ネタバレ『シャーロックホームズ絹の家』
KADOKAWA『シャーロックホームズ 絹の家』読みました。ホームズシリーズは「緋色の研究」しか読んだことなく、しかも後半はきちんと読んでいないので、ホームズ作品にしっかり触れたことは今作が初めてでした。
作者アンソニー・ホロヴィッツさんの本は『カササギ殺人事件』しか読んだことがないので、こちらも2作目でした。
なのでどちらも初心者ですが、思いついた順に感想を書いていきます。
以下ネタバレあります。
まず、原書で読むと、ドイルっぽい書き方がなされているのかな、と思いました。実際作者も「19世紀らしい表現方法で」と言っていますし。
初めはカーステアーズとオドナヒューの話。そしてオドナヒュー(?)が殺されたと同時にロス少年失踪・殺害。
それからロス少年とハウス・オブ・シルクの秘密へ。という流れ。
まさかシルクが「SILK」じゃなくて「SILC」だったとは。(368p)
だけど原語だとどうしてたんでしょう。「絹の家」と日本語で勘違いさせるのはともかく、英語だとスペルの時点で絹じゃないってなるのでは?
ロスの姉、サリーの言葉「”絹の家(ハウス・オブ・シルク)”から来たんでしょ?」(132p)とかまさに。ワトソン目線で、当時は勘違いしてるからスペルでもSILKなのかな?
あと「ロンドン児童生活改善福祉協会」(119p)に英語表記があるのは、のちに関係するから、っていう訳書のメタ読みが出来ますが、そんなことすっかり忘れてました。
1つの章が短いから、「この章読んだら終わりにしよ」ってなります。だけど、そうさせてくれないような惹きつけ方で終わります。非常に上手。
展開も錯綜するのではなく、一本線でつながっているから読みやすかったです。
途中で出てきた大男、牢獄の鍵をくれた謎の人物がモリアーティ教授だと種明かしされた時に、思わず声を発してしまいました。
身寄りのない子供を良いように扱っている組織が悪、というのは良くある構図だけど、そこまでの見せ方が上手くて、二番煎じって感想は無いです。
ホームズのわずかな手掛かりからその人の生い立ちや性格、行動を当てる、ってのはいつ見ても鮮やかでかっこいいですね。20p~のワトソンや、156pの質屋のおじさんへの種明かしとか。
最後にフィッシモンズが死んだので、少しスッキリしたし、ホームズが火をつけたのもよほどロスのことを重く考えてるんだな、とわかりました。
男児凌辱の記述もそこまで生々しく書かれてないから、僕的にはノイズにならずに読み切れました。
脱獄作戦とか、キーラン・オドナヒューが女性だったとかも上手。騙されました。
またホロヴィッツの他の作品も読みたいと思いました。彼はすごいな