短編小説『爆弾』

僕は言った。「あの子は良い子なんだ」
お前は言う。「昔いじめをしたようなやつは時間が経ったところで変わらない。元々根が腐ってるんだ。良い子なはずが無い」
「確かにそうだけど、本当は、根は良い子だと思うんだ。やったことは確かに良くは無いけど、それは家庭環境のせいでもあると思うんだ」
「例え家庭環境が悪くても、いじめをしない人はたくさんいるだろ。いじめの言い訳に周りの環境を持ってくるのは卑怯だぞ」
お前はまるで、僕までもあの子の一派のような扱いで、語気を強める。

確かにお前の言うことも一理ある。いじめられた人の傷は一生癒えない。癒えたように見せるだけだ。お前のその傷は、あの子が付けた。
だからこそあの子のことを、もとい人をいじめるような人のことを忌み嫌うのはわかる。

だがお前はまだ知らない。
お前の親友が、僕をいじめていたことを。

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