【詩】旅

旅だなんて上等なものは
僕はいらん
僕の旅は業務
仕方ないからいく運行
日本に限ってはしからはしまで行った
どこまで行ってもおんなじ日本やった

高速道路をおりたら
町に大きな道路が通りぬける
人がいて家がある
歩く人がいて
買い物袋と犬猫カラスハト
自転車と杖と車イスと
シニアカーと山川湖海のどれかがある

選挙のカンバン写真がまばら

空はそこにある空だけど
ここにある空だ

どこもおんなじやろコンビニ
牛丼

でも微妙にちがう
笑顔と泣き顔と人生と
赤ん坊の数
学生の数
老人の数
あいさつしている夕方のにおい

ちがうって気づいた
ここに
ここにだけのひとがいる

ここにいついた理由を抱きしめて
それが旅

大好きな君の生まれた町は
さみしいって気づいた

君が都会に出ていったのは
旅やったんか

旅しているって気づいた
みんな旅しているんや
ひとつひとつの旅が集まり
たぶん宇宙ごと旅している
知らんけど

本当は旅が苦手だ
ポンコツの怠け者は毎日帰りたい
YouTubeの歌をきいてたら
出先の休日が終わる
トラックの寝床

さあ帰り荷
つみ行こうか
しんどいけど