。知事選の出馬表明直前までこのスタイルで街頭に立ち、衆院選では県連幹事長の浦口高典氏が「国民の看板で選挙を戦えるわけでない」と述べるほど党勢が厳しい和歌山で、最後まで党の旗を守り続けた。
知事選への挑戦について「(昔から)頭の片隅にあったのかもしれない」と語った岸本氏。県内で圧倒的な影響力を持つ、自民党の二階氏との関係構築にも腐心していた。早くから出馬の意思を伝えていたという。そして出馬表明の会見では、自民にも推薦願いを出す考えを早々に示していた。
ただ、自民県連側からしてみれば、岸本氏は1区の議席をずっと奪い続けている「敵」。真っ先に手を挙げた岸本氏への支援に、一部の県議は強力に反対した。ただ、「適任はいない」という声も漏れ、5月の出馬表明時点では、自民は独自候補を擁立せず、岸本氏を何らかの形で支援する、と地元紙が報じた。
しかし、県連の幹部らに、岸本氏推薦に反対する文書が提出されるなど、自民は独自候補擁立へと一気に流れる。2区の石田衆議院議員も擁立の候補となったが、結局、世耕氏主導で総務省の官僚に事実上決定した。岸本氏はこの時点で、支援の確約を得られていたのは連合和歌山のみ。仁坂知事も自民候補の支援を表明し、幅広い政党から推薦を受ける戦略から一転、「野党統一候補」になろうとしていた。
事態が急変したのは、9月9日。二階氏が強い影響力を持つ、県町村会の決断である。自民が独自候補擁立を決めた後、町村会は「岸本推薦」という「逆の方針」(自民県連幹部)を決めたのだ。町村会とは、県内の首長でつくる地方選挙において絶大な力をもつ組織である。会長は、今回の独自候補擁立劇での自民の「相談なし」の姿勢を問題視。これまで友好関係にあった自民と「逆の方針」で選挙を戦うことを決めた。
実は岸本氏は、二階氏の助言もあり、県内の市町村をこまめに回っていた。町村会の構成メンバーからは、心情的に「岸本を推したい」との声も少なくなかったという。
統一地方選を前に、町村会と対立するのは、自民にとってもマイナスしかない。一気に形勢が逆転。これまで積極的に動いてきたメンバーも「状況が変わった」、自民県連は総務官僚の擁立断念に追い込まれる。結果、岸本氏の要請通り、同氏の推薦に落ち着いた。
一時は「官僚擁立」に動いた県連を、一気に「元野党議員支援」に持っていったのは、二階氏だ ー。県連内ではまことしやかに囁かれているものの、真相はわからない。ただ、NHKによれば、周辺にはこのように語っているという。「地方で知事を選ぶというのは大変なことなんだ。1か月や2か月前にポッと出てきた人間がやって勝てるほど甘くない。誰かさんみたいに声をかけられたから、その気になるようじゃダメさ。」
出陣式。二階氏は当然、岸本氏の激励に訪れ、応援のマイクを握った。「岸本さんを推そうと一丸になったことをうれしく思う」。満足げに語ったのが印象的だった。独自候補の擁立へ積極的だった世耕氏や仁坂氏も出席。仁坂氏と岸本氏ががっちり握手を交わす場面もあった一方で、世耕氏は応援演説後早々に用意させた車に乗り込み、会場を後にした。
◉出陣式、岸本氏演説の概要
○第一産業に、思い切ってこれまで以上に力を入れていきたい。
○第一産業と観光産業を車の両輪にして、その上に子育て支援を乗せたい。和歌山に行ったら子育てをしやすい、そのことで人口減少に歯止めをかける。
○皆さん、これまでの人生で、うちでの小槌はあったか、魔法の杖はあったか。ここにいる和歌山県一人ひとりが、小さなことからコツコツと、額に汗をして協力して前を向いて進んでいくしかない。
○私が起爆剤になる。岸本周平が爆発する。だから皆さんも起爆剤になってほしい。私と一緒に爆発していただけないか。明るく豊かで住みよい和歌山を作るために力を貸してほしい。
