火の鳥展 手塚治虫
934文字
手塚治虫のことば
彼は生前、自分の描いた主人公がひとり歩きすると言っていましたが、私は学生の頃はアニメのどろろの百鬼丸に恋をし、成人になったら、ブラックジャックに恋しました。現実に存在するかのように漫画の中の主人公は生き生きしていました。
彼は大阪大学医学部で医師免許を取得、奈良県立医科大学で学位を授与されましたが、25歳でトキワ荘に入居して、漫画を描き続けました。虫を通じて感じる生命の不思議、医学を通じて感じる生命の息吹、また過去や未来を通じて人の輪廻の様子を漫画に表し、多くの人達の尊敬を得ました。ブラックジャック、ブッダ、火の鳥は私にとって、三大の哲学書になりました。残念なことに、1989年60歳で胃癌により亡くなりました。
驚いたことに、一緒に行った長女が、子どもの頃に読んだ、家にあった本を全部覚えていたのです。私が忘れているものまで。
ヒトラーを描いた「アドルフに告ぐ」が、生きてる間に描いてくれて良かったとまで言いました。
この日は私の誕生日でしたが、娘のこの言葉が私にとっては最大のプレゼントでした。なぜかと言うと、ほんとは娘に読んでほしいと思いながら、人の自由を妨げるのが嫌で言えなかったので、娘には、親から何も教えてもらってないと思われているんじゃないか、と後悔していたからです。
今は何も言わなくても、読んでいてくれたことに喜びを感じ、そして良い本を読んだからこそ優しい子に育ったと素直に思えます。
有り難い一日でした
最後まで読んでいただき、有難うございました