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■ 塔本作品の魅力について

 塔本賢一作品の魅力についてお話しします。以前に先生の魅力については軽く触れましたね。とても若々しくパワーみなぎる方でしたから、そこから生み出される作品世界も相当力強いものです。

 岡本太郎氏は「呪術」という言葉を好んで用いましたが、塔本作品にもそれを感じます。なにか得体の知れない黒魔術のような禍々しいオーラが満ちていてブードゥー教やアボリジニ美術にも似たプリミティヴな呪物的存在感がある。

 かと思えば、そんなアブノーマルな匂いが漂う一方 独特のユーモアというかまるで子どもが戯れているような遊び心も溢れています。たとえば描くモチーフ。マイケルジャクソンだったりフレディマーキュリーだったり。ポップアートっぽい作品も飛び出します。

 使っている画材も無邪気です。釣りの浮きで点描したり、100均で見つけた円をたくさん描ける子ども向けの遊具で幾何学的な模様を取り入れてみたり。

 キャンバスや額縁もユニークですね。段ボールやいらなくなった棚を使ってみたりしてジャンクアートっぽい質感もあったりして。

 まさに現代アートとしか言いようのない、しかし現代とはちがうもっと普遍的な古めかしい魅力のいっぱい詰まったアート作品なんです。

 とはいえ文章だけではなかなかうまく伝わらないと思います。ブードゥー教ゾンビのごとく現代によみがえらせ 実際の目で驚いてもらうほかないのです。

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