選挙戦は、終始岸本氏優位のまま推移。圧勝ムードが漂っており、出陣式恒例のガンバロー三唱でも「『圧倒的な』勝利に向けて」との前置きがあるなど、大勝がもはや既定路線だった。というのも、(公明こそ自主投票の対応をとったものの)県内で圧倒的な強さを誇る自民、野党第一党の立憲、古巣の国民、両党の支持母体の連合、リベラルに位置する社民と、幅広い党派から推薦を受けたからである。選対の本部長には尾花和歌山市長がつくなど、「最強の布陣」(陣営関係者)が整えられた。また、他の立候補者が、共産や諸派系の無所属などで、有力候補が見当たらなかったことも、岸本氏を独走状態に押し上げることになる。
ただ、最後まで陣営に緩みは見られなかった。首長・県議・市町村議の組織もフル回転。特に、地盤である和歌山市以外で、重点的に街頭演説会や個人演説会を重ねた。出馬表明以降、配り続けた名刺は3000枚にもなるという。選挙期間中の週末にも、人口の多い県都市部ではなく、あえて南部の山間地域に足を運び、支持を訴えた。
県内をとにかく駆け回る日程は、中盤になっても止まることはなかった。元滋賀県知事の嘉田由紀子や、元埼玉県知事の上田清司、これまで一区で相手候補だった自民の元衆議院議員・門博文も応援に入り、緩みは全く見られなかった。
「残りの人生、具体的な仕事でふるさとに恩返しをしたい。」
出陣式から「かれていた」と語る声は既にガラガラ。序盤戦よりさらに紀南地域に力を入れた。郡部の小さな集落ににも、岸本氏本人の強い希望で訪問が実現したという。
「まだまだ紀南のこと、にわか勉強だ。勉強を始めたばかりだ」
「大きなことはできないが、弱い人、弱い地域に寄り添うことだけは約束できる」
「和歌山県というものはない。あるのはたくさんの市町村だ。それをまとめた和歌山県と呼ぶのであって、県知事なんて偉いこともなんともない。主役は市町村で、その発展を応援するのが県の役割」
演説では、「知事になる」というより、「応援団長になる」(岸本氏)気概がひしひしと感じられた。
「(仮に知事になっても)知事室にはいないようにしたい。現場に行って、注文を聞いて、県民の皆さんを応援したい。」
選挙前の事務所開きで語った決意をさらに強くしているようにも見えた。
また、二階氏を味方につけたことで県内の膨大な数の企業や団体から推薦を受けた。企業での個人演説会を開くなど、得意とする空中戦のみならず、徹底した組織戦も並行して行われた。自民の議員らの演説会にも顔を出して、認知度向上を図った。
「寛大な心で私を受け入れていただいた自民党の懐の深さに感謝申し上げます」
自民には最大限配慮が見られた。
また、落選時代から貫いてきた「自転車スタイル」は今回も変わらなかった。「岸本周平」と大きく名前が書かれた選挙カーの後ろを、タスキをかけた本人が自転車で追うのだ。「有権者との距離が近くなる」として、選挙のたびに、いや日常の政治活動から「自転車部隊」を組み、選挙区内を遊説して回っていたという。
演説面では、親しみやすさをアピールするため、浪人時代の苦労エピソードも披露。無党派層への支持拡大、認知度向上の策も忘れなかった。陣営幹部は「予想以上に認知度が上がり、人柄も分かってもらえてきた」と自信を見せた。
小学生に声をかけられることも多かったという。
「嬉しいじゃないですか。今まで通り、周平さんと呼んでもらい、仲間同士のように県民の中に入っていきたい」
「仕事は優秀な職員に任せ、できるだけ県内を回りたい」
一方、終盤になってもなお、岸本氏に大幅なリードを許す他の立候補者は、後述のIRの問題に加え、これまで野党で活動してきた岸本氏が、与党の推薦も得て、いわゆる「与野党相乗り」となっていることを問題視。
