大阪趣味(ごのみ)
大阪市歴史博物館の常設展の中にある一室で開催中の、心斎橋ときもの展に行きました。
この展覧会は、心斎橋で創業260年の歴史ある、呉服商小大丸さんが今年惜しまれつつ閉店されたことから、大阪の服飾文化の中心であった心斎橋ときものの歴史を振り返るというものです。
小さな展覧会ですが、とても素敵で価値ある時間を過ごすことができました。
大阪生まれで大阪育ちのわたし。どこか東京や京都に引け目のようなものをずっと感じていました。
大学を卒業して、東京に行った友達が羨ましかったし、京都の大学に通っていた時も大阪の街の喧騒をあまり好きではなくて、雰囲気のある古い街並みや、自分らしく生きようとしている人がたくさんいるような気がして、京都の街に憧れていたような気がします。
きものの勉強をするようになってからも、
染めも織りも京都が本場ですし、お世話になった、きもの学院も本社は東京。日本刺繍を習い始めましたが、こちらも本部は関東です。なんと言いましょうか、大阪なんもないやん、って、思ってた。
しかしこの展覧会では、わたしの知らなかった大阪を知ることができたんです。
粋(垢抜けた)ではんなり(華やぎのある)、こうと(上品な)きものの趣味、それが、大阪趣味(ごのみ)。
大阪は経済の街、人が集い、美味しいものを食べ(くいだおれ)、美しいきものを身にまとい(きだおれ)の街でもあったのです。
ハイクォリティでセンスのいいきものと着こなし。大阪だから、おしゃれでカッコイイきものの文化を発信できるんだって。
心斎橋筋は、わたしが子どもの頃とはすっかり様子が変わってしまいましたが、かつてここに多くの呉服屋さんや、履き物屋さんが軒を連ねていたということ。
この展覧会を企画してくださった方々に感謝します。そして、大阪の街で260年きもの文化を牽引してこられた小大丸さんに最高のリスペクトを。