ノーベル賞作家イェリネクによるホスピタリティ度外視、魂の叫び。 とにかく読みにくい。 イメージが変幻自在で、暴力的。かつ独特のビートで無理矢理目線と脳みそうごかしてくるから、ほとんどハラスメントだ。文ハラ(ふみはら)だ。ノーベル賞作家だし。ハラスメントはなはだしい。 すごい。なにが? なにごとかを言っていて、いやむしろ言いすぎているんだ。けど? それゆえに? そんなあらゆる言葉の底深い深みでえんえん渦をまく情念の、たえまないエネルギーの圧力に敗北した。から3.11をうけて
またあるとき、唯円房はわがいふことをば信ずるかとおほせのさふらいひしあひだ、さんさふらふとまうしさふらひしかば、さらばいはんこと、たがうまじきかと、かさねておほせのさふらひしあひだ、つゝしんで領状まうしてさふらひしかば、たとえばひとを千人ころしてんや、しからば往生は一定すべしとおほせさふらひしとき、おほせにてはさふらへども、一人もこの身の器量にては、ころしつべしともおぼへずさふらふと、まうしてさふらひしかば、さてはいかに親鸞がいふことを、たがふまじきとはいふぞと。これにてしる
時は春 日は朝 朝は七時 片岡に露みちて 揚雲雀なのりいで 蝸牛枝に這ひ 神 空に知ろしめす すべて世は事も無し ロバート・ブラウニング 「春の朝」 (上田敏訳) もう、青葉にむせかえる季節になった。
ねえ、苦しまぎれに平静装って街を歩いたはいいものの、心と身体が分離してマリオネットみたいだよ。ごきげんよう、さようなら。すれ違うすべての人と挨拶を交わしたいな。そしたら心は身体の凹みにもどって馴染んでくれるでしょう。一歩一歩がつぶさに銅鑼を叩くみたく感じられてしまう騒がしさを、彼等になすりつけてあげたいな。 低気圧で寿命が縮むようになったのは、いつから? だれかが法螺を吹いたらしい、右勾町イオンモールのカワムラ楽器で真実色のシェラック盤が回ってる、78rpm… GO ! そ
あるとき、友だちと炬燵でぬくぬくと温まって談笑していた。隙間風が背中を冷やして心地よかった。あつい、つめたいってやつ。 ふと友だちが言った。ひとりごとではなく、あきらかな対話の意思をもって。 「利き手の親指を天秤にのせてさ、つりあう重さってなに?」 そりゃ人によってちがうだろう。成人の心臓が121gなのとはわけがちがうし、121gなのかもわからないし、people in the boxの曲で知っただけだし、そもそもそんな話はしていないし。友だちが、一般的にっていう感
誰よりも不幸であれたなら。その不幸が、みんなから共感をえられる優れものの不幸だったなら。たいへんな不謹慎だとわかってるんですけど、ね。 不幸はひとしなみに、なんて嘘でしょ? かっこいい不幸もあれば、ダサい不幸もある。美しい不幸にみんな胸うたれてるあいだに、幾千万の無味無臭の不幸が人知れず、誰かの首を慈愛をもって絞めている。 カワイイあのコにどう頑張っても勝てないの。かわいそうだね。優しいママが闘病の末死にました。ああ、なんてかわいそうだ! なんとなく学校に行きたくありません
中国に行き、かつての日本はきっとこんなところだったんだろうと、なんとなく思った。「爆買い」なんて、かつては日本人の代名詞だったのだ。テクノロジーは発達し、公安が目を光らせる管理社会だけど、そんな息苦しさはなく、人人は公安と談笑し、メラメラと日常を生き、あちこちで一人分の狼煙をあげている。それはときたま、裏寂れた日本の商店街でもかろうじて見ることができて、看板の禿げた喫茶店の中、ギリギリ保たれた老人サロンなんかに、あの時代の汚さと情熱の残り香がある。でもちょっとヨボヨボすぎるね
隣駅でおりていった、名前もしらないあのコ ーー northfaceの白ダウン、マンダリンオレンジのフレアスカート、DoctorMartin的なつま先の丸い革靴……キューティクル満点、ヘーゼル色のショートボブが、目にとまった。カバーで嵩が二回りは膨らんだスマホをしきりに操作していて、ついぞ顔をあげることはなく。 きっと、たいしたコでもないでしょう。新年一発目のパパ活へいくとこだったかしら。帰りは大きな福袋といっしょですかねえ。もっともその場合、メトロってことはないでしょうけ
想像力にかんして、『新しい人よ目覚めよ』の大江健三郎がバシュラール(僕はこの人を大江文学を知るよりも前に知っていた。<水>にかんする『物質的想像力批判』の一部を読んでいた。そして大江さんがどこかのインタビュー記事(叢書ウニベルシタスについてのものだったと思う、バシュラールの邦訳本の出版社だ)で『空と夢』の話をしていたのも読んでいた)から学んだと、また僕ら読者に教えることには(大江さんはサルトルから発して『空と夢』にたどりついたのだった)、想像力とは基体となるイメージを「歪形」
・構成/composition < 一緒に/com- +置く/pono +こと/-tio> なんかある。また、なんかある: 絵画のバランス。アクトの順番。あの子とわたしの間柄。ロシア/ウクライナ-中国/台湾。『夢判断』と『エクリ』の関係。なんでもいい: 机の上。都市砂漠を歩く君。人工透析患者の管。食べ終わったナポリタンの皿。メキシコ湾に流れ出した重油。パンケーキシロップ。偏微分方程式。ほんとうになんでもいい。 宇宙。 何かがおかれて、何もかもが変わる。世界の布置