「与野党相乗り、談合選挙。こんなものを選挙と言えるのか」(無所属候補)
「自民党型県政を変える」(共産候補)
激しい攻勢が続いた。
選挙戦最終日、午後6時。最後の最後の締めの演説、マイク納めに臨む岸本氏の姿は、地元、JR和歌山駅前にあった。
「和歌山は一つになる。子や孫が誇りを持って和歌山を語れる。和歌山が最高だ!そう子供たちが思える未来をつくろうでないか」
二週間近くの選挙戦だけではない。出馬表明から半年、県内中を駆けずり回った岸本氏の、かすれた声が和歌山の夜空にこだました。
そして迎えた投票日の午後8時。投票が締め切られて早々、各社が一斉に岸本氏に当確を出したことを伝えた。いわゆる「ゼロ打ち」。NHKの出口調査では8割近い得票を得る、まさに圧勝を確実にした瞬間だった。
報道を受け、岸本氏は選挙戦同様の黄色のジャンパー姿で事務所に姿を現した。受け取った花束を高く掲げ、駆けつけた二階氏らと共に万歳三唱。「新知事」として決意を表明した。
「チーム和歌山で、マネージャーとして県の職員と一緒に働きやすい環境を必死で作っていきたい。仁坂知事が16年間築き上げてきた県政を継承し、さらに一歩、前に進めたい。和歌山が最高だと子どもたちが思う未来をつくりたいと思うので、よりいっそうの支援と協力をお願いしたい」
会場は熱気に包まれた。
岸本氏が訴えた政策とは
ここで岸本氏が訴えた政策を見ていきたい。
選挙期間中は、「和歌山が最高!だと子供たちが思う未来を!」をキャッチフレーズに掲げ、特に古くからの残業である第一産業(農業・林業・水産業)と、新しい産業である観光業にセットで力を入れ、また子ども子育て政策に取り組むことで和歌山へのUターンを含めて、人口減少を食い止める政策を重点的に訴えた。
ここで、候補者が重要視している政策を掲載する傾向にある選挙公報に記述のある個別政策を挙げる。
○県内の森林を整備することで、カーボンクレジットを生む宝の山へ。
○脱酸素社会の先進県へ。
○農業遺産の活用や農学部の創設で、第一産業を活性化へ。
○南紀白浜空港の民営化が実現によるワーケーションを推進へ。
○大阪万博と連携し、世界遺産を生かし観光客を誘致へ。
○放課後児童クラブの充実、子ども食堂のネットワーク化、専門性を伸ばせる学校の充実、給食費無償化など、子育て世帯の負担軽減へ。
○高速道路の整備、公共交通の維持。
○南海トラフに備え防災対策強化、国土強靭化。
○効率優先の政治から、弱い人々や地域に寄り添う県政を。
やはり、人口減少対策や、地域経済の活性化策が、知事選の大きな論点になり、岸本氏の訴えの大きな論点となった。また、産経新聞などのアンケートでは、和歌山の自然と文化などを生かした観光業にも力を入れる考えを示している。
ただ、これらの政策は他の二人の候補と、方向では概ね一致している。
岸本氏と二人の違いが際立ったのはやはりIR問題だ。岸本氏自身は過去に国会でIR整備法に反対していましたが、今回の選挙では「中立」を表明。対して共産候補、諸派系の無所属候補はいずれも強く反対する意向を示し、ポスターなどでも大々的に取り上げ、争点化を狙った。岸本氏を痛烈に批判する、候補者本人の発言や、所属政党の文書も見受けられた。
仁坂知事肝入りだったIR誘致計画は、県議会の決議で断念に追い込まれた。これは自民党からも反対票が入っていたと見られている。仁坂氏の後継的位置付けでもある岸本氏は、将来的なIR再誘致を「否定していない」。「将来の再募集の際」、「県民全員で、IR誘致の可能性について」、「ゼロベース」で議論することは「できる」というなんとも曖昧な表現。今後どのような姿勢でこの問題に臨むのか注目だ。
和歌山一区補欠選挙
