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着付師としてわたしの強み(持ち込みきもの)について

どんな仕事でも、
自分しかできないこと
同業と比べて他よりできること
あるいは自分の好きなこと得意なこと
🟰強みというものが必要

じゃあ、わたしの強みって?

と考えた時、思い浮かんだことは
持ち込みきものの扱いである

持ち込みきものの扱いはたいへん難しい

お客様ときものは同時に着付け室にやってくる!!

包みを開いてみるまで
どんなきものかわからない
着付け小物も
何かが足りないということも多い

そんな中でもなんとしても
着付けなくてはいけない

多くの着付師は
持ち込みきものを嫌がる

わたしは、持ち込みきものと知ると
こう考える
どんなきものだろう?ワクワク

①お客様が持って来られるきものの中にはそれまで見たこともないような
素晴らしく、おそらくとても高価なもの
である場合がある
まさに眼福である
しかし、このようなきものを扱う時
着付師としてはかなり緊張する
お客様自身、ご自分が、持ち込まれたきものの価値をご存知ない場合もある
そのきものがどのようなものなのか、
わかるということが重要なのです

②あるいはかなり年季が入っていて
非常に状態の悪いきもの
である場合もある。
しわしわで
サイズも全然あっていない
時にさわるのを躊躇するほど
不潔なもの、匂いがひどいもの
少し引っ張ったらやぶれそうな時も
それでも着付師はやらなければならない
そしてお客様を傷つけることなく
伝えるべきことは伝えなくてはいけない
お客様が満足できる仕上がりにならなかった場合クレームになることがあるからだ
クレームになると、仕事を失ってしまう可能性もある(いわゆる出禁)
お客様の了解を得ることが重要なのだ
とにかく、言い訳は無用で
受けた仕事はやり切るしかないのだ
そこに必要なのは、高い技術力と対応力
ちょっとしたアイデア、そして経験。

③お客様が持って来られるきもの、帯の中には、現代のきものと違う様式のものがある
例えば、留袖ですと、比翼仕立てといって、衿、そで、裾に白い重なりがあるが
それは本来もう一枚下に白いきものを重ねてきていたものを、見た目ニ枚のきものを重ね着しているように見せる仕立てである。ところが、古い仕立ての留袖、本襲(ほんがさね=長着の下に白いきものがもう一枚ある)を持って来られる場合がある。
本襲のきものを着付けたことがない着付師はまず焦るでしょう。また、お客様の中にはこのことを知らずに、白いきものを長襦袢だと思って、半衿をつけてくる、長襦袢だと思っているので長襦袢を持って来ないという場合も。
帯に関しては、むかしの帯結びでひきぬき結びをしていた時代の帯の柄付けが、現代のものと違うので、そのまま結ぶと柄が反対向きに出てしまう。
丸帯(帯の中で最も格が高い、広幅でおられた帯で裏表同じ柄で総柄)を持って来られる場合があって、かなり扱いが難しい。
袋帯でも少し前のものは
長さが短い、手先の柄が少ない、固くて分厚いなど、悩むところだ。

④持ち込みきもの、というけれど、
実はお客様が自身で、外部のレンタル業者から借りたものを配送して来られる場合がある。これについては少し安心感がある。お客様が来館される前に、衣装が届いているので、準備できるし、ちゃんとした業者ならば、お客様の体型に合わせて衣装も着付け小物も合わせてくれているので、慌てることは少ない、、、はずだった。ところが最近は、ネットで、お客様自身が衣装を選び、ポチッとしただけ、という場合があって、安く借りれたのよー、とご本人は大満足であるが、こっちはたまったもんじゃない。
きものも帯もポリエステル、帯締めも帯揚げもポリエステル、紐も伊達締めもポリエステルしかも全部短くて、結んでもすぐに解けてくる弾力の強さ。
あとでネットで値段を調べたら、8,800円でした。確かに安いけど、こんな大切な日に着るきものを、試着もせずに、サイズや自分に似合うかどうか、場にあったものなのか確かめもせずに決めていいものなのか、、、業者にもお客様にも???な思い。ただ、ただ挙式、披露宴が終わるまでお客様のきものがバラバラにならないことを祈って。
とはいうものの、
安価で上質の衣装をきちんと揃えてくれる良心的な業者もある。
当たり外れということではなくて
できれば自分の目でちゃんと確認して
納得して借りて欲しいと思うのです。
きもののことをよく知らなくても、
試着をすれば、肌触りの良さや
しっくりくる感じできものの良さはわかるはずだし、自分に似合うか、場にあったものなのか、お店の人のアドバイスもしてもらえる。
きものは今や誂える時代ではなく、借りる時代。上手に借りて、ハレの日を彩って欲しいと思うのです。

最後に、できればきものを持ち込む場合、前もって式場に配送していただければ、ほんの数十分の違いではあるが、着付師としては助かります。衣装とお客様の同時インは、本当に厳しい。(成人式などは仕方ないところもありますが)お客様の持ち物が揃っていない場合、対処に時間がかかるし、余分に色々なものを持って来られる場合もあり、開けながら、着せながらは怖い!!式場に来られる時は余裕を持ってきてくださいね。




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