まだわたしには手が残されている
去り行く者をつなぎ止める手が

必死だった

ほんの少しでも共に在りたくて
手を握るだけで
ここにまだ居てくれると信じた

でも何も変わらなかった

握った手からは体温がなくなり
しだいにあの子は
わたしの前から姿を消した

絶望したが
まだわたしはここにいて
わたしには手が残されていることを悟る

まだ
できることがある

ひとつは祈ること

もうひとつは
もう一度手を握ることだ

去り行く者を追うことはできない
だが来る者を迎えることならできる

手をつなぎに行こう
大きく胸をひらいて
来るべき者を迎え入れるのだ

一期一会 人生一度きり
待ってなどいられない

絆は自然につながるものと思っていたが そうじゃない

絆が欲しければ 先ずこちらからつなぎに行かなければ

手を差し伸べなければ
つなげる手はひとつもないということ

絆をつなぎに行こう

さあ 


20250217


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