清水大志

会社員の傍ら趣味で小説を書いております。 本はライトノベルから一般文芸、翻訳ミステリま…

清水大志

会社員の傍ら趣味で小説を書いております。 本はライトノベルから一般文芸、翻訳ミステリまで、映画も同様に雑食。

最近の記事

短編「バックスクリーンを振り返ると」

集英社短編小説新人賞応募作(落選) 箸にも棒にもかからぬ作品でしたが、供養のつもりで投稿いたします(応募時のままです)。 ご感想頂ければ、泣いて喜びます。 本文(原稿用紙30枚)  ぎらぎらとした太陽が、甲子園球場の小高いマウンドを照り付けている。バックスクリーンの時計によると、時刻は午後二時五十六分。試合は早いペースで最終回を迎え、超満員の観客席は騒然としていた。数万人の観衆の誰もが、自分たちが歴史的な記録の目撃者になろうとしていることを理解している。  相手側、三

    • 「ホットライン」第3話

      大介たちの腰には、スタッフが用意した赤色のフラッグセットを付いている。 笛を首にかけた川神は、集まった赤と青のビブスを着た十人を一望した。 「皆のフィールドはNFLルールの一般サイズでいきます」 ということは、エンドゾーン各10ヤード。横のプレイフィールドが、間にセンターラインを挟んで40ヤード、縦25ヤードの長方形だ。 「攻撃権は一回、サードダウンまで。自陣5ヤードから始めて、ハーフラインを越えたらファーストダウン更新です。ランはなし。インターセプトもパス失敗ね」 続く川神

      • 「ホットライン」第2話

        四月の最終週になり、実力テストも終わって気分は連休モード。 昼休みの一年七組の教室では、クラスメイト達が各々仲の良いグループで別れて昼食を食べていた。 でも、大介の前に座っているのは四組の三岡である。 「お前、なんでいつもわざわざ俺んとこに来て飯食ってん」 同好会に入会して以来、毎日昼休みに顔を出す三岡は、紙パックの牛乳を飲みながら答える。 「いいじゃん、別に。フラッグフットボール同好会の仲間でしょ。シドくん」 「なにがシドくんや、馴れ馴れしい。他の連中のとこで食べたらええや

        • 「ホットライン」第1話

          あらすじ  紫藤大介は中学時代は有名選手だったが、あることを理由にアメフトを辞めた。  高校に入学すると同級生、三岡奈緒美からアメフト部に誘われ、無理矢理練習に参加させられてしまう。  喜ぶアメフト部。力を見たいと部長の海福と一対一を挑まれるが、大介は戦う前に倒れてしまう。  保健室で目を覚ました大介は、付き添っていた三岡にアメフトを止めた理由を話す。試合で相手を怪我させたことで、ぶつかり合うことが怖くなったのだ。入部はできないという大介に、三岡は翌日の放課後、河川敷のグラ

        短編「バックスクリーンを振り返ると」