岸本氏の衆議院議員辞職により、和歌山一区では欠員となり、来春、補欠選挙が行われる見通しだ。それまでに衆議院解散がない限り、10増10減前の現行区割りで行われる最後の選挙になる(新しい区割りでは海南市を含むこととなる)。
自民の擁立は既定路線。昨年の衆院選で岸本氏に大敗、比例復活もならず浪人中の門氏が既に街頭活動を開始しており、出馬に意欲を示しているほか、参議院の世耕氏、鶴保氏両名とも衆議院鞍替えに意欲的。補選を逃せば次期衆院選では県内に二選挙区しか残らないため、難しくなる。当然一区補選での挑戦は視野に入っているとのこと。どのような経緯で、いつ、誰が公認を受けるのか。それにより、野党が候補者を立てた場合の戦況が変わってくることも予想される。
対して野党も、既に擁立へ動き始めている。維新は候補者の公募を開始。先の和歌山市議補選では新人をトップで当選させた実績もあり、総支部幹部は「区割り変更を機に、県内でも党勢拡大を図っていきたい」(わかやま新報)と語る。
立憲も擁立を目指す意向を示している。和歌山を訪れた岡田幹事長は「野党第一党として」(岡田氏)擁立したい考えを示している。他の野党との調整も同時に行う考えだ。ただ先の参院選では、人材不足を理由に選挙区で候補者の擁立断念に追い込まれており、“立てられるのか”は不透明だ。
岸本氏の古巣の国民は、まだ一区への擁立に関する意向は報じられていない状況だ。12月中旬、玉木代表が県内入りすることから、その時点でなんらかの考え方が示される可能性がある。来年の統一地方選では、県議1名、和歌山市議2名の計3名の現職全員が党の公認を受けている。一区の補選も同時期に行われることが見込まれ、党として独自にたてたいところだ。
補選で岸本氏がどの候補を支援するかは全く見通せない。野党出身で、選対委員長としていわゆる野党共闘の、中心的な存在であった時期もあった。しかし、今回は自民の推薦があり始めて選挙が成り立った部分も否定できない。前述の通り、門氏も岸本氏応援のマイクを握った。
与野党対決の構図を制して知事になった大野元裕氏は昨年の衆院戦で、自民、立憲、国民の三党の候補者の応援演説に回った。小選挙区の制度上、一人しか当選しないため、大野氏が応援した候補全員が当選することは物理的に不可能だ。が、大野氏は来年の県知事選も見据え、与党と連携しつつ、古巣である野党にも協力する、という戦略を立てたのだ。
地方選挙と国政選挙は状況や条件がかなり異なり、岸本氏が一区で特定候補を支援することは厳しいとみられる。与野党どちらの候補にも応援に入るか、静観するか、はたまたどちらかに振り切るのか。一区は岸本氏個人が地盤を築いてきただけで、特別野党が強い地域であるわけではない。よって岸本氏の応援なくして野党側の勝利はない。そこに自民の公認争いも絡むと見られ、知事選後も県内の政局は混沌としそうだ。
投票率、39.86%。
得票数、246519票。
得票率、80.1%。
岸本氏の地盤である和歌山市では83.8%。
懸念されていた紀南地域でも、自民の組織のフル回転も功を奏し、8割越えの自治体も複数。
圧倒的な数字で、共産、無所属、両者を抑え、当選を決めた岸本氏。人口減少、高齢化、IR。さまざまな問題が山積する和歌山を、「ドブ板知事」として、「県民の応援団」として、「チームのマネージャー」として、変えていくことができるのか。与野党双方から支援を受け、その短所を抑え込みつつ、長所を生かした県政運営ができるのか。岸本周平の挑戦と、チーム和歌山の進化は、まだ始まったばかりだ。
カッコつけて書いてみました笑
演説内容等は「岸本周平チャンネル」から、他は岸本氏のブログ等から、引っ張ってきました